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【ダイジェスト】
【イベント概要】
2019年4月15日(現地時間)に発生したパリのノートルダム大聖堂の大規模火災は、フランス国内にとどまらず世界中に大きな衝撃を与えた。
12世紀に建設が始められた初期ゴシック建築の傑作である大聖堂は、その美しさは勿論のこと、ナポレオンの戴冠式やユーゴーの名作『ノートル・ダム・ド・パリ』の舞台になるなど、建築的にも文化的にも重要な存在だ。
石造建築である内部については大きな被害はまぬがれたものの、大聖堂を象徴する尖塔と屋根が焼け落ちたことで、今後の修復・復元に注目が集まっている。
マクロン仏大統領は「5年以内に再建する」という声明を出し、また国際建築コンクールが実施されることが決定した。
しかし、崩れた尖塔や屋根をどのように再建するのかについては、議論が待たれている。
そもそも、建物「本来のすがた」とはなんであろうか。
ゴシックの大聖堂は数世紀をまたいで建築をされるため、途中でデザインが変わることも珍しくないという。また一旦工事が完了した後も、長い歴史のなかで何度も改変や改築がされてきた。崩れた尖塔も19世紀半ばにヴィオレ・ル・デュクという建築家により修復され、それ以前よりも10メートル高いデザインに変えたもの。
今回の再建は、われわれが建物に対する価値について再考する、またとない機会といえよう。
この度、ゲンロンカフェでは、東北大学大学院教授の五十嵐太郎氏、東京大学大学院教授の加藤耕一氏をお招きする。
建築史・建築批評の第一人者である五十嵐氏は、ゲンロンカフェの来場者にはお馴染みだ。
国内外のさまざまな建築に対して鋭い論考を発表しているが、そのかけ出しとなる学生時代の修士論文は、ゴシック建築とノートルダム楽派に関わるもので、著書『建築と音楽』などにそのエッセンスが現れている。
ゲンロンカフェ初登壇となる加藤氏は、気鋭の西洋建築史学者。
著書『時がつくる建築─リノベーションの西洋建築史』ではサントリー学芸賞を受賞した。同書では、近代のスクラップ&ビルドによる新築主義とは異なる、創造的な建築再利用(リノベーション)がいかに豊かな建築文化を紡いできたかを考察している。
ノートルダム大聖堂の再建については勿論、国内外のリノベーションをめぐって刺激的な議論が展開されること間違いなし。
必見の建築トークイベント!
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五十嵐太郎 Taro Igarashi
1967年パリ生まれ。建築史・建築批評家。1992年東京大学大学院修士課程修了。博士(工学)。現在、東北大学大学院教授。あいちトリエンナーレ2013芸術監督、第11回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展日本館コミッショナーを務める。芸術選奨新人賞。『日本建築入門』(筑摩書房)、『被災地を歩きながら考えたこと』(みすず書房)、 『モダニズム崩壊後の建築』(青土社)、『現代建築宣言文集』(共編著、彰国社)ほか著書多数。
加藤耕一 Koichi Kato
1973年東京生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院博士課程修了。博士(工学)。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻・教授。専門は西洋建築史。主著『時がつくる建築─リノベーションの西洋建築史』(東京大学出版会、2017)でサントリー学芸賞、日本建築学会賞(論文)、建築史学会賞。他に『ゴシック様式成立史論』(中央公論美術出版、2012)、『「幽霊屋敷」の文化史』(講談社現代新書、2009)、監訳書に『ロンドン大図鑑』(西村書店、2017)、『近代建築理論全史』(丸善、2016)などがある。現在、10+1websiteにて「アーキテクトニックな建築論を目指して」を連載中。