ネットで
見る
-
[実作講評]一般無料
〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【実作課題】
ファースト・コンタクトは、SFが生んだ古典的なテーマの一つです。その最も初期から、最近まで常に書かれてきたテーマです。そして多くの傑作を生んできたテーマです。もはや書き尽くされてしまったテーマと思われがちですが、たとえばテッド・チャンの「あなたの人生の物語」のように新たな可能性を生むことが出来る筈です。あるいは「最初の接触」ということから、たとえば大航海時代に起きた様々な悲劇も含めて、別の物語も可能です。もちろんこれまで書かれてきたこのテーマの作品を全て読む必要はありません。事実、それはほぼ不可能なことだと思います。あなたがこの課題に接して何を思ったか、それが重要なことです。このきわめてSF的な課題は、若干ハードルが高いかもしれません。色々考えてみましたが、逆に、この課題が皆さんによって新たな側面を見せてくれるのではないか、そう考えました。楽しみにしています。
(鏡明)
■
【梗概課題】
「20世紀までに作られた絵画・美術作品」のうちから一点を選び、文字で描写し、そのシーンをラストとして書いてください。
※1200文字の通常の梗概は、今回、あらすじではなく「作品を文字描写した(要はラストに設定した)シーン」をお送りください。
※本文に、該当美術作品のタイトルや作家名が入っている必要はありません。
※400文字のPRには「該当作品のタイトル、制作年、作者」を文中に含めてください。原題でも、日本語でも構いません。
※絵画は、美術的評価の高低を別にして、タイトルや作者等でネットや画集などの資料検索が可能なもの(親族の絵などでも、それが可能であれば構いません)でお願いします。
過去のお題を見ていて、設定に関するお題が多かったので、定点描写をゴールとしてそこに進めるというお題を設定してみたのですが、わかりにくかったらごめんなさい……。
設定、人物描写(関係性なども含めた)訓練は、書き出しのダッシュ、書き進める推進にはもってこいなんですが、途中で設定がフローしてしまって終わらない作品を増やす怖さもあります。初めて書いたものがマスターピースになることはまずないので、書いたものは変でもすべて終わらす、これは書き始めの時期はとても大事で、かつ大変です(すくなくとも私にとってはそうでした)。
なので、ラストの「もんのすごいかっこいいシーン」を決めてしまって、そのラストに向かってスタートし、進む、という書き方をしてみてください。かっこいいシーンはこの際、先人の知恵を借りて名画から模写してください。オフィーリアでも、ボッスの楽園でも、最後の審判でも、地獄の門でも。どうせむちゃむちゃかっこいいので。で、絵をちゃんと文字にしようとすると情報伝達技量の足りなさもわかるかもしれないので。
(高山羽根子)
高山羽根子 Haneko Takayama
富山県生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。
2009年、「うどん キツネつきの」第1回創元SF短編賞佳作。同作がアンソロジー『原色の想像力』(創元SF文庫)に収録。2014年、短編集『うどん キツネつきの』刊行。2015年、短編「おやすみラジオ」が第46回星雲賞(日本短編部門)参考候補作に選出。SFが読みたい!2016年版 BEST SF 2015[国内篇]7位に『うどん キツネつきの』選出。第36回日本SF大賞最終候補作に『うどん キツネつきの』選出。2016年、「太陽の側の島」で第2回林芙美子文学賞受賞。2017年、「太陽の側の島」が『行き先は特異点 (年刊日本SF傑作選)』(創元SF文庫)に採録。2018年、短編集『オブジェクタム』刊行。小説トリッパー(朝日新聞出版)掲載の短編ほか収録。第39回日本SF大賞最終候補作に選出。2019年、「居た場所」が第160回芥川龍之介賞候補。短編集『居た場所』刊行。文藝(河出書房新社)掲載の短編ほか収録。
奥村勝也(早川書房) Katsuya Okumura
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。