フード左翼講座 ~消費と政治、その分かち難いランデブーのゆくえ~#3食から見たポップカルチャー

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【イベント概要】

フード左翼講座第3回
食から見たポップカルチャー

僕(速水健朗)は、美食や有名店、有名料理人などにほとんど興味を持たない人間ではありますが、食をテーマにした本を2冊書いています。
ラーメンを通して戦後の国民意識の変遷を著した「ラーメンと愛国」と、現代人の政治意識は食の好みに反映されるという「フード左翼とフード右翼」の二冊です。
食そのものではなく、食を通して何かその先のものを見る。それが上記2冊の本のスタンスであり、僕の本を書くときによくやる手つきのようなものです。食には,様々なものが投影されます。家族、地域性、生活意識、歴史性。これらが合わさり合って、政治意識へと発展するのです。
これまでのフード左翼講座では、「西海岸イデオロギーとは何か」「空想社会主義とオリーブ少女」といった現代の文化を「革命」「社会変革」というキーワードをもって語ってきました。最後となる今回は、映像作品における「食事シーン」を語りたいと思います。
かつて森田芳光の「家族ゲーム」が「家族の崩壊」を食卓の崩壊として描きました。これに代表されるように、フードを通して家族像を示すというのは、よく行われる手法です。『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』の著者である福田里香さんは、「フードは人間の機微を伝えるための優秀な装置」として、食事場面を通した映画の理解法を説きました。
この「フード理論」の応用をフード左翼講座で試みたいと思います。
今回の講義で取り上げるのは、古今東西の映画、昨今のドラマやCMなどです。
篠原涼子が演じるOLは、なぜ1人で飯を食うのか。「最高の離婚」で尾野真千子と英太はなぜロールキャベツをつくったのか。
ほかにも、昨今のマンションCMは、キッチン、ダイニングを描くことで、家族の絆の再確認を促すつくりになっています。
「フード左翼」の本の中では、映画版「モテキ」の話を書きましたし、「サマーウォーズ新劇場版エヴァでは、食がしつこいくらいに描かれます。また昨今は「食堂カタツムリ」「かもめ食堂」のように、食とその場所を描いた作品がヒットしています。なぜならこれらが家族とコミュニティを巡るテーマのお話だから。現代において、この2つが重要なテーマであることも間違いありません。
最終回は、ゲストなしで速水の1人語りです。また、最終回講義後も、そのまま参加者の皆様にワインをふるまいながら(講師からのおごりです)の反省会を開催します。ぜひそちらもご参加ください。

速水健朗 Kenro Hayamizu

フリーランス編集者・ライター。1973年生。主な分野は、文化全般、本や都市、メディア史など。近著『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』ほか、『ケータイ小説的。——“再ヤンキー化”時代の少女たち』(原書房)、『ラーメンと愛国』(講談社現代新書)、『1995年』(ちくま新書)、『フード左翼とフード右翼』(朝日新書)、『東京β』(筑摩書房)、『東京どこに住む?』(朝日新書)など。
ポッドキャスト「これはニュースではない」配信中。

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放送開始
2014/04/17 19:00
タイムシフト視聴終了
2014/04/24 18:00