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〈ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾〉の講義を生中継します。「講義」部分の視聴はゲンロン完全中継チャンネルの会員の方限定となります。
「講評」部分の中継は一般の方でもご視聴いただけます。「講評」部分については、タイムシフトを公開しません。あらかじめご了承ください。
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【課題】
ぼくたちが美術作品に触れるとき、多くの場合、「展覧会」という発表形式を通して鑑賞します。もちろん現在では、ネット上の画像や印刷された図版を介して、膨大な数の作品に触れることが可能ですが、展覧会という発表形式に取って代わるまでには到っていません。
そして、展覧会そのものを批評する「展覧会評」もまた、美術批評においてはスタンダードなスタイルのひとつです。
展覧会評では、美術作品そのものの批評だけでなく、展覧会の枠組みやキュレーションの思惑、開催場所の文脈、発表時期の意味などなど、美術作品を取り巻く様々な要素を関連付け、その意味を解析しなければなりません。
たとえば、近代的な美術批評は展覧会評というスタイルを取ることで、美術作品を「社会」の内側に(再)配置しようとしましたが、そのような操作が美術に対する言説を拡張し、美術批評というジャンルの形成に寄与した事実は見逃せません。
つまり展覧会評とは本来、美術作品を作者や美術史といった既存の枠組みから一度解放し、批評の力によって新たな関連性を見出そうとする試みだったのです。
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ということで、今回はみなさんに展覧会評を執筆してもらおうと思います。
条件は「実際に鑑賞した展覧会を対象にすること」くらいで、あとは自由に書いてもらえればと思います。複数の展覧会を取り上げてもかまいません。
専門的な美術批評を書いてもらいたいわけではないので、必ずしも狭義の美術展を対象にしなくてもよいです。そのあたり、どんな「展覧会」を取り上げるのか、という嗅覚も重要になってくるでしょう。
いろいろと書きましたが、簡単に言えば「展覧会評というスタイルを利用して、おもしろい批評を書いてもらうこと」が狙いです。
どのような批評が出てくるのか、楽しみにしています。
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<運営による追記:今回ゲスト講師から文字数制限はありませんので、批評再生塾の基準である「2000字~8000字」を選考対象とします。また今回は新芸術校とのコラボレーションとして、新芸術校の受講生も同じ課題に提出が可能です。批評再生塾生の優秀者は、従来通り三名選ばれます。別途芸術校生からも優秀者が選ばれ、全員がプレゼンテーションを競います。なお、得点も全員に割り振りとなります。>
当日のtweetのまとめはこちら!
黒瀬陽平 Yohei Kurose
1983年生まれ。美術家、美術評論家。ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校主任講師。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。2010年から梅沢和木、藤城嘘らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。主なキュレーション作品に「破滅*ラウンジ」(2010年)、「キャラクラッシュ!」(2014年)、「カオス*ラウンジ新芸術祭2015『市街劇 怒りの日』」(2015年)など。「瀬戸内国際芸術祭2016」にカオス*ラウンジとして参加。著書に『情報社会の情念』(NHK出版)。
佐々木敦 Atsushi Sasaki
撮影=新津保建秀
1964年生まれ。思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。芸術文化のさまざまな分野で活動。著書に『成熟の喪失』(朝日新書)、『「教授」と呼ばれた男』(筑摩書房)、『増補新版 ニッポンの思想』(ちくま文庫)、『増補・決定版 ニッポンの音楽』(扶桑社文庫)、『ニッポンの文学』(講談社現代新書)、『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『批評王』(工作舎)、『新しい小説のために』『それを小説と呼ぶ』(いずれも講談社)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、小説『半睡』(書肆侃侃房)など多数。