「映画的」であるとはどのようなことか?──見世物から『マッドマックス』へ

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【イベント概要】

現代の映像環境は、かつて予想していたものとは少し異なった方向に進んでいる。1970年代から80年代の情報化が進行した時期に、情報テクノロジーは現実のリアリティを凌駕し、身体から自由になった情報空間を形成すると考えられた。しかし、デジタルメディアの時代になって、人はむしろ、かつてよりさらに身体に拘束されるようになっている。そのような情報化に伴う映像の変容を考えるにあたっては、媒体そのものよりも、イメージが観客に及ぼす作用から考える必要があるだろう。

細馬宏通、平倉圭、畠山宗明の三名は、今年3月にゲンロンカフェでゴダール初の3D作品である『さらば、愛の言葉よ』を運動や身体という観点から論じたが、ここで取られたアプローチは、現在の映像環境全体を考える上でも有効である。それゆえ本イベントでは、映像環境の今日性を、再び同じアプローチから論じる。 とりわけ考えてみたいのは、「映画的なもの」の行方である。映画は20世紀を通じて、映像で「語る」ための文法を作り上げてきたが、映画が数ある視聴形態の一部にすぎなくなった現在、「映画的なもの」のあり方も、大きく変わってきていると思われるからだ。

代わって登場してきているのは、見世物的なパラダイムである。複雑な編集に依拠した洗練された物語は、映像のインパクトにますますその場を譲りつつある。見世物から生まれた映画は、デジタル技術の登場を経て、むしろ映画以前のパラダイムに回帰しているかのようなのである。 しかし一方で、アメリカを中心に作り上げられた映画的な文法は、非西洋圏で制作された映画や、Youtubeで拡散する個人制作の動画などを通じて、むしろその影響力を強めている。「映画的なもの」は、グローバルにその覇権を広げているかのようでもあるのだ。

このような映像環境にあって、私たちは「映画的なもの」の位相をどのように考えたらよいのか?本イベントではこうした問題意識から、「映画的なもの」と現代の映像環境の交錯を、『ゼロ・グラヴィティ』や『マッドマックス』、さらにはISの処刑動画などネット上に氾濫する動画などから考えてみたい。
(畠山宗明)

現代ハリウッド映画における「人+物」結合体の動きと作用力を捉えたい。物体としての人が他の物体と結合する(宇宙船・トラック・義手・拘束具・各種パイプ・コード・棒etc.)。結合した物体が互いを破壊しあう。飛び散る小物体(それらは記述され、振り付けられている)。遅れて追いかけるカメラ(カメラも振り付けられている)。そうして非物体的な画面に、強い「作用力」が生み出される。この作用力はいったい何か?
(平倉圭)

 

【イベント後記】


 

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togetter

平倉圭 Kei Hirakura

1977年生。芸術学。横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授。芸術制作における知覚と行為の働きを研究している。著書に『ゴダール的方法』(インスクリプト、第二回表象文化論学会賞受賞)、共著に『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(森話社)、『 ディスポジション:配置としての世界』(現代企画室)、『美術史の7つの顔』(未來社)など。新著に『かたちは思考する:芸術制作の分析』(東京大学出版会)。

細馬宏通 Hiromichi Hosoma

1960年生まれ。京都大学大学院理学研究科(理学博士)を経て、滋賀県立大学人間文化学部教授。専門は日常会話や協働作業における身体動作の研究。塔、パノラマ、絵はがき、アニメーション、流行歌など視聴覚文化史にも関心をよせる。著作に『うたのしくみ』(ぴあ)、『今日の「あまちゃん」から』(河出書房新社)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』(新潮選書)、『浅草十二階(増補新版)』『絵はがきの時代』(青土社)など。

畠山宗明 Muneaki Hatakeyama

1974年生まれ。聖学院大学特任講師。映画史、映画理論史。ロシアの「モンタージュ理論」を中心に、現代のメディア環境に則した映画理論の読み直しを行っている。論文に、「アニメーションの詩学——セルゲイ・エイゼンシュテインと映画のヴァナキュラー」(『SITE ZERO/ZERO SITE』No.3、メディア・デザイン研究所)「レイヤー化するイメージ」(『デジタルの際』、聖学院大学出版会)など。

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2016/02/11 00:00
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