時を超えるアート──美術の復興/復興の美術

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【イベント概要】

実作者として、理論家として、現代美術界で圧倒的な存在感を放ち続けてきた岡﨑乾二郎。

今年2月、岡﨑の主著である『ルネサンス 経験の条件』が、単行本から12年の歳月を経て、ついに文庫化された。ルネサンス期の天才たちの作品を分析し、その謎を解き明かす同書だが、その射程は西洋絵画・建築論にとどまらない。岡﨑がブルネレスキやマサッチオの作品から取り出そうとしたのは、時間や空間などの枠組みを超えて、それでもなお持続するプロセス、構造、メディウムの問題である。もし作品が、作者の身体、生命が消え、その社会自体が滅んでも、長大なタイムスパンで生き続けるとしたら、その構造はどのようなものなのか?
いまその岡﨑の問いは、「1000年に一度」と言われたさきの震災と共鳴せざるをえない。

他方で岡﨑は、昨年夏に、展覧会『ET IN ARCADIA EGO 墓は語るか 彫刻と呼ばれる、隠された場所』展のキュレーションを担当している。同展で岡﨑は、墓が、地上に出て私たちの目に触れる「墓標」と、地下に隠された「墓室」の対であることに焦点を当てた。墓=彫刻の本質とはじつは、現世の私たちに向けた墓標の表現ではなく、表象される現在とは無関係に成立する能産性、生産サイクルにこそあるのだ。実現しなかったイサム・ノグチの原爆慰霊碑プランや、白井晟一の「原爆堂」計画を分析しながら、現世の秩序あるいは人間という表象とは、無縁に成立する回路があることを確認することこそ「希望」なのだ、と語るその主張は、現状の震災復興計画群に対する岡﨑なりの異議申し立てであるように見える。

そのような彼は、『福島第一原発観光地化計画』を中心として、哲学、文学の側からの「復興」を提案してきた東浩紀の活動をどう見ているのか。復興期の美術はなにをなすべきか。そしてそれは現代美術の復興につながるのか。カオス*ラウンジ主宰であり、近著『情報社会の情念』で話題を呼んだ新世代の美術家・黒瀬陽平を司会に、アートと震災復興の本質を問う。

岡﨑乾二郎 Kenjiro Okazaki

1955年東京生まれ。造形作家。批評家。武蔵野美術大学客員教授。1982年パリ・ビエンナーレ招聘以来、数多くの国際展に出品。「灰塚アースワーク・プロジェクト」、「なかつくに公園」等のランドスケープデザイン、2002年「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」(日本館ディレクター)、2007年現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、つねに先鋭的な芸術活動を展開してきた。東京都現代美術館(2009~2010年)における特集展示では、1980年代の立体作品から最新の絵画まで俯瞰した。主な著書に『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー)、『芸術の設計——見る/作ることのアプリケーション』(編著、フィルムアート社)、『絵画の準備を! Ready for Painting! 松浦寿夫×岡崎乾二郎対談』(朝日出版社)、『漢字と建築』(共著、INAX出版)。現在、豊田美術館で「抽象の力」展を開催中。

東浩紀 Hiroki Azuma

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(1998年、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(2001年)、『クォンタム・ファミリーズ』(2009年、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(2011年)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(2017年、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(2019年)、『テーマパーク化する地球』(2019年)ほか多数。

黒瀬陽平 Yohei Kurose

1983年生まれ。美術家、美術評論家。ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校主任講師。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。2010年から梅沢和木、藤城嘘らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。主なキュレーション作品に「破滅*ラウンジ」(2010年)、「キャラクラッシュ!」(2014年)、「カオス*ラウンジ新芸術祭2015『市街劇 怒りの日』」(2015年)など。「瀬戸内国際芸術祭2016」にカオス*ラウンジとして参加。著書に『情報社会の情念』(NHK出版)。

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2015/08/27 00:00
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