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〈ゲンロン新芸術校〉第6期、グループ展B展講評会の模様を生中継します。
レクチャーは会員限定放送で13:00より。
アトリエ中継は放送開始は14:30頃、講評会は16:30頃開始を予定しています。
【展覧会概要】
展覧会名:「雨の降る日は天気が悪いとは思わなかった ●1点」
出展者:安藤卓児 / 大倉なな / きんたろう / 白井正輝 / 鈴木祥平 / 田邊恵利子 / メカラウロ子
キュレーション:金盛郁子(CL課程)
グラフィックデザイン:金盛郁子(CL課程)
グループB担当講師:飴屋法水 / 青木美紅
講評会ゲスト講師:やなぎみわ
会期:2020年10月10日(土)~10月18日(日)
※17日(土)は講評のため終日休廊
開廊時間:15:00-20:00
会場:ゲンロン五反田アトリエ 〒141-0022 東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F
※ 展覧会の会場はゲンロン五反田アトリエとなります。ゲンロンカフェでは開催されませんので、ご注意ください。
※ 講評日の10/17(土)は講評のため終日休廊とさせていただきます。ご了承ください。
※ 講評会会場への入場は、受講生のみとなっております。
<新型コロナウイルス感染症への対策のご協力のお願い>
※マスクを着用の上ご来場ください。
※入り口では手指の消毒、検温にご協力ください。
※混雑時は入場制限を行うことがあります。ご了承ください。
ステートメント
点取り占いで遊んだことはあるだろうか。 かつて駄菓子屋でよく見かけたものだ。店先で大量にぶら下がっている小さな四角い包み。開けると 16 枚のクジが入っており、その一枚一枚には、なんでもないような言葉が書かれている。
「よだれをふきなさい ◯5点」
「油虫におっかけられてにげました ●2点」
「君が笑えばおばけがよろこぶよ ◐4 点」
それぞれに正か負となる点数が書かれており、白丸が正、黒丸が負、半丸が持ち点により正にも負にもなる数である。すべてのクジの点数を足して 50 点を超えていたら上々、それ以下だと反省することあり、とルールは単純だ。友達と点数の多さで勝敗を賭けて遊ぶこともできる。
明快なルールとは裏腹に、クジに書かれている数行の言葉には特段メッセージ性はない。どこからかふらっと降ってきたそれらの言葉には、ときに不意を突かれるものがある。神社のおみくじならば、言葉を与えてくれるのは神様である。だが、100 円ほどの駄菓子の向こう側には、誰の顔を思い浮かべたらいいのだろう?
われわれの日常生活も、ある意味、この点取り占いの延長線上にあるのかもしれない。 ある日突然、 偶然の出来事が訪れる。それは、クジに書かれた言葉のように、日常とは関係のない場所からやってくる。点取り占いで遊んでいたはずのこちらは、今度は偶然によって遊ばれ、自分が思い描いていた生活から段々と外れていってしまう。いつまでたっても今とは違う場所に、自分の思い描いていた生活があるような、そんな感覚にさらされながら。ある日突然降りかかったこの偶然の出来事は、いったいどこからやってきたのだろう?
点取り占いの言葉がどこからきたのかわからないように、偶然をもたらした正体を突き止めることは困難だ。 私たちは永遠に、偶然が引き起こす力に屈服することしか出来ないのだろうか。
いや、そうではないだろう。 私たちは、表現という手段をもって、偶然という捉えどころのない存在と闘うことができるはずだ。 表現活動を通じて、過去を紐解き、社会の仕組みを紐解き、人間の本能を紐解き、あらゆる方法を使って、その偶然が生まれた場所を探っていく。それは、私たちが偶然の出来事と対峙し 、屈することなく乗り越えて行くための、一つの方法ではないだろうか。
本展示において、出展作家たちは、偶然を引き起こした得体の知れない根源をあらゆる方法で追求する。 そして各々の表現を通じて、「偶然」という、全く捉えどころのない、見えない敵と立ち向かう。 葛藤の痕跡でもある作品は、日常生活で起こり得た偶然に対して下された、彼らの立場の表明でもある。 巡り合わせた偶然の力に屈することのないその行為によって、彼らは、偶然の向こう側に佇んでいる捉えどころのない存在に対し、はじめて対等な立場を勝ち取らんとするのだ。
(金盛郁子)
やなぎみわ Miwa YANAGI
神戸市生まれ。1990年代後半より写真作品を発表し、国内外で多数の展覧会を開催。2009年ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表。2011年から本格的に演劇活動をはじめ美術館や劇場等で上演。大正期の芸術新興運動を描いた『1924』三部作、戦時のメディアをテーマにした『パノラマ』、『ゼロ・アワー 東京ローズ最後のテープ』などを演出。2014年に台湾製の移動舞台トレーラーを輸入し野外で旅巡業をしながら、美術制作を続けている。
飴屋法水 Norimizu Ameya
1979年、17才で唐十郎の「状況劇場」に参加。1983年「東京グランギニョル」結成、演出家として独立。1990年からレントゲン藝術研究所など美術の場に発表を移す。1995年より「動物堂」で動物の飼育と販売に従事しながら、1999年「日本ゼロ年」展、2005年「バ ング ント」展など。2007年、平田オリザ作「転校生」の演出で演劇に復帰。以後、FT、吾妻橋ダンスクロッシング、ポ・ナイトなどに連続参加。小説家朝吹真理子、山下澄人との共同制作や、大友良英、テニスコーツなど音楽家とのライブ共演も多数。近年の主な仕事に、展覧会「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」、演劇作品「スワン666」(2018年)、小説『彼の娘』(2017年)など。戯曲『ブルーシート』(2014年)で第58回岸田國士戯曲賞を受賞。
青木美紅 Miku Aoki
美術家。1996年生まれ。2019年度、多摩美術大学美術学部油画専攻卒業。自身が配偶者間人工授精で生まれたことを契機に、生命に人の手が加えられることやその影響、最新医療や永遠の生命についても制作し考察している。『あいちトリエンナーレ2019』にて、最年少招聘作家としてインスタレーション作品『1996』を展示(名古屋市美術館)。2019年3月、ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校4期最終成果展『ホーム・ランド』にて、第一席である金賞受賞(審査員:岩渕貞哉、黒瀬陽平、津田大介、和多利浩一)。2020年6月、初個展『“zoe”』を行う。『新潮』2020年3月号には初のエッセイ「生きているぞー」を寄稿。