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☆ 当番組は二部構成です。前半(第一部)は三浦さんと土居さんの対談形式。近藤さんはニューヨーク在住のため、番組開始から1時間47分ほど経過した、後半(第二部)からのビデオ通話を使用しての出演となります。
【お詫び(2021/6/30)】
本番組の生放送配信時、近藤さんのご出演時間の事前の告知が不十分でした。ご迷惑をおかけした皆様に深くお詫びをいたします。大変申し訳ありませんでした。
ゲンロンαにイベントのレポート記事を掲載しています。ぜひお読みください。
記事URL= https://genron-alpha.com/article20210720_01/
【イベント概要】
「食」と地域の関係は深い。その土地の風土や気候、伝統や歴史が関わるのはもちろんだし、そこに集まる人間たちが、地域の食文化をつくっていることもまた間違いない。
マンガ家・アーティストの近藤聡乃さんは、2008年にニューヨークに移住した。近藤さんが日々の暮らしを描いたエッセイマンガ『ニューヨークで考え中』(ウェブマガジン「あき地」で連載中)からは、合衆国最大の都市で世界有数の観光地であるニューヨークでのリアルな生活を感じることができる。生活を描く中で、当然ながら「食」の話もいくつも出てくるのだが、異国の遠さと生活の身近さのバランスが絶妙だ。
昨年に最終巻が刊行された『A子さんの恋人』では、主人公のA子さん、日本に暮らす元恋人A太郎、アメリカに暮らす恋人A君をはじめ、登場人物それぞれの身辺に「食」が潜んでいる。これらの近藤さんのマンガに登場する食べものやレストランは、魅力的で美味しそうなだけではなく、その土地の文化までもしっかりと感じることができる。
一方、映画批評・研究が専門でありながら、食にまつわる執筆でも知られる三浦哲哉さんは、昨年一年間のサバティカル(在外長期研究休暇)の期間をロサンゼルスで過ごした。その滞在記でもあり、「食」をテーマに都市論が展開される『LAフード・ダイアリー』を本年春に刊行。ゲンロンカフェでも、三浦さんと小松理虔さん、速水健朗さんとの刊行記念トークイベント「シン・フード論」を開催した。
三浦さんがロサンゼルスで体験した多様性とは何か。移民たちによる実験国家であるアメリカ、とりわけロサンゼルスは、料理においても移民たちによる「実験」のダイナミズムが感じられるエキサイティングな場所であり、人種や思想、貧富の対立を超えた多様性に満ちているということが、本書には描き出されている。
今回はそんなおふたりをお招きして、「食」をキーワードに、ニューヨークとロサンゼルスを比べながら、アメリカについて、生活や暮らしの多様性について考えたい。司会は、近藤さん、三浦さんとも長く懇意にしているというアニメーション研究・批評の土居伸彰さん。土居さんは、世界各地のアニメーション映画祭を旅する中で、なんと『ニューヨークで考え中』にも登場、近藤さんと一緒にチーズフォンデュを食べている。三浦さんとは大学院の先輩後輩の仲で、アンコウやアオリイカを捌いてもらったこともある。
コロナ禍で海外旅行が叶わぬ夢のように思える日々であったが、ワクチン接種の広がりとともに、少しずつ夢は見られるようになっていくのかもしれない。長きにわたる自粛生活で自炊が身についたひとも多いと思う。本イベントでは、ニューヨークやロサンゼルスのおすすめレストランや、現地での自炊の様子なども伺う予定だ。ぜひ「観光」を楽しむつもりで、気軽にご視聴いただきたい。気軽に読んでいたら、いつのまにか深く思考を巡らせることになるのが、近藤さんと三浦さんが描く「食」なのだ。
本イベントは美味しいたべものが多数登場予定だ。ご視聴の際はお腹がすくと思うので、十分にご注意を。
【登壇者の土居伸彰さんより】
コロナ禍以前はアニメーション映画祭の仕事で国内外に出張ばかりでした。そのたびにその土地ならでは(さらにはその土地に住むその個人ならでは)の食に触れ、時には感動し、時には違和感を感じてきました。
かねてからそのお仕事を敬愛しているおふたりの著作にはたくさんの食が登場しますが、単なるグルメの話に留まらず、土地と生活に密着したものとして捉えられていることに対し、深く共感しました。
そして、you are what you eatではないですが、お二人が異国での滞在で食と向き合うことを通じて、次第に自分自身のありようについて変化させていく様子に、感動しました。僕自身は、世界各地のアニメーションを見ることを通じて、自分にはなかったさまざまな見方・考え方をインストールし、変化したいと思ってきました。それは当然、食においても起こりうることなのだと。
食と生活とメタモルフォーゼについて、お二人に突っ込んだお話しをお聞きできることが楽しみです。(土居伸彰)
※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。
※ 近藤さんはニューヨーク在住のため、後半(21:00〜)よりビデオ通話を使用しての出演となります。
近藤聡乃 Akino Kondo
1980年千葉県生まれ。マンガ家、アーティスト。アニメーション、ドローイング、エッセイなど多岐に渡る作品を国内外で発表している。2019年「近藤聡乃展 呼ばれたことのない名前」(三菱地所アルティアム、福岡)、2018 年「MAM SCREEN 008: 近藤聡乃」(森美術館、東京)。著書に『はこにわ虫』『いつものはなし』(青林工藝舎)、『うさぎのヨシオ』『A子さんの恋人』全7巻(KADOKAWA)、『ニューヨークで考え中』1~3(以下続刊・亜紀書房)、作品集『近藤聡乃作品集』(ナナロク社)、エッセイ集『不思議というには地味な話』(ナナロク社)など。2008年よりニューヨーク在住。
三浦哲哉 Tetsuya Miura
1976年福島県郡山市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。現在、青山学院大学文学部比較芸術学科准教授。映画批評・研究、表象文化論。食に関する執筆も行う。著書に『サスペンス映画史』』(みすず書房)、『映画とは何か──フランス映画思想史』(筑摩選書)、『『ハッピーアワー』論』(羽鳥書店)、『食べたくなる本』(みすず書房)、『LAフード・ダイアリー』(講談社)。共著に『ひきずる映画 ポスト・カタストロフ時代の想像力』(フィルムアート社)、『オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議』』(石岡良治との共編著、フィルムアート社)。訳書に『ジム・ジャームッシュ インタビューズ 映画監督ジム・ジャームッシュの歴史』(ルドヴィグ・ヘルツベリ編、東邦出版)がある。
土居伸彰 Nobuaki Doi
1981年東京生まれ。株式会社ニューディアー代表、ひろしまアニメーションシーズン(ひろしま国際平和文化祭 メディア芸術部門)プロデューサー。アニメーションに関する研究、執筆、配給、イベント企画運営、プロデュースおよび制作に携わる。国際アニメーション映画祭での日本アニメーション特集キュレーターや審査員経験多数。著書に『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』、『21世紀のアニメーションがわかる本』(いずれもフィルムアート社)、『私たちにはわかってる。アニメーションが世界で最も重要だって』(青土社)、『新海誠 国民的アニメ作家の誕生』(集英社新書、2022年10月発売)。2023年7月より企画・プロデュースするTVシリーズ『いきものさん』(和田淳監督)が、MBS/TBS系 全国28局で放送。