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【イベント概要】
各メディアで話題騒然のゲンロンの新刊『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1』
この著者として今年4月、東浩紀らと共にチェルノブイリ取材に訪れた社会学者・開沼博氏、そしてロシア文学研究家・上田洋子氏。
2人は今回「ふくしま復興塾」の塾生らと共にリサーチの目的で再び、チェルノブイリ取材に赴きます。
帰国後の2人を迎え、ゲンロンでは再訪報告会の開催を決定!『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』を読んだ人も、これから読むという人も、ぜひふるってご来場ください。
以下、上田洋子氏より今回のチェルノブイリ取材の詳細についてご紹介いただきました。
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4月の『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β4−1』取材後はじめて、執筆陣から開沼博と上田洋子が福島大学うつくしまふくしま未来支援センター主催の福島復興塾ウクライナ視察に同行し、8月にふたたびチェルノブイリを訪れます。今回参加するゾーンツアーは作家セルゲイ・ミールヌイ氏が企画した、放射能汚染の情報に重点をおいたものです。チェルノブイリ本のインタビューに登場するミールヌイ氏は、事故数ヶ月後に放射線偵察隊の一因として、チェルノブイリ原発周辺地域の線量調査を行った人物で、現在は情報汚染の研究をしています。
事故直後に街全体が強制避難となった原発作業員の街プリピャチに代わるものとして1988年に建設された原発都市スラヴチチでは、市長や都市建設に関わった建築家に話を聞きます。2000年のチェルノブイリ原発稼働停止によって多くの作業員が職を失い、スラヴチチは危機的な状況に陥りました。しかしその後、自由経済区のステイタスを獲得し、街として生き延びることに成功しています。さらに、チェルノブイリ原発から直線距離で約80kmの都市コロステンを訪れます。コロステンは中等度の放射能汚染を被りましたが、独自の方法で放射能汚染被害克服モデルを実現し、放射能災害後の復興モデルとして注目されています。
スラヴチチ http://www.slavutichcity.net/
訪問先:
★市役所
★スラヴチチ市とチェルノブイリ原発郷土史博物館
http://ko-tourism.gov.ua/ru/places/museum/slavutych-and-chornobyl-power-station-lo-24/
コロステン http://www.korosten-info.com/
訪問先:
★社会精神リハビリセンター
チェルノブイリ事故被災者を、放射能汚染およびチェルノブイリ原発閉鎖後のネガティヴな社会・経済的プロセスによって生じる問題から、社会的・精神的に守ることを目的としている。
放射能に対する正しい知識を教育、住民の精神状況の分析、情報発信、汚染状況のモニタリング等も行なっている。特に子供に対する放射能汚染関連の教育に力を入れている。
http://www.korosten-info.com/index.php?option=com_content&view=article&id=379&Itemid=398
★ジトミール州診療センター コロステン出張所
日本の支援で最新型の超音波診療装置とデータ分析用コンピュータを設置。
http://www.korosten-info.com/index.php?option=com_content&view=article&id=81
★歴史的軍事施設「スケリャ」博物館
スターリン時代の秘密軍事施設。地下シェルター的な何かだったらしいが、真相は不明とのこと。地下40メートルのところに156メートルのトンネルがあり、30以上の部屋につながっていた。大祖国戦争前、コロステンからポーランド国境まで60キロメートルだった。古代の洞窟を用いたスケリャはソ連西部国境最大のコロステン防衛強化地区における予備戦闘指揮拠点のひとつであったのではないかとされている。
http://www.korosten-info.com/index.php?option=com_content&view=article&id=433&Itemid=469
【チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイドについて】
「観光地化する原発事故跡地!」
誰も知らない、あの悲劇の27年後とは——
3.11後に福島で取材を重ねた東浩紀・開沼博・津田大介の3名が、チェルノブイリへの取材を敢行。
立入禁止区域内、廃墟と化した周辺自治体、そして原子力発電所内部を巡りながら、未だ収束しない事故現場でさまざまな関係者の声を聞きました。写真家・新津保建秀の美しくも緊張感の漲ったグラビアとともに、その現場を子細にレポートします。
東浩紀によるツアー手記や開沼博による論考、津田大介によるルポルタージュに加え、観光学者・井出明による世界の「ダークツーリズム」スポットのガイドや、速水健朗による「空想のなかのチェルノブイリ」文化論、ロシア/ウクライナの専門家によるコラムなども充実。
1986年に起きたレベル7の原発事故から四半世紀。チェルノブイリの「現在」から、日本の「未来」を導きだす一冊です。
続く思想地図β4-2「福島第一原発観光地化計画」と対を成す、思想地図βシリーズの新境地!
http://genroninfo.hatenablog.com
開沼博 Hiroshi Kainuma
1984年福島県いわき市生まれ。福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。著書に『フクシマの正義「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(同、佐藤栄佐久氏との共著)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。学術誌の他、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。
上田洋子 Yoko Ueda
撮影=Gottingham
1974年生まれ。ロシア文学者、ロシア語通訳・翻訳者。博士(文学)。ゲンロン代表。早稲田大学非常勤講師。2023年度日本ロシア文学会大賞受賞。著書に『ロシア宇宙主義』(共訳、河出書房新社、2024)、『プッシー・ライオットの革命』(監修、DU BOOKS、2018)、『歌舞伎と革命ロシア』(編著、森話社、2017)、『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』(調査・監修、ゲンロン、2013)、『瞳孔の中 クルジジャノフスキイ作品集』(共訳、松籟社、2012)など。展示企画に「メイエルホリドの演劇と生涯:没後70年・復権55年」展(早稲田大学演劇博物館、2010)など。
東浩紀 Hiroki Azuma
1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。