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講評無料
〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の実作講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【実作課題】
あなたにとって『おもしろさ』とは何か。
人類が未だ見たことのない『変な世界』のヴィジョンを打ち出すことができるのは、SF作家としてはとても強い武器です。しかしSFは同時に、そのヴィジョンをエンターテインメントとして成立させて、読者=お客さんに響く物語であることを求められます。
次回の梗概では、自分にとって「これだ!」と思えるアイデアを、読者にとって効果的に響くエンタメSFとして提示できるように、物語の見せ場と見せ方を意識して組んでみてください。自分が書きたいものを、いかにドラマとして落とし込むか。伝えたい作品のテーマを最も強く届けるためには、どんな驚きや読者への揺さぶり、感動が求められるのか。困難な問いですが、それを探求してあなたにとっての「おもしろさ」を固めることができれば、物書きとしてのレベルが一段上がることは間違いありません。
一点突破のヴィジョンを、エンターテインメントの道具として機能させること。
『エンタメSF』の設計が次回の課題です。
(参考文献)
長谷敏司から参考文献
ジェイムズ・P・ホーガン『未来の二つの顔』
大森望から参考文献
宮澤伊織「神々の歩法」
塩澤快浩から参考文献
小川一水「漂った男」(『老ヴォールの惑星』収録)
【梗概課題】
物語とは、人と人が時間や空間を超えてつながるための手段です。
さまざまな神話や昔話、あるいは誰もが知っている歴史的事件など……。
長年受け継がれてきた物語を、自分の想像力でSFにしてみてください。
既存のストーリーやキャラクターを下敷きにすることで、そこからどう起承転結を変えれば意外性を出せるのか、どれくらいの登場人物数を自分の力量で動かせるか……といったことが訓練できるはずです。
たとえば「桃太郎」を、時代や国家を変えて語り直してみる、なんてこともできるでしょう。
過去の蓄積を換骨奪胎して、新しい物語を作ることが次回の課題です。
(参考文献)
ジョーゼフ・キャンベル、ビル・モイヤーズ『神話の力』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
ジョーゼフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄』上・下(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
※ただし、プロットを作ったあとに読むこと。
【イベント後記】
当日のtweetのまとめはこちら!
藤井太洋 Taiyo Fujii
1971年、奄美大島生まれ。 国際基督教大学中退。舞台美術、DTP制作、展示グラフィックディレクターなどを経て、2013年までソフトウェア開発・販売を主に行う企業に勤務。2012年、電子書籍個人出版「Gene Mapper」を発表し、作家として一躍注目を浴びる。同年12月短篇小説「コラボレーション」「UNDER GROUND MARKET」の2作で商業誌デビューし、2013年4月に、「Gene Mapper」の増補完全版『Gene Mapper -full build-』(ハヤカワ文庫JA)を刊行。『オービタル・クラウド』(早川書房)で、第35回日本SF大賞、第46回星雲賞(日本部門)を受賞。日本SF作家クラブの第18代会長(2015年~2018年)を務める。
新井久幸 Hisayuki Arai
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。