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友の会会員限定最前列席 前売券2,600円
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【イベント概要】
8月1日に刊行される『人間から遠く離れて——ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』(佐々木 友輔, noirse 著)、初夏に刊行されたばかりの『ゲンロン5 幽霊的身体』(東浩紀編)関連イベントをゲンロンカフェにて開催いたします! テーマは21世紀映画と、新たな映画論運動!
ご登壇いただくのは『人間から遠く離れて』著者の佐々木友輔監督、そして『ゲンロン5』に論考「『顔』につく幽霊たち——映像文化と幽霊的なもの」をご寄稿いただいた映画批評家の渡邉大輔氏。「旅」と「幽霊」という重要なキーワードをもとに、新たな映画論が動きだします。夏の夜の濃い映画トーク、ぜひご堪能ください!
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渡邉大輔氏とは長い付き合いになりますが、公の場でじっくりお話するのは久しぶりな気がします。拙著『人間から遠く離れて――ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』については、言いたいことは文中で書ききってしまったので、渡邉氏から率直なご感想・ご批判をいただくのを楽しみにしつつ、ここでは、『ゲンロン5』所収の「『顔』に憑く幽霊たち――映像文化と幽霊的なもの」を拝読して、当日ぜひ議論ができればと思ったことを二つ記しておきたいと思います。
一つ目、「幽霊的身体」の実存と倫理。黒沢清『岸辺の旅』やアピチャッポン・ウィーラセタクンのフィルムに登場する、平然と人間たちと相互干渉する幽霊たちは、たしかに全然怖くない。けれど他方で、そこには、かつての幽霊映画とは別種の「怖さ」や「不気味さ」が宿っているようにも思えます。例えば、いつ醒めるとも知れない眠りや夢の不穏さが漂う『光りの墓』(アピチャッポン)と『エンジェルウォーズ』(ザック・スナイダー)。エクソシズムという定番の題材を扱いながら、情報社会における人間の悪意(悪魔憑き)を描いているとも読むことができそうな『死霊館』&『インシディアス』シリーズ(ジェームズ・ワン)。実写とCG・VFXという異なるルールを一つの身体に宿したヒーローたちの分裂と痛みを描く『アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン』(ジョス・ウェドン)、『マン・オブ・スティール』『バットマンvsスーパーマン』(ザック・スナイダー)……。『人間から遠く離れて』共著者のnoirseが言うように、これらのフィルムに触れることは、SNOWやInstagramで自らのイメージを仮構=加工しながら、今の所まだ生身の肉体を手放すことができずにいる人間たちの実存に触れることと同義ではないでしょうか。そしてまたここには、レヴィナス的な「顔」とは異なる倫理を打ち立てるためのヒントが隠されているのではないでしょうか。
二つ目。「ポストシネマ」について語ろうとしているわたしたちは、なぜこうまで「シネマ」あるいは「映画」にこだわらなければならないのか。先にも触れたSNOWやInstagram、あるいはアニメや海外ドラマの隆盛ぶりや軽やかさと比べると、長い伝統や慣習、そしてカメラが介在するがゆえの指標性に縛られた映画は、あまりにも鈍重で、不自由なものと見なされがちです。しかしもちろん、わたしが今も映画を撮り続けるのは、引っこみがつかなくなって意地を張っているからでもなければ、歴史遺産として保護したいからでもありません。他のメディアや芸術には不可能な、映画だからこそできることがまだまだあると信じているからです。そしてきっと渡邉氏も、同様の確信を持って、映画研究や批評に携わっているのではないかと想像しています。そんなわけで、現状を冷静に分析するだけではなく、「今の映画ってこんなに面白い!」「関わらなきゃ損だよ!」という積極的なアジテーションができれば……!!と思っているのですが、渡邉さん、いかがでしょう?(佐々木)
【当日扱うかもしれない作品リスト】
・ザック・スナイダー『エンジェル ウォーズ』(2011)
・ザック・スナイダー『マン・オブ・スティール』(2013)
・ザック・スナイダー『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)
・ジョス・ウェドン『アベンジャーズ』(2012)
・ジョス・ウェドン『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)
・マイケル・ベイ『トランスフォーマー/ロストエイジ』(2014)
・マイケル・ベイ『トランスフォーマー/最後の騎士王』(2017)
・ナチョ・ビガロンド『ブラック・ハッカー』(2014)
・ナチョ・ビガロンド『シンクロナイズドモンスター』(2016)※日本公開2017年11月
・ジェームズ・ワン『インシディアス』(2011)
・ジェームズ・ワン『インシディアス第2章』(2013)
・ジェームズ・ワン『死霊館』(2013)
・ジェームズ・ワン『死霊館 エンフィールド事件』(2016)
・ブリット・マーリング、ザル・ バトマングリ『The OA』(2016)
・アピチャッポン・ウィーラセタクン『ブンミおじさんの森』(2010)
・アピチャッポン・ウィーラセタクン『光りの墓』(2015)
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8月、気鋭の映像作家・映画監督であり、プロジェクトプランナー、出版レーベル主宰者、そして映像批評家とさまざまな顔を持ちながら活動を続ける佐々木友輔氏が、Twitterや同人誌での独特の映画論で注目を集めるnoirse氏と共著で『人間から遠く離れて——ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』(トポフィル)を刊行した。他方、6月に刊行された『ゲンロン5』の特集「幽霊的身体」に掲載された論文では、渡邉が佐々木氏の作品を論じている。
『人間から遠く離れて』ではアメコミ映画からゾンビ映画まで、現代ハリウッドの最前線で強烈な作家性を持つ大作をコンスタントに手掛けつつ、一部でカルト的な支持を集めながら、どこかこれまでまともに論じられることの少なかった映画監督、ザック・スナイダーの徹底した批評的顕揚が敢行される。さらにスナイダー作品を中心に、マーベル映画、クリストファー・ノーラン、M・ナイト・シャマラン、あるいは『バードマン』『ゼロ・グラビティ』『ラ・ラ・ランド』……などなど、現代ハリウッド映画の可能性が縦横無尽に論じられる。
振り返れば、ここ数年、世界的な「デジタル人文学 digital humanities」の勃興とも相俟って、国内の映画アカデミズムやジャーナリズムでも「映像のデジタル的転回」を取りあげる試みがつぎつぎと起こってきた。いわゆる従来の映画批評や映像論の枠にはおさまらない、映像文化論や視覚文化論と呼びうるような新ジャンルの著作が邦訳されたり、日本人著者による著作も続々と登場している。新世代の映画の隆盛とともに、いまやそれらを論じる映画論、映像論の批評的枠組みも更新されようとしているのだ。その中で、佐々木氏はいわば理論と実作の両面でそうした新たな映画運動の最前線で活動を続ける稀有な才能だろう。『新景カサネガフチ』『土瀝青』『TRAILer』など、先端的な映像環境を取り入れた作品は上映の度に口コミやSNSを通じて観客を増やし続け、若手の批評家からも熱烈な注目を集めている。のみならず、本書でもまた、noirse氏とともに、「速度の映画」「復路の映画」「ポリフォニック・シネマ」などなど、数々の刺激的なキーワードで激動する現代映画の核心を捉えている。とりわけ最大のキーワードが、従来型の「人間」=観客=ヒーロー像からの離反(=拡張)という問題意識だ。
他方で、渡邉は佐々木氏らと同様の問題意識をもって『ゲンロン5』掲載の論文「『顔』に憑く幽霊たち」でまさに佐々木の近作『TRAILer』を論じた。「ポストメディア」「ポストカメラ」、そして「ポストシネマ」……さまざまな「ポスト」=以後が映画を取り巻く環境の中でいわれる現在、かつての「人間」と「シネマ」の彼方に何があるのだろうか? そこでは、何が変わるのだろうか? というか、そもそもザック・スナイダーのすごさってどこにあるの?
当日は、なるべく佐々木氏のものも含めた具体的な作品の提示や作品評を含めながら、そんなさまざまな問いから派生する現代ハリウッド映画の変容と、新しい映像文化の見取り図について、佐々木氏と渡邉で徹底的に語り尽くす。ここから新たな映画(論)運動が始まる!(渡邉大輔)
佐々木友輔、noirse『人間から遠く離れて——ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』(トポフィル)
【イベント後記】
当日のtweetのまとめはこちら!
佐々木友輔 Yusuke Sasaki
1985年生まれ。映像作家、企画者。「揺動メディア」としての映画・ドキュメンタリー制作を中心に、脚本執筆や展覧会企画など領域を横断して活動している。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。現在、鳥取大学地域学部国際地域文化コース講師。近年の上映・展示に「第7回恵比寿映像祭」(2015年)、『記述の技術 Art of Description』(2016年)、『TRAILer』(2016年)、共著に『ART CRITIQUE n.04』(constellation books)、『ビジュアル・コミュニケーション──動画時代の文化批評』(南雲堂)など。2011年よりパブリッシングプロジェクト・トポフィルを共同運営し、『floating view “郊外”からうまれるアート』『土瀝青──場所が揺らす映画』に続く三冊目の著作『人間から遠く離れて──ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』(noirseとの共著)を2017年8月に刊行予定。
渡邉大輔 Daisuke Watanabe
1982年生まれ。映画史研究者・批評家。跡見学園女子大学文学部准教授。専門は日本映画史・映像文化論・メディア論。映画評論、映像メディア論を中心に、文芸評論、ミステリ評論などの分野で活動を展開。著書に『イメージの進行形』(2012年)、『明るい映画、暗い映画』(2021年)。共著に『リメイク映画の創造力』(2017年)、『スクリーン・スタディーズ』(2019年)など多数。
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