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〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の実作講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【梗概課題】
基本的に小説って、登場人物全員の気持ちを想像して構築してゆくものですけれど、せっかくですので、人間以外の気持ちになってみてください。
難易度が低いのは、ペットがいる人ならば、うちの猫や犬の気持ち。なんとなく想像つきそうでしょ? でも、ベランダのプランターで栽培しているバジルの気持ちは、ちょっと 難しい。上京した時に買った冷蔵庫の気持ちは、相手が生き物でない分難しい。窓から見える電柱の気持ちは、感情移入のとっかかりがないので、更に難しいかも。難易度の設定はおまかせします。(擬人化を進めれば難易度低くなりそうです。植物なんかの場合、視覚、聴覚、痛覚がないという事実を生かすと、難易度高くなります。)
これは、その何かの一人称を書けっていうことではありません。また、その何かが主人公じゃなくてもいいです。作品の中で、とにかく、“何か”の気持ちになること、その“何か”の気持ちが、お話の上で大切なポイントになっていること、それが条件です。
一回、人間じゃないものの気持ちを、二、三時間真面目に考えてみると、意外と妙な発見があったりして面白いんじゃないかと。
(新井素子)
【実作課題】
バリ、お題は「月」です。
古今東西、人間はお月様から無数の物語のインスピレーションを得てきました。
太古の昔から、いったいどれほどの人が月を見上げ、おのれの心象を託してきたことでしょうか。「花鳥風月」の言葉もあるように、日本人にとって常にお馴染みの存在だったお月様。SF者にとっても、あまりにも当たり前でさんざん使い倒されてきた陳腐な存在であるがゆえに、避けては通れぬお題と思われます。
今更ですが、それでもやっぱり偉大なお月様。「月」をテーマとしたお話を作ってください。どのようなアプローチでも構いません。ただし、読み終わって「これは月の話だ」と思えるものにしてください。
(恩田陸)
【イベント後記】
当日のtweetのまとめはこちら!
新井素子 Motoko Arai
写真提供=新潮社
1960年、東京生まれ。立教大学文学部卒。高校時代に書いた「あたしの中の…」が第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選し、デビュー。1981年の『グリーン・レクイエム』(講談社)、1982年の『ネプチューン』で2年連続で星雲賞を受賞。1999年、『チグリスとユーフラテス』(集英社)で日本SF大賞を受賞した。『……絶句』(早川書房)、『ひとめあなたに…』(東京創元社)、『おしまいの日』(中央公論新社)、『未来へ……』(角川春樹事務所)など著書多数。
溝口力丸(早川書房) Rikimaru Mizoguchi
1991年生まれ。2014年より早川書房『SFマガジン』編集部所属。担当書籍にチャック・パラニューク『ファイト・クラブ〔新版〕』(ハヤカワ文庫NV)、『ハヤカワ文庫SF総解説2000』(単行本)、柴田勝家『クロニスタ 戦争人類学者』『ニルヤの島』(ハヤカワ文庫JA)など。
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。