写真はほんとうに人間を必要としなくなるのか──SNS時代における写真のゆくえ【『新写真論』刊行記念】

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webゲンロンにイベントのレポート記事を掲載しています。ぜひお読みください。
記事URL= https://webgenron.com/articles/article20200702_01/

 

【イベント概要】

新写真論』の大山顕と、写真評論家の飯沢耕太郎のはじめての対談がついに実現!

まさに『眼から鱗』」の写真論を写真批評から大解剖!

飯沢はデジタルカメラが普及してまもない頃、アナログ写真とは異なるデジタル写真の特性を改変性、現認性、蓄積性、相互通信性、消去性の5つに規定し、それが写真をどう変えるかを予測していた(『デジグラフィ』、2004年)。

大山の『新写真論』で論じられているのは、2000年代前半には新しかったデジタル写真の特性が自明とされるスマホとSNSの時代である。

誰もが無数に写真を撮影し、しかもカメラの技術がアマチュアとプロの境界をカバーするいま、写真はどう変わっていくのか。
また、そうした時代に写真家であるとはどういうことなのか。

「いいね」の多数決では評価できない、写真による思考の営みはいかに紡がれていくのか。

人間は写真にとって必要であり続けることができるのか、写真の未来を徹底討論。

イベントでは、ポスト・コロナの写真についても飯沢の『都市の視線』(1989年/増補版2005年)から災害や戦争などの有事と写真の関わりを参照しつつ、議論が展開される予定だ。

なお、飯沢は大山の『工場萌え』をはじめとする工場やインフラの写真についても早い時期から言及している

そこで飯沢は、『工場萌え』のようなテクノスケープの「驚きや楽しさなどの感情がストレートにわかる写真」に、好きなものを撮影し、それをみんなで見て共有するという「コミュニケーションの欲求」があることを指摘している。
これは大山の『新写真論』でのSNSへの分析と繋がるものであるだろう。

ただし、この、2008年の時点では、それらの写真をフラットで引っ掛かりの少ないものとし、ガイドとしては面白いとしつつもアートとしての写真作品に軍配を上げている

今回のイベントでは、10年以上の時を経て、写真を取り巻く状況が変わったいま、飯沢が大山の写真をどう見ているのかについても語られるはずだ。

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

201612
大山顕『新写真論ーースマホと顔』(ゲンロン)
ソフトカバー・四六判|本体320頁(カラーグラビア8頁)|2020年3月発行|ISBN:978-4-907188-35-1

 

当日のtweetのまとめはこちら

togetter

飯沢耕太郎 Kotaro Iizawa

写真評論家。きのこ文学研究家。1954年、宮城県生まれ。1977年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書1996、サントリー学芸賞受賞)、『デジグラフィ』(中央公論新社 2004)、『写真的思考』(河出ブックス 2009)、『きのこ文学名作選』(港の人 2010)、『深読み! 日本写真の超名作100』(パイインターナショナル、2012)、『キーワードで読む現代日本写真』(フィルムアート社、2017)などがある。執筆活動のほか、写真展覧会の審査、企画等も手がける。

大山顕 OHYAMA Ken

フォトグラファー/ライター。1972年11月3日生まれ。1998年千葉大学工学部修了。研究テーマは工場構造物のコンバージョン提案。工業地域を遊び場としてきた生い立ちがこの論文に結実。卒業後松下電器株式会社(現Panasonic)に入社。シンクタンク部門に10年間勤めた後、フォトグラファーとして独立。出版、イベント主催などを行っている。
主な著書に『工場萌え』『団地の見究』(共に東京書籍)『ジャンクション』(メディアファクトリー)、『ショッピングモールから考える——ユートピア・バックヤード・未来都市』(東浩紀との共著、幻冬舎新書)『新写真論 スマホと顔』(ゲンロン)。

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