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[実作講評]一般無料
〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【実作課題】
SFは「未来の文学」と言われてきました。来るべき未来を小説のかたちで予測することがSFの重要な機能のひとつだった時代もあります。
いまや、ストレートな未来予測の物語は、ジャンルSFの中では少数派。また、10年先、20年先ならともかく、今世紀後半以降の未来をリアルに空想することはたいへん困難でしょう。
しかし第1回は、あえて、この困難でベタなテーマに挑戦していただきたいと思います。すなわち、
「100年後の未来」の物語を書いてください。
西暦がまだ続いていれば、2119年。人類文明は滅亡しているかもしれないし、意外にいまとそんなに変わらないかもしれません。時代設定がざっくり100年後でさえあれば、「100年後の未来」をこと細かに描写する必要はありません。人類100年間の歩みや、「100年後の世界はこうなっている」という説明を作中で披露することは、物語にとってはむしろマイナスになります。説明ではなくストーリーから「100年後」感を出せればそれがベストですが、「100年後はこんな感じかもなあ」と読者を納得させることさえできれば、やりかたは問いません。
短編SFの時代設定に「100年後」が選ばれることはめったにありませんが(そのぐらいハードルが高い)、日経「星新一賞」のジュニア部門(中学生以下のみ対象)は、毎回「100年後の未来を想像して物語を書いてください」という課題が与えられています。同じテーマに大人が本気で挑んだらどうなるのか。第4期SF講座、最初の腕試しとして、正面から(あるいは搦め手から)トライしてみてください。健闘を祈ります。
(大森望)
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【梗概課題】
前に出した課題って、割とコンセプトぽかったので、今回の課題は描写と設定です。
夏だし。とにかく、“あつい”お話。これは、“暑い”でも“熱い”でも構いません。スポ根みたいに、“もりあがってあつくなってる”でもいいし、キャラクターの性格設定があつくるしいでもOKです。
もっとも、梗概ではそんなに詳しい描写はできないでしょうから、「これは書いたらあつくなりそう」な設定を考えてね。単純に熱帯地方のお話でもいいし、ひたすら気温が高い惑星のお話でもいいし、溶鉱炉みたいなものを舞台にしてもいいし、性格設定があついんならそんなキャラが出てきそうな設定。
会場はエアコンきいてると思いますので、どんなに“あつく”しても大丈夫。楽しみにしております。
(新井素子)
新井素子 Motoko Arai
写真提供=新潮社
1960年、東京生まれ。立教大学文学部卒。高校時代に書いた「あたしの中の…」が第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選し、デビュー。1981年の『グリーン・レクイエム』(講談社)、1982年の『ネプチューン』で2年連続で星雲賞を受賞。1999年、『チグリスとユーフラテス』(集英社)で日本SF大賞を受賞した。『……絶句』(早川書房)、『ひとめあなたに…』(東京創元社)、『おしまいの日』(中央公論新社)、『未来へ……』(角川春樹事務所)など著書多数。
井手聡司(早川書房) Satoshi Ide
1971年、東京都生まれ。青山学院大学SF研究会OB。2006年に早川書房へ入社し、編集者として一貫してSFを担当。近年の担当書籍は、山本弘、小林泰三、上田早夕里、月村了衛、宮内悠介、藤井太洋、芝村裕吏、籘真千歳および海外SF展開中。1996年に小松左京、松井孝典、金子隆一による火星探査パネルの司会をつとめたことが生涯の自慢。賞罰なし。
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。