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〈ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾〉の講義を生中継します。
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「講評」部分については、タイムシフトを公開しません。あらかじめご了承ください。
【課題】
初等教育の国語科で教師から言われました。
「登場人物の気持ちになって考えましょう」
よくわからない文章です。
「登場人物の気持ちを考えろ」ではないのです。
「登場人物の気持ちになれ。そして、○○を考えろ」と言っているのです。
○○を埋める目的語は何でしょうか。
批評は過剰なおこないです。
求められもせず、対象を選び出しては論じ、世界の網の目を編んだり破ったりする。対象があなたに迫り出してきたのでしょうか。それにしても、批評を書こうとするあなたは主体性がやや強いのだと思います。
そこで、主体性をさらに過剰に発揮し、対象とする作品中の登場人物になりかわり、その一人称を使って作品を批評してください。
登場人物は何らかを語っていることでしょう。
しかしながら、登場人物の声がすべて書かれているわけではありません。
この課題は、書かれていないけれども聞こえてくる声を掬い(捏造し)、登場人物に寄り添い(人質にして)、作品を異なるものに生み変え(変装させ)る作業になるでしょう。
あなたの思想性や歴史観とともに、倒錯趣味や犯罪的手腕の見せどころかもしれません。
〔書き手の私/作品〕という関係を一時的に解除し、〔作品内の私/作品〕という閉塞的な関係を構えることで、批評の形態を揉みほぐす試みです。
「登場人物の気持ちになって作品を考えましょう」
・ジャンル不問。
・登場人物名と作品名を明記すること。(文中でも可)
・便宜的に登場人物としたが、人物である必要はない。
・対象は作品に限る。(作家評やジャンル評なども考えられるが、今回は除く)
【イベント後記】
当日のtweetのまとめはこちら!
五所純子 Junko Gosho
文筆家。エッセイ、批評、創作、パフォーマンスなどにおいて、ジャンルに囚われない言葉を用いた活動をおこなう。著書に『スカトロジー・フルーツ』(天然文庫)など。
佐々木敦 Atsushi Sasaki
撮影=新津保建秀
1964年生まれ。思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。芸術文化のさまざまな分野で活動。著書に『成熟の喪失』(朝日新書)、『「教授」と呼ばれた男』(筑摩書房)、『増補新版 ニッポンの思想』(ちくま文庫)、『増補・決定版 ニッポンの音楽』(扶桑社文庫)、『ニッポンの文学』(講談社現代新書)、『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『批評王』(工作舎)、『新しい小説のために』『それを小説と呼ぶ』(いずれも講談社)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、小説『半睡』(書肆侃侃房)など多数。