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〈ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾〉の講義を生中継します。「講義」部分の視聴はゲンロン完全中継チャンネルの会員の方限定となります。
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【課題】
翻訳、とくに古典新訳におけるle plagiat par anticipationについて考察してください
参考テキストは拙訳の『風と共に去りぬ』(新潮文庫1~5巻)です。
le plagiat par anticipationは英語にすれば、the plagiarism by anticipationです。ピエール・バイヤールやウリポ工房が使った言葉だそうで、わたしはひとまず、「先取りの剽窃」と訳しています。
しばらく前にSNSでも話題になりましたが、若い読者に大友克洋の漫画を勧めると、「なんですか、これ。既視感のあるパクリばかりじゃないですか」などと言ったという。
ある時代のある領域の世界観を丸ごと変えてしまうほど強力な作家や作品というものがある。その影響をさまざまに受けた後続の作品が生まれる。しかし後世の読み手は先にそれらを読むため、後からオリジナル作に触れると、むしろそちらの方が盗作のように感じられてしまう。そういう現象を指します。
そこからもう少し意味を拡大し、「時間的に先行する作品が、読者の目を通じて後世の作品に影響を受けること」「影響の時間的転倒」なども含めて考えていただければと思います。
翻訳というのは原作より先に存在することはできない。本質的に(ハロルド・ブルーム風にいえば)「遅れてきた者」です。不可避的に「未来の読み」を被るものです。それが特にオリジナルから時間を隔てた古典新訳であれば、なおさらでしょう。
さらに、遅れてきた者=翻訳者のなすべきこととはなにか?翻訳で読む読者は、オリジナルで読む読者に対してどのような位置にあるか?などについて、考察していただいても良いかと思います。
【イベント後記】
当日のtweetのまとめはこちら!
鴻巣友季子 Yukiko Kounosu
佐々木敦 Atsushi Sasaki
撮影=新津保建秀
1964年生まれ。批評家。HEADZ主宰。〈ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾〉主任講師。『即興の解体/懐胎』(青土社)、『ex-music(L)』『同(R)』(アルテス・パブリッシング)、『「4分33秒」論』(Pヴァイン)、『シチュエーションズ』(文藝春秋)、『批評時空間』(新潮社)、『未知との遭遇』(筑摩書房)、『ニッポンの思想』、『ニッポンの音楽』(講談社現代新書)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、『ゴダール原論』(新潮社)、『例外小説論』(朝日新聞出版)、『ニッポンの文学』(講談社現代新書)、など著書多数。近著に『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『筒井康隆入門』(星海社新書)、『新しい小説のために』(講談社)がある。