オーケストラと近代市民社会のみた(悪)夢──ベートーヴェンからショスタコーヴィチまでの交響曲を考える

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【イベント概要】

ゲンロンカフェで初のクラシック音楽イベント!

クラシック音楽への造詣も深い亀山郁夫と、人文科学全体を視野に入れて音楽批評をする岡田暁生が、歴史・社会を軸にクラシック音楽について語る。

岡田が著書『音楽の聴き方』で解説するように、音楽、とりわけベートーヴェンの「第九」に代表されるような近代の交響曲は「共同代を形成する機能」を強固に持つジャンルである。歴史を見れば、交響曲がその後、娯楽として受容され、さらには政治的プロパカンダにさえも利用されたことを私たちは知っているが、にもかかわらず、岡田の指摘するように「音楽は国境を越え、人々を結ぶ」という安易な言説は今も脈々と受け継がれている。交響(=公共)曲のもつ危うさを考察することは、今の時代を考えることとも重なるのだ。

近代交響曲の最後の大作曲家とも言えるショスタコーヴィチは、まさにそんな音楽の効用(=高揚)と政治的権力の間で、常に「作曲する意味」を問われ続けた人物だった。亀山が著書『チャイコフスキーがなぜか好き』で、彼の「交響曲第4番」に対し「現実の歴史を見つめるショスタコーヴィチのまなざしをつねに空想しながら、彼の音楽を聴きつづけている」と述べているように、彼の作品は歴史や社会とは切り離すことができない側面をもっている。のみならず、アンチ・クライマックスの金字塔「悲愴」を残したチャイコフスキー、「法悦の詩」で神秘的な無調の世界を完成させたスクリャービンをはじめ、ボロディン、グラズノフ、リムスキー=コルサコフ、ラフマニノフ、プロコフィエフなど、豊かな歴史を持つロシアの交響曲作曲家は伝統的に、音楽的な内容が、自身の社会に対するまなざしを含む作品を書き連ねてきた。

交響曲がどのような経緯を辿って巨大化し、社会的に強い影響力を持つようになったのか、そして西洋音楽史全体の中でロシア音楽はどのような位置づけなのか、また、ロシア文化全体の中でクラシック音楽、特に交響曲はどのように受容されているのか、そしてロシア社会とどのような関わりを持ってきたのかなどを話題に、クラシック音楽と社会との関わりを複眼的に考察する。また、社会との関わりの中で音楽を作り上げるロシアの名指揮者ワレリー・ゲルギエフや、ロシア音楽を新たな視点から展開する、新進気鋭の指揮者テオドール・クルレンツィスなど、ロシア音楽の演奏家論も交えつつ、21世紀の私達の耳から、交響曲とロシア作曲家たちを捉え直していく。

亀山郁夫 Ikuo Kameyama

1949年、栃木県生まれ。名古屋外国語大学学長。ロシア文学者。栃木県立宇都宮高等学校卒業、東京外国語大学卒業、東京大学大学院博士課程単位取得退学。前東京外国語大学学長。
2002年に『磔のロシア——スターリンと芸術家たち』で大佛次郎賞、2007年に翻訳『カラマーゾフの兄弟』で毎日出版文化賞特別賞、プーシキン賞を受賞。2012年には『謎解き「悪霊」』で読売文学賞受賞。ドストエフスキーの新訳では、他に『罪と罰』、『悪霊』があり、現在は『白痴』の翻訳に取り組んでいる。また、2015年、自身初となる小説『新カラマーゾフの兄弟』を刊行。

岡田暁生 Akeo Okada

1960年、京都府生まれ。音楽学者、京都大学人文科学研究所教授。大阪大学大学院博士課程単位取得満期退学、1991年までミュンヘン大学およびフライブルク大学に留学。2001年に『オペラの運命』でサントリー学芸賞受賞、2009年に『ピアニストになりたい!』で芸術選奨新人賞、『音楽の聴き方』で吉田秀和賞受賞、2013年に『恋愛哲学者モーツァルト』で四十雀賞受賞。『シャンドール ピアノ教本』や『ツェルニー ピアノ演奏の基礎』(いずれも春秋社)など、ピアノ教本の翻訳も手がける。

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放送開始
2017/04/14 19:00
タイムシフト視聴終了
2017/04/21 18:00