ラップは文学なのか、小説はポップスなのか──タモリからケンドリック・ラマーまで

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ゲンロンαにイベントのレポート記事を掲載しています。ぜひお読みください。
記事URL= https://genron-alpha.com/article20210303_01/

 

【イベント概要】

 世界中で最も聴かれるジャンルとなったラップ・ミュージック。ラップの面白さのひとつは、それが音楽でもあり、言葉でもある点だろう。一方では、サウンドとして言葉の演奏を楽しむことができるし、他方では、テクストとして味わうこともできる。複合的な魅力を合わせ持つラップだが、近年はマンブルラップやシンギングラップの流行もあり、リリックの内容よりもサウンド面が重視されているようにもみえる。それはヒップホップの精神性から離れて、歌唱表現としてのラップが広く受容されてきていることともリンクしている。

 一方で、文学性を持ち合わせているラップ作品も数多く存在する。そもそも文字数が多く、一人称視点で自己の来歴を語るラップは、私小説的と評されることもある。もっとシンプルに、ラップを現代詩の一種として賞味することもできる。
 
 だがラップが「文学的」だとして評価する言説は、いまやほとんど聞かれない。そんな現状だからこそ、文学としてのラップを再考する地点に立たされているのではないだろうか。たとえばラップをナンセンス文学や翻訳文学として捉え直すことで、マンブルラップに対しても新たなる見方(ジャズとヒップホップを交差するハナモゲラ・マンブル・ラッパーとしてのタモリ!)が提供されたり、文学的技法の観点からケンドリック・ラマーの作品分析が可能となるだろう。

 ラップを文学として捉え直すことは、もちろんその政治性について考えることでもある。パーティ音楽として出発したヒップホップだが、社会の現実を映し出す鏡としても機能してきた。コンシャス/ポリティカルラップとも呼ばれる楽曲群は、紛れもなくそのリリックの価値を受容されてきた。近年のUSではBLM支持やトランプ前大統領に対するラップ言説も衆目を集めている。だがそのような社会の不条理や抑圧に対抗するライムにも、逆に富をひけらかすだけの紋切り型のパーティライムにも、否応無しに政治性は滲んでしまう。

 文学に目を転じてみれば、日本では各種文芸誌のクロスオーバーな取り組みや、文学賞を受賞する作品の中にも純文学から離れたポップな作品が目立つ一方、ビートたけしの『ホールドラップ』からナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤーの『フライデー・ブラック』まで、ラップの想像力が通奏低音のように流れている作品も目立ってきている。

 ラップを文学と捉え直せば、その裏返しに文学はラップ・ミュージック的ラップ=現代のポップスたりうるだろうか。もっといえば、両者を往復する交通的表現は可能なのだろうか。前回、キャラクターという側面からヒップホップのサウンド面について考えた荘子itと吉田雅史のふたりが、今度はN/K a.k.a. 菊地成孔 a.k.a. 孔子itをお迎えしてお送りするラップ談義。乞うご期待。

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

菊地成孔 Naruyoshi Kikuchi

1963年生まれの音楽家/文筆家/大学講師。音楽家としてはソングライティング/アレンジ/バンドリーダー/プロデュースをこなすサキソフォン奏者/シンガー/キーボーディスト/ラッパーであり、文筆家としてはエッセイスト&批評家であり、映画やテレビの劇伴も多い。「菊地成孔とペペトルメントアスカラール」「ラディカルな意志のスタイルズ」「菊地成孔クインテット」リーダー。2021年、自らの生徒と共に、ギルド「新音楽制作工房」を立ち上げ。

荘子it Zo Zhit

Track Maker/Rapper
1993年生まれ。トラックメイカー/ラッパー。
2019年に1st Album『Dos City』でデビューしたヒップホップ・クルーDos Monosを率い、ラップだけでなくそのほとんどの楽曲のトラック・プロデュースを担当。
2020年に『Dos Siki』、2021年に『Dos Siki 2nd season』『Larderello』などの作品をリリース。英ロンドンのバンドblack midi、米アリゾナのInjury Reserveや、台湾のIT大臣オードリー・タン、小説家の筒井康隆らとの越境的な共作曲も多数。
2024年からDos Monos第二期はロックバンドとして活動することを宣言し、大友良英らが参加した最新アルバム『Dos Atomos』をリリースした。

吉田雅史 Masashi Yoshida

1975年。批評家/ビートメイカー/MC。2000年前後の8th wonderの活動に始まり、現在はヒップホップコレクティヴ、口頭遊民ダコタを引率。〈ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾〉初代総代。著作に『ラップは何を映しているのか』(大和田俊之氏、磯部涼氏との共著、毎日新聞出版、2017)。訳書に『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』(ジョーダン・ファーガソン著/DU BOOKS、2018)。2024年にはゲンロンより単著『アンビバレント・ヒップホップ』リリース予定。ビートメイカー/MCとしては、Meiso『轆轤』(2017)プロデュース、Fake?とのユニットによる『ForMula』((2018)プロデュース、OMSBのEP『ForMulaHAVEN』(2021)、『ForMula喜哀』(2023)への参加など。2023年10月に口頭遊民ダコタのファーストアルバム『ForMula脱皮とて…』リリース。

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放送開始
2021/02/11 19:00
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2024/03/22 23:59
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放送開始
2023/09/22 18:00
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2021/02/18 23:59