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[梗概講評]一般無料
〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の講評会の模様を無料生中継します。放送開始は20:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【実作課題】
意外に知られていないことですが、「やりたいこと」と「得意なこと」は異なるものです。100メートルを10秒で走りたいのだ、と考えたとして、実際に走ることのできる人はほんのわずかです。12秒ということなら訓練によって実現可能であるかもしれませんが、100メートルを12秒で走るような小説で、興味をもってもらうことはなかなか難しいものです。
無論、小説は100メートル走ではないですし、ストリートファイトでもなければ、競技でもありません。向き不向きはありますが、不向きであることを有効に使うことだってできます。
たとえそれが思い込みでも、長所を伸ばすのは大切なことですし、早目に自信をつけてしまえば、またその自信を崩したり、別の得意な面がみつかることを期待できます。
「得意なものを書きなさい」というと、「アクションシーンが得意です」とか、「会話の組み立てが得意です」といったことを書いてくる人がいますが、そういうことではありません。この人は○○が得意なのだな、と読者が自然と感じることができるものを目指してください。あるいは、読者が感じとるものが、「あなたの得意なもの」なのです。
*タイトルは、印象に残るものにして下さい。忘れます。
(円城塔)
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【梗概課題】
SFと言われた時にイメージしやすい科学や技術、社会システムを題材にとる作品は数多くありますし、受講生の皆さんも挑戦してきたことでしょうが、今回、皆さんには「神話」に挑んでいただきます。スペキュレイティブ・フィクションと呼ばれるような作品で人気のテーマでもあります。天地創造から宇宙論との絡み合い、クトゥルフ、祟り神、付喪神、ひょっとすると言霊や論理の中に宿る「神」まで、描く題材には事欠かないことでしょう。 物理法則、時間の制約、論理の制約を超えられる可能性を持った、みなさんの「神話」を、是非とも見せてください。
(藤井太洋)
円城塔 Enjoe Toh
写真提供=新潮社
1972年、札幌生まれ。研究者を経て作家。SF、純文学問わず広く活動中。主な著書に、『Self-Reference ENGINE』(文藝春秋、2014年 Philip K. Dick Award 特別賞)、『烏有此譚』(講談社、第32回野間文芸新人賞)、『道化師の蝶』(文藝春秋、第146回芥川龍之介賞)。訳書に、チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)。近作に『シャッフル航法』(河出書房新社)、『エピローグ』(早川書房)、『雨月物語』(河出書房新社、池澤夏樹個人編集日本文学全集所収)、『プロローグ』(文藝春秋)。
伊藤靖(河出書房新社) Yasushi Ito
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。