これからの本のかたち──「電子書籍元年」の繰り返しを終えた今語る、書物の未来

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【イベント概要】

2010年(iPad登場)、2012年(Kindle日本上陸)、…と何度も繰り返し叫ばれてきた「電子書籍元年」という言葉も耳に入らなくなってしばらく経ちました。 電子書籍の存在は一般に認知され、市場も拡大しています。とはいえ安定期に入ったわけではなく、IDPF(International Digital Publishing Forum)が W3C(World Wide Web Consortium)に統合されるなど、電子出版を取り巻く環境は動き続けています。この先、本とWebは融合していくのか?出版のかたち、 書物のかたちはどう変わっていくのか?

登壇するのは『ユニコード戦記』『EPUB戦記』の著者小林龍生さん、「マガジン航」編集発行人の仲俣暁生さん、『Gene Mapper -core-』のセルフパブリッシングによりデビューを果たしたSF作家の藤井太洋さんの3名。国際標準アーキテクト、編集者、作家…立場の異なる3人が出版・書物の未来について語ります!

▼2017/9/1 仲俣暁生さんからコメントをいただきました!
ゲンロンカフェのイベントに寄せて

かつて電子出版は、紙に代わるオルタナティブな回路として、おもに「表現者」にとっての夢だった。やがて電子書籍と呼ばれるようになったそれは、貪欲な「読者」にとっての効率よい消費手段となった。しかも初期の電子出版がみた夢の多くは、ウェブによってあっさりと実現されてしまった観がある。さらにいま、電子書籍とウェブは実質的に融合しつつある。これからのデジタル・ネットワーク環境に、「表現者」はどんな夢や可能性をみいだすことができるのか。彼らにとってそこは天国なのか、それとも……? 電子出版の黎明期から現在までの表裏を知り尽くす小林龍生さん、ウェブと電子書籍の蜜月期に登場した傑出した才能である作家の藤井太洋さん。このお二人と、そうした話題を遠慮なく、とことん話し合ってみたい。

(仲俣暁生)

▼2017/9/5 小林龍生さんからコメントをいただきました!

ヘルメス・トリスメギストスもホメロスも、バルザックが実在したといいうる意味では実在しなかった。作者の消滅によって空無のまま残された空間を標定すること。物語、叙事詩、悲劇など、今日〈文学〉と呼ばれているテクスト類が、作者を問われることなく流通し、価値を与えられる時代があった。反対に今日なら〈科学的〉と呼ばれるはずのテクスト類は、中世においては、作者名と共にでなくては受け入れられなかった。
転換が起こる。17・18世紀以降、科学的ディスクールはアノニマスなものとして認められることになる。作者=創造者の名はいまや、公理、命題、効果、症候群などに冠せられるだけとなった。反対に、文学上の匿名性は耐えがたいものとなる。
《中略》
デュアリズムが覆されるときは作者=創造者が死ぬとき。起源なき回帰、模倣の反復が始まる。

以上は、稀代の名編集者、中野幹隆が、『エピステーメー』終刊号に記した編集後記の一部です。昭和54年7月1日発行。
中野が言う〈転換〉は、グーテンベルクの活版印刷技術による書物の拡がりと分かちがたく結びついています。そして今、ぼくたちは、グーテンベルクが引き起こした変革に匹敵する文明史的な変革のただ中に在ります。中野が40年前に予見した未来が、実際にはどのような形を取るのか、仲俣さん、藤井さんと共に、じっくり考えたいと思います。

(小林龍生)

【イベント後記】

当日のtweetのまとめはこちら

togetter

小林龍生 Tatsuo Kobayashi

1951年生まれ。東京大学教養学部科学史科学哲学分科卒業。小学館編集部、ジャストシステムデジタル文化研究所を経て、有限会社スコレックス設立。 現在、同社取締役。元Unicode Consortium Director、元International Digital Publishing Forum Director、元ISO/IEC JTC1 SC2議長。 情報処理推進機構専門委員、日本電子出版協会フェロー、文字情報技術促進協議会会長など。

仲俣暁生 Akio Nakamata

1964年生まれ。東京都出身。フリー編集者、文筆家。『WIRED日本版』、『季刊・本とコンピュータ』などの編集者を経て、現在はウェブサイト『マガジン航』編集発行人のほか、文芸評論も手がける。メディアに関する著作に『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、編著『編集進化論』(フィルムアート社)など多数。文芸評論の近著は『失われた「文学」を求めて|文芸時評編』(つかだま書房)。

藤井太洋 Taiyo Fujii

1971年、奄美大島生まれ。 国際基督教大学中退。舞台美術、DTP制作、展示グラフィックディレクターなどを経て、2013年までソフトウェア開発・販売を主に行う企業に勤務。2012年、電子書籍個人出版「Gene Mapper」を発表し、作家として一躍注目を浴びる。同年12月短篇小説「コラボレーション」「UNDER GROUND MARKET」の2作で商業誌デビューし、2013年4月に、「Gene Mapper」の増補完全版『Gene Mapper -full build-』(ハヤカワ文庫JA)を刊行。『オービタル・クラウド』(早川書房)で、第35回日本SF大賞、第46回星雲賞(日本部門)を受賞。日本SF作家クラブの第18代会長(2015年~2018年)を務める。

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2017/09/06 19:00
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2018/07/19 13:00
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2018/07/26 18:00