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【イベント概要】
人類学者の磯野真穂さんの新著、『他者と生きる』(集英社新書)が話題を呼んでいます。
本書のなかで磯野さんは、今の社会に共有される人間観として「個人主義的人間観」「関係論的人間観」「統計学的人間観」の3つを挙げています。その中でも、疫学や予防医学の拡がりや、「統計によって示された科学的な事実」を引き受けるべきであるという社会からの圧力の強まりなど、「統計学的人間観」の権威の高まりを指摘しました。
しかし、「統計」や「数」は、ある面においては現代社会において欠かすことのできない要素でもあります。私たちはこれらとどのように向き合っていけばいいのでしょうか。
この問いに向き合うために、磯野さんとご対談いただくのは、「計量社会学」と呼ばれる、社会学の中でも統計や数を扱うことの多い分野を専門とされている、筒井淳也さん。計量社会学では、調査統計をもとに人々の意識や行動あるいは社会の仕組みを分析する……といったイメージがありますが、筒井さんは、昨年11月に刊行された『社会学――「非サイエンス」的な知の居場所』(岩波書店)において、ときに数量データからはなれたところで行われる社会学の持つ「非サイエンス的」な傾向が、学問にどのように貢献しうるのか、という問いにも取り組まれています。
司会は新型コロナ禍で揺れ動く東京を描いた『東京ルポルタージュ』(毎日新聞出版)の著者で、ジャーナリストの石戸諭さん。私たちと数の関係について考えるうえで、報道の分野においても様々な問題が含まれていることは、この2年半あまりの新型コロナウィルス感染症に関する内容を思えばあらためて言うまでもありません。
統計的に見えてくる傾向や事実を人々はどのように受け止めるべきなのか。人類学と社会学、それぞれの学問において、数や統計を使ってどれだけのことが言えるのか。あるいは、違うやり方でそれらと向き合うことはできるのか。
ゲンロンカフェでぜひ、一緒に考えてみませんか。
磯野真穂『他者と生きる――リスク・病い・死をめぐる人類学』(集英社新書)
磯野真穂 Maho Isono
人類学者。専門は文化人類学・医療人類学。博士(文学)国際医療福祉大学大学院准教授を経て2020年より独立。著書に『なぜふつうに食べられないのか――拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界――「いのちの守り人」の人類学』(ちくま新書)、『ダイエット幻想――やせること、愛されること』(ちくまプリマー新書)、『他者と生きる――リスク・病い・死をめぐる人類学』(集英社新書)、宮野真生子との共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社)がある。
筒井淳也 Junya Tsutsui
立命館大学産業社会学部教授。専門は家族社会学、計量社会学、女性労働研究。1970年福岡県生まれ。一橋大学社会学部、同大学院社会学研究科博士課程後期課程満期退学、博士(社会学)。著書に『仕事と家族』(中公新書、2015年)、『結婚と家族のこれから』(光文社新書、2016年)、『社会学入門』(共著、有斐閣、2017年)、Work and Family in Japanese Society(Springer、2019年)、『社会を知るためには』(ちくまプリマー新書、2020年)など。内閣府第四次少子化社会対策大綱検討委員会・委員、京都市男女共同参画審議会・委員長など。
石戸諭 Satoru Ishido
1984年、東京都生まれ。ノンフィクションライター。立命館大学法学部卒業。2006年、毎日新聞社に入社。2016年、BuzzFeed Japanに移籍。2018年、独立してフリーランスのライターに。2020年、「ニューズウィーク日本版」の特集「百田尚樹現象」で第26回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞、2021年、「文藝春秋」掲載のレポート「『自粛警察』の正体」で第1回PEPジャーナリズム大賞を受賞。週刊誌から文芸誌、インターネットまで多彩なメディアヘの寄稿に加え、テレビ出演など幅広く活躍中。著書に、『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象 愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』(光文社新書)、『視えない線を歩く』(講談社)、『東京ルポルタージュ』(毎日新聞出版)。
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