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〈ゲンロン新芸術校〉第6期、グループ展D展講評会の模様を生中継します。
レクチャーは会員限定放送で13:00より。
アトリエ中継は放送開始は14:30頃、講評会は16:30頃開始を予定しています。
【展覧会概要】
展覧会名:『「美術は教育できるのか?」に対する切り込みと抵抗 THE MOVIE』
出展者:赤西千夏 / 飯村崇史 / 星華 / 甲T / ながとさき / 藤江愛 / 前田もにか / 三好風太
キュレーション:中田文(CL課程)
グラフィックデザイン:宮野祐
グループC担当講師:梅津庸一 / 弓指寛治
講評会ゲスト講師:田中功起
会期:2020年12月5日(土)~12月13日(日)
※12日(土)は講評のため終日休廊
開廊時間:15:00-20:00
会場:ゲンロン五反田アトリエ 〒141-0022 東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F
※ 展覧会の会場はゲンロン五反田アトリエとなります。ゲンロンカフェでは開催されませんので、ご注意ください。
※ 講評日の12/12(土)は講評のため終日休廊とさせていただきます。ご了承ください。
※ 講評会会場への入場は、受講生のみとなっております。
<新型コロナウイルス感染症への対策のご協力のお願い>
※マスクを着用の上ご来場ください。
※入り口では手指の消毒、検温にご協力ください。
※混雑時は入場制限を行うことがあります。ご了承ください。
ステートメント
「美術は教育できるのか?」という問いに対する明確な答えはあるのだろうか?
現在、活躍する作家の大多数は美大や美術予備校を経ており、教育機関と美術界が地続きであるのは確かだ。そのため、美術家になりたい人は自然の流れで美術の教育機関を目指し、その延長線上で時代の影響を受けながら制作を続けていく。とはいえ、芸術においては、技術や知識だけでなく、人と人との出会いから生まれる何かこそが賜物になり得るとは言えないだろうか。
ポルトガルの映画監督ペドロ・コスタは『ペドロ・コスタ映画論講義 歩く、見る、待つ』(翻訳:土田環、ソリレス書店、2018年、120~122頁)の中で、20歳から30歳くらいまでの間、リスボンの映画学校に通っていた時のエピソードを語っている。彼は映画学校では、反抗的な態度を取っていたという。しかし、そこで技術的な学びはあったとし、さらに次のように続けている。
「何かを感じるということ、それをどのようにスクリーンに描けばよいのかということを私に教えてくれた人は、誰ひとりとしていなかったし、じっさいにそんなことを教えられる教師などひとりもいないのです。[……]今、自分が映画学校、映画の世界に入った時のことを皆さんに話していますが、同時に師、先生、権威的なもの、知識に対する抵抗の姿勢についてもお話ししています。こうした抵抗についてなぜ話すのかといえば、抵抗すること、あらゆるものに抗うことこそが、映画を作るひとつの支柱となるからなのです」
このゲンロン新芸術校 第6期 グループDの展示は、共通項では括ることができない個々の出自や背景、立ち位置を持つ作り手たちが、やはり作り手である指導講師とぶつかり合い、お互いに美術の持つ可能性を探求し、新たな体験を鑑賞者に届けようとするものである。受講生たちはこの展示から未知の領域に足を踏み出すのだ。
本展の指導を担当する梅津庸一は、自身もパープルームという私塾を運営し、常に教育問題に向き合い続けてきた。もう1人の弓指寛治は、新芸術校第一期で金賞を受賞後、精力的に活動中だ。この2人が今回の展示を通して作家たちと共に伝えたいことは、作品をつくる側にも見る側にも波紋を投げかけるに違いない。そこから何を掬い取るかは、私たちそれぞれの未来にかかっている。
中田 文(CL)
美術における「学閥問題」と「キャリアパスの問題」を鑑みれば、これまで紡がれてきた美術史も現在のアートシーンも欠陥だらけに思えてくる。わたしは美術家個人の活動と並行して私塾を営み、美術教育について考えてきた。あるいはそういう”ふり”をしてきた。美術は問題解決のためのツールではないし、有限である人生を美術に費やす意味や必然は誰かに教えてもらうものでもない。
梅津庸一
学校で教わったことなんてほとんど覚えてないけど小中高の先生や大学の教授のクソみたいな行動とか態度とかを見て「ああいう奴らにはなりたくない」という事は強く覚えているもんですよね!反面教師!ペドロー!
弓指寛治
田中功起 Koki Tanaka
1975年生まれ。アーティスト。主に参加した展覧会にシンガポ ール・ビエンナーレ(2019)、あいちトリエンナーレ(2019)、ミュンスター彫刻プロジェクト(2017)、ヴェネチア・ビエンナーレ(2017)、リヴァプール・ビエンナーレ(2016)など。2015年ドイツ銀行によるアーティスト・オブ・ザ・イヤー、2013年ヴェネチア・ビエンナーレでは参加した日本館が特別表彰を受ける。主な著作、作品集に『Vulnerable Histories (An Archive)』(JRP | Ringier)、『Precarious Practice』(Hatje Cantz、2015年)、『必然的にばらばらなものが生まれてくる』(武蔵野美術大学出版局)、『共にいることの可能性、その試み、その記録-田中功起による、水戸芸術館での、ケーススタディとして』(グラムブックス)など。
写真:題府基之
梅津庸一 Yoichi Umetsu
1982年山形生まれ。美術家、パープルーム主宰。美術、絵画が生起する地点に関心を抱く。日本の近代洋画の黎明期の作品を自らに憑依させた自画像、自身のパフォーマンスを記録した映像作品、自宅で20歳前後の生徒5名と共に制作/共同生活を営む私塾「パープルーム予備校」の運営、「パープルームギャラリー」の運営、展覧会の企画、テキストの執筆など活動は多岐にわたる。主な展覧会に『梅津庸一個展 ポリネーター』(2021年、ワタリウム美術館)、『未遂の花粉』(2017年、愛知県美術館)。作品論集に『ラムからマトン』(アートダイバー)。作品集『梅津庸一作品集 ポリネーター』(美術出版社)今春刊行予定。
弓指寛治 Kanji Yumisashi
「自死」や「慰霊」をテーマに創作を続ける画家。大学院修了後、学生時代の友人と名古屋で映像制作会社を起業。2013年に代表取締役を辞任し上京、作家活動を開始した。ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校の第一期生として学んでいた2015年に、交通事故後で心身のバランスを崩していた母親が自死。出棺前に「金環を持った鳥のモチーフ」が浮かび、以後制作される多くの作品で繰り返し登場する彼の表現の核となっている。2018年には、約30年前に自死したアイドルをテーマにした《Oの慰霊》が第21回岡本太郎現代芸術賞で敏子賞を受ける。同年に同作の続編的な位置付けの展覧会「四月の人魚」が開催され大きく話題を集めた。 【撮影=小澤和哉】