作家をやっていくうえで重要なポイントのひとつは、「覚えてもらうこと」です。あなたがあなただと認識してもらうこと、他の作家との違いを見せることです。
そのためには、あなただけの特徴(個性、作風、得意技、専門分野など)をアピールする必要があります。どんな小さなことでも、他の人に書けない要素があれば、小説を読んでもらうための武器になります。
1年間のSF創作講座のスタートにあたって、「わたしはこういう小説が書けます」とアピールする名刺がわりの1作を書いて、講師や他の受講生に、作家として自己紹介しましょう。
「ああ、1回目にアレを書いた人ね」と覚えてもらうことを心がけてください。
(大森望)
小浜徹也(東京創元社) Tetsuya Kohama
1962年、徳島県生まれ。京都大学SF研究会OB。1986年に東京創元社へ入社し、編集者として一貫してSFを担当。近年の担当書籍は、松崎有理、宮内悠介、酉島伝法、高山羽根子など創元SF短編賞出身者の作品、中村融のテーマSFアンソロジーや、2016年に始めた創元SF文庫の新版・新訳版シリーズ〈SFマスターピース〉など。ウンベルト・エーコと島崎博の来日イベントの司会をつとめたことが生涯の自慢。2000年に柴野拓美賞を受賞。
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。