ネットで
見る
-
チャンネル会員無料
-
一般990円
-
チャンネル会員無料
-
一般500円
-
チャンネル会員無料
-
一般1,000円
本イベントは、シラス・ニコニコ生放送のゲンロン完全中継チャンネルからインターネット配信でご覧いただけます。
放送開始から4時間30分を超えてイベントが続いた場合、ニコ生では配信を終了しますが、シラスでは有料で延長配信をおこないます。
シラスのシステム上、延長部分のみの購入はできません。延長部分のご視聴をされたい方は、あらかじめシラスで番組本編をご購入ください。
【イベント概要】
ゲンロン・カフェ開業10周年にあわせてスタートした、若手研究者を応援する新シリーズ「学問のミライ」第4弾!
今回のゲストは、文化人類学者の吉田航太さんです。
インドネシアのダークインフラ、とりわけ廃棄物処理における技術や科学の人類学に取り組んでいる吉田さん。なかでも、調査地であるインドネシア第2の都市・スラバヤで生まれた、ゴミを「堆肥」化するテクノロジーに注目した研究を行なっています。
今回のイベントでは、まず、インドネシアとはどのようなところかという話題に始まり、科学技術人類学という分野やスラバヤでのフィールドワーク、そしてゴミを「堆肥」化するテクノロジーについて、写真などを交えながら、吉田さんの研究内容について掘り下げます。
しかしそれにしても、インドネシアで行われているゴミを堆肥化する技術だって?と思われた方もいるかもしれません。そのどこに注目すべきなのか。
じつはいま、「堆肥」がアツいんです。たとえば日本では、堆肥は「里山」のイメージと結びつけられ、自然との共生をつくりだす「土に根ざした」ものとして肯定的に論じられることがあります。また、とりわけアメリカ西海岸の現代思想では、さまざまな生物種が混ざりあった共生体をあらわす言葉として、脱人間中心主義のスローガンのように堆肥が語られています(代表的な論者としてダナ・ハラウェイなど)。
いま「堆肥」は、まさしく現代的な問題意識と視点から、さまざまに捉え直され、再評価されている最中なのです。
他方、吉田さんが研究しているのはインドネシアのゴミの堆肥化技術。そこで、日本の里山でもなく、カリフォルニアの庭付き一戸建てでもなく、インドネシアの大都会を調査地に選んだことが、吉田さんの研究をめちゃくちゃ面白くしています。
じつは、インドネシアが位置する熱帯気候には、ほんらい堆肥なるものは存在しません。気候と土壌が異なるので、農耕と肥料のかたちも異なります。だから、インドネシアの堆肥は、土に根ざしたものではまったくなく、むしろ自然とは切り離されたところで生成される、科学的で、未来主義的な存在だといえるのです。
そこから、日本やアメリカの「温帯主義」的な思考とは異なる、インドネシアの「熱帯の技術論」が浮かび上がります。
(インドネシアにおける堆肥化技術と温帯主義/熱帯主義/未来主義について論じた吉田さんの論考を「webゲンロン」にて近日公開予定です。)
「堆肥」に注目すると、「ダーク」な部分と「明るい」部分が入り混じっている廃棄物処理の複雑さが見えてくるという吉田さん。今回のイベントでは、インドネシアの廃棄物処理をとりまく政治や環境問題、市民参加といったアクチュアルな問題にはじまり、「熱帯の技術論」を通してみえるカリフォルニアン・イデオロギーや日本の里山ナショナリズムなど、現代的なさまざまな論点にも議論を広げます。
いま人類学者は熱帯でなにを考え、なにを論じることができるのか──。インドネシアのダークインフラをめぐる科学技術人類学研究からダイナミックに展開する、ここでしか聴けないビビッドな議論に、ぜひご期待ください。(植田将暉)
【「ゲンロン・セミナー」、「学問のミライ」とは】
2023年2月から、大学院生たちが中心となって企画・運営する、新たな連続イベント「ゲンロン・セミナー」と「学問のミライ」がスタート!
どちらも、ゲンロンに勤務する大学院生のスタッフらが「聞き手」となり、ゲストの研究者から「学問の面白さ」を引き出すという、これまでにない「対話」形式の学術イベントです。
開業10周年を迎えるゲンロンカフェによる、学問の未来を切り開くための新しい挑戦を、ぜひ応援いただけますと幸いです。
詳細はこちら
※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。
吉田航太 Kota Yoshida
1990年生まれ。博士(学術)。静岡県立大学国際関係学研究科 助教。専門は、文化人類学、科学技術社会論、インドネシア地域研究。科学技術テクノロジーの人類学的研究という観点から、インドネシアにおけるゴミ問題および廃棄物処理技術の研究を行っている。著作に、『ワードマップ科学技術社会学(STS)』(共著、新曜社)、「インフラストラクチャー/バウンダリーオブジェクトにおける象徴的価値の問題」(『文化人類学』)、「ダークインフラの合理性」(『文化人類学研究』)ほか。翻訳に、ブリュノ・ラトゥール、スティーヴ・ウールガー『ラボラトリー・ライフ』(共訳、ナカニシヤ出版)。
植田将暉 Masaki Ueta
1999年、香川県生まれ。早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程在籍。憲法学、特に「自然の権利」をめぐる比較憲法史。ゲンロン編集部所属。