「曖昧なもの」と文学の使命/東洋医学、LGBT、そしてこれから紡がれるべき小説に向けて──『夜を聴く者』刊行記念鼎談

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【イベント概要】

こんにちは、坂上秋成です。
この度、ゲンロン様のご厚意で、こうして新刊『夜を聴く者』の刊行記念イベントを開いていただけることになりました。本当にありがたいことです。

『夜を聴く者』は、これまでの文学が上手く扱えてこなかった、新しい感性を作品に取り込もうという動機から執筆した小説です。そのため、テーマとしては東洋医学、LGBT、ソーシャルゲーム、ブラック企業、友情と性愛の境界、といった多岐にわたるものが詰め込まれています。
けれどそれは、単に流行りのものを入れてみたということではなく、僕にとってはそれらがすべて「曖昧さ」をキーワードとして繋がっています。

とりわけLGBTや東洋医学にそれは顕著です。たとえばレズビアンやゲイといった同性愛者について考える時、多くの人はまず「異性愛者/同性愛者」という二つの区分を明確に設けて考えます。しかし、実際には性愛の構造はもっと繊細なものです。「女性になりたいとまでは思わないけれど、女装をしたい男性」や「男性を性愛の対象としているけど、いちゃつく分には女の子がいいという女性」もいます。
東洋医学においても、そこには伝統的な理論が存在するにもかかわらず、気や経絡といった要素が西洋医学のロジックと異なるが故に、正しく評価されていない側面があります。
けれど僕は、こうした「曖昧さ」に対して向き合っていくことがこれからの時代には必要だし、それを可能にするのは何よりも文学の仕事だと思っています。
人間の感性や世界に対する認識を変えることこそが、文学にとって最も重要な作業なのではないか。僕は常にそう考えてきました。
『夜を聴く者』を読んでもらったり、このイベントでの話を聞いていただくことで、みなさんがこの「曖昧なもの」について考えるきっかけとなれば、大変嬉しく思います。

今回は作家の海猫沢めろんさん、物語評論家のさやわかさんにも出演をご快諾いただけました。海猫沢さんもさやわかさんも、一般的にイメージされる文学に、外部から新しい要素を取り込んでいきたいと考えている人たちです(と僕は思っています)。
お二人と作品について語り合うことで、これまで自分に見えていなかった可能性が掘り起こされるのが楽しみだし、それを会場のみなさんとも共有できればと思います。
デビュー作の話、サブカルについての話、海猫沢さんとさやわかさんの考える文学の話などもできれば一層面白くなりそうです。
それでは、5月10日の夜にお会いしましょう。どうぞよろしくお願いします。

 

『夜を聴く者』(河出書房新社)
20160510-1

 

【イベント後記】


 

当日のtweetのまとめはこちら

togetter

 

登壇者の坂上秋成さんによるイベントのレポートが『ゲンロンβ3』に掲載されています。ぜひお買い求めください。

さやわか Sayawaka

1974年生まれ。ライター、物語評論家、マンガ原作者。〈ゲンロン ひらめき☆マンガ教室〉主任講師。著書に『僕たちのゲーム史』、『文学の読み方』(いずれも星海社新書)、『キャラの思考法』、『世界を物語として生きるために』(いずれも青土社)、『名探偵コナンと平成』(コア新書)、『ゲーム雑誌ガイドブック』(三才ブックス)など。編著に『マンガ家になる!』(ゲンロン、西島大介との共編)、マンガ原作に『キューティーミューティー』、『永守くんが一途すぎて困る。』(いずれもLINEコミックス、作画・ふみふみこ)がある。「コミックブリッジ」で『ヘルマンさんかく語りき』(作画:倉田三ノ路)を連載中。

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放送開始
2016/05/10 19:00
タイムシフト視聴終了
2016/05/17 18:00