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【イベント概要】
現代のモードに新風を吹き込んだ旧共産圏出身の若手デザイナー、ゴーシャ・ラブチンスキー。その根底にはポストソ連のナショナリズム的意識があったーー
今やキリル文字がプリントされた服を着た日本の若者を街中で見かけることは珍しくない。
この数年でロシアをはじめとする旧共産圏の文化に根ざしたファッションは世界的な流行となった。
こうしたトレンドを担うゴーシャ・ラブチンスキー、デムナ・ヴァザリアといった旧共産圏出身のデザイナーたちは、社会主義文化と資本主義文化が入り交じる90年代のカオティックな文化を巧みに組み込み、「ポストソ連美学」と呼ばれる独自のスタイルを確立している。
一方で、こうしたファッションの表象を通して見えてくる政治やアイデンティティの問題も見逃せない。
Vetementsの2019年春夏のコレクションではジョージア(グルジア)の政治問題が真正面から扱われた。
また、ラブチンスキーの新プロジェクト「GR-Unifroma」では、共同体としての「ユニフォーム」というコンセプトが前面に打ち出されている。
Gosha RubchinsukiyやVetementsの服に込められた文化的背景を探りながら、ロシアをはじめとする旧共産圏のスタイルが世界的な流行となったことが何を意味するのか、今後ファッションや音楽を中心とするロシアのユースカルチャーがどのような広がりを見せるのかを考えてみたい。
『ゲンロンβ30』にエッセイ「ファッションとポストソ連文化」を寄稿した現代ロシア文学研究者・翻訳家の松下隆志氏、国内外のブランドのディレクション・コンサルティングを手がける株式会社クラインシュタイン代表の小石祐介氏、さらに音楽家でロシアのファッション、文化にも造詣が深い渋谷慶一郎氏を迎え、ファッションと文化を熱く論じる。
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小石祐介 YUSUKE KOISHI
株式会社クラインシュタイン代表。
東京大学工学部卒業後、コムデギャルソンを経て独立。
国内外のブランドのプロデュースやリブランディング、デザイン、コンサルティングなどを行う。
2016年より東欧スロバキアのスニーカーブランド NOVESTAのクリエイティブディレクションを手がける。
また、展覧会のキュレーション、アーティストとしての創作、評論・執筆活動を行っている。
渋谷慶一郎 Keiichiro Shibuya
音楽家。1973年生まれ。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。2002年に音楽レーベルATAKを設立、国内外の先鋭的な電子音楽作品をリリースする。代表作にピアノソロ・アルバム『ATAK015 for maria』『ATAK020 THE END』、パリ・シャトレ座でのソロコンサートを収録した『ATAK022 Live in Paris』など。また、映画「はじまりの記憶 杉本博司」、ドラマ「TBSドラマSPEC」など数多くの映画・TVドラマ・CMの音楽も担当。2012年には、初音ミク主演による世界初の映像とコンピュータ音響による人間不在のボーカロイド・オペラ「THE END」をYCAMで発表。同作品はパリ・シャトレ座を皮切りに現在も世界中で公演が行われており上演要請が絶えない。2017年、5月にパリ・オペラ座でパリ・オペラ座・エトワール、ジェレミー・ベランガールとビデオ・アーティストチームのエイドリアンM & クレアBとのコラボレーションによる「Scary Beauty」のダンスバージョンを発表。アンドロイドとオーケストラによるモノオペラ「Scary Beauty」を今年9月にオーストラリアで初演した。国内では10月に高野山で声明とコラボレーションするなど様々な試みに挑戦している。これまでにアーティストの杉本博司、複雑系研究者の池上高志、ロボット学者の石黒浩、パリ・オペラ座・エトワールのジェレミー・ベランガールなど数多くのアーティスト、またルイヴィトンやピガール、エルメネジルド・ゼニアといったファッションブランドともコラボレーションを展開している。現在は東京とパリを拠点に活動を展開している。