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一般無料
ゲンロン 新芸術校の第6期最終選抜展講評会の模様を生中継します。
ゲンロン友の会クラス30, 50, 250 の方は、会場にてご観覧いただけます。
【展覧会概要】
【ゲンロン 新芸術校 第6期 最終成果展Ⅰ】
『0地点から向かいます―「現代美術の再発明」の再設定』
出展作家:赤西千夏 / 鈴木祥平 / 田邊恵利子 / ながとさき / 中平志穂 / HIRA / 藤江愛 / 伏木健太 / 堀江理人 / 松岡湧紀 / 宮野祐 / 村井智 / メカラウロ子
キュレーション:金盛郁子(CL課程) / 中田文(CL課程)
デザイン:宮野祐
会期:2021年2月27日(土) ~ 3月1日(月)
※2月27日(土)は講評会のため終日休廊です。ご注意ください。
開廊時間:13:00-20:00
会場:ゲンロンカフェ(〒141-0031 東京都品川区西五反田1-11-9 司ビル6F)/ 03-5719-6821
ゲンロン五反田アトリエ (〒141-0022 東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F)/ 03-5719-6821
入場無料
【成果展Ⅱ】
『MEGURO NO SANMA』
出展作家:星華 / 大倉なな / 加瀬雄一朗 / 宮野かおり / 安藤卓児 / 出川慶亮 / サトウ / 川﨑豊 / 新田紘平 / 飯村崇史 / 圡金 / ユササビ / 前田もにか / BOCHA / 三好風太 / 甲T
キュレーション:中村馨(CL課程) / 中田文(CL課程)
デザイン:ユササビ
会期:2021年2月27日(土) ~ 3月1日(月)
※2月27日(土)は講評会のため終日休廊です。ご注意ください。
開廊時間:13:00-20:00
会場:rusu(〒153-0064 東京都目黒区下目黒3-4-9)/ 03-5422-7085
入場無料
【最終選抜成果展講評会】
2021年2月27日(土) 17:30~19:00
審査員:岩渕貞哉 / 福原志保 / 柳美里 / 和多利浩一 / 堀浩哉 / 東浩紀
※会場参加は友の会上級会員および受講生のみとなります。講評会の様子はニコニコ生放送にて無料中継を予定しております。
<新型コロナウイルス感染症への対策のご協力のお願い>
※マスクを着用の上ご来場ください。
※入り口では手指の消毒、検温にご協力ください。
※混雑時は入場制限を行うことがあります。ご了承ください。
【会場案内】
★成果展Ⅰ:会場1ゲンロンカフェ
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-11-9 司ビル6F JR五反田駅西口より徒歩3分
★成果展Ⅰ:会場2ゲンロン五反田アトリエ
〒141-0022 東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F JR五反田駅東口より徒歩7分
★成果展Ⅱ:rusu
〒153-0064 東京都目黒区下目黒3-4-9 JR目黒駅西口より徒歩9分
※会場1,2からrusuまでは徒歩約30分。
【交通機関を使用する場合】
電車:JR山手線で五反田から目黒へ一駅乗車、目黒駅より徒歩。
バス:大崎広小路駅前バス停(会場1:ゲンロンカフェより徒歩4分)より東急バス[渋41 渋谷駅行き]乗車、不動尊参道にて下車、徒歩4分。
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【『0地点から向かいます―「現代美術の再発明」の再設定』ステートメント】
2020年7月に予定されていた東京オリンピックは、思いも掛けない出来事によって延期となった。本来なら私たちは、今頃オリンピック以後の世界で過ごしていたはずである。しかし、コロナ禍がその世界線への接続を断った。
それまで想像していた未来とはまるで異なる日々が訪れ、これまで考える必要のなかったあらゆる生活様式の再設定を余儀なくされた。
しかし、私たちは、元より自らを再設定するためにここに集ったはずだ。何者でもなかった自身をアーティストとして再設定する者、自身の問題を、あるいは制作行為を再設定する者……。自分自身のあり方を確かめるように、各々の理由で再設定を必要としていたのだ。
思えば、新芸術校第6期のステートメントにはこう書かれていた。
思い出してほしい。そもそも現代美術とは、そんなくだらないゲームの外に出る自由を行使することから、はじまったのではなかったか。そして新芸術校は、出口のない分断のゲームから脱出し、現代美術を再発明するための場だったのである。(*1)
いま私たちは、そんなくだらないゲームになろうとしている現代美術から脱出するために、自分たち自身の制作行為の営みそのものから捉え直し、再設定するべきなのではないだろうか。
日本オリンピック委員会理事の山口香氏は、スポーツ界がトップレベルばかりに価値をおき、結果として勝利至上主義や体罰を生む土壌となったことを指摘した。そして、もし歌を「口ずさむ」ようなスポーツの楽しみ方がもっと根付いていたならば、オリンピックを勝敗の利益のためだけでなく、スポーツそのものを自分ごととして考えてくれたかもしれないと述べている(*2)。
「口ずさむ」行為は、私たちの日々の中にも浸透し、アスリートであるとか、アーティストであるとか関係なく、存在している。なぜか心を強く惹き付けられ、なんとなく身体が動いてしまう行為……。紙にペンを走らせる行為、糸を編む行為、任意の場所まで歩き続ける行為、人によって様々である。
その営みには、生活と地続きであるがゆえの揺るぎない初期衝動があるはずだ。それこそが、私たち自身が再び行き着いてしまう原点である。そして、思い掛けない世界の再設定を求められたとしても、決して変わらぬ営みだと考える。
その営みはいつまでも続けることが可能だ。しかし真面目に取り組むほど袋小路に入ってしまい、成果は目に見えず、有用性と普遍性の狭間で苛まれることだろう。その狭間の先で目的地に行き着くことは、決してない。だが、重要なのは目的地に辿り着くことではなく、むしろその間を往来することの方ではないだろうか。
普遍的な営みを続けること、同時に有用性を求めてしまうこと。その狭間で往来し続ける私たちは、やがて苛まれ、息詰まっていくだろう。そんなとき、日課や日常の地続きである「口ずさむ」ような営みが、私たちに再び立ち還るべき場所であることを思い出させてくれると信じたい。誰しも、この場所から歩んで来たのだから。
私たちはその場所を「0(ゼロ)地点」と再設定する。この先たとえどのようなことが起ころうとも、いつでもここに立ち還り、そして再び、何度でも出発できるために。
(*1)ゲンロン新芸術校第6期のページに掲載されたステートメント『現代美術の再発明』から抜粋。
(*2)朝日新聞2021年1月26日朝刊、日本オリンピック委員会理事の山口香氏へのインタビューより。( https://www.asahi.com/articles/ASP1R5V6YP1RUTQP016.html )
( 堀江理人(通常課程) 鈴木祥平(通常課程) 金盛郁子(CL課程))
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【『MEGURO NO SANMA』ステートメント】
ここ、目黒には、「目黒のサンマ」という有名な落語がある。
時は江戸。ある殿さまが鷹狩からの帰り、片田舎である目黒を通りかかる。そこで殿さまは農民の焼いていたサンマの香ばしい匂いに誘われ、「庶民の口にするもの」だという家来の制止を振り切り、脂のたっぷり乗ったサンマを味わった。城に戻ってからもその味が忘れられない殿さまは、サンマを所望する。ところが家来はせっかくのサンマの脂と骨を丹念に取り除き、ほぐした状態で差し出した。この、台無しになってしまったサンマを前に、これはどこのサンマだと殿さまが問うと、家来は日本橋のものであるという。そこで殿さまはこう断言する。
「あっ、それはいかん。サンマは目黒に限る」
この落語の一般的な解釈は、丹念に調理された城のサンマより、庶民的で素朴な味わいこそが良い、というものだろう。私たちはここで、安住していた場所から離れた先に魅力的なものがあるという解釈をしてみたい。そんな解釈がひとつ、あってもよいではないか。
ところで、「サンマ」の語源のひとつに「おおきな群れ」をあらわす「沢(サワ)」と魚を意味する「マ」からなる、「サワンマ」とする説がある。ならば、この一年間五反田、新芸術校において繰り広げられた群れをはなれ、目黒の地で新しい開路を見出そうとするrusu展の作家、作品たちは、群れをなさぬはぐれサンマ、いわば「NO SAMMA」ともいえる存在なのかもしれない。
同様の現象は本展示内においても起きている。
それぞれにテーマや手法も異なる中で、個々の作家はグループ展という一つの流れに収まることはない。なかには、外部会場との連動した企画、作家同士の共作を行うもの、またグループ展の中でアウトローな存在としてありたいと宣言する作家もいる。
本展の作家たちは、ここrusuで発生した小さな群れからも飛び出していくのだ。
積極的に群れの加護から離れ、自ら活路を見出していく独立した精神は、まさに芸術家に求められてきたものではないだろうか。噺家たちがその身ひとつ、巧みな語りで客を満足させてきたように、美術にかかわる人間も、与えられた地に安住せず、衝突を恐れずに芸術の実現を追求していくべきだろう。
殿さまにとって、城内で群れの加護下で食べるサンマは味気なく、そこから離れた目黒のサンマが魅力的であったように、群れから離れて展示された作品たちはより豊かなものであるはずだ。
「サンマは目黒に限る」、そう落語の殿さまに言わせたように、私たちはこの展示で「美術は目黒に限る」と言わせたい。
目黒の民家「rusu」では、16の脂ののった作品たちが、香ばしく、豊かな香りを漂わせている。
( ユササビ(通常課程) 中村馨(CL課程) )
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【関連展示情報】
SATOSHI MURAI SOLO EXHIBITION“BLESS YOU”
2021 2.27 sat. – 3.7 sun.
open hourweekday 15:00-22:00
holiday 14:00-21:00
102-0093 東京都千代田区平河町1-8-9 地下一階B1
1-8-9 hirakawa-cho chiyoda-ku TOKYO
https://www.anagra-tokyo.com/bless-you
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安藤卓児 【pop-up exhibition】「音像絵句」
会期:2021年2月28日(日)~3月1日(月)
時間:13:00-20:00
会場:ギャラリーあるかぶる (〒153-0051 東京都目黒区上目黒2丁目41−9)
【出展作家】 安藤卓児
【キュレーション】 安藤卓児
【デザイン】 安藤卓児
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『PARK and STRANGER』
出展作家:junjun
会期:2021年2月28日(日)~3月1日(月)
配信:https://www.twitch.tv/riverdiary
【ステートメント】
https://docs.google.com/document/d/1mDzEWsYNPMB3yZeHUyaPLig2Mz858kJXlePGrb72if8/edit?usp=drivesdk
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岩渕貞哉 Teiya Iwabuchi
『美術手帖』総編集長/美術出版社取締役。1975年横浜市生まれ。1999年慶応義塾大学経済学部卒業。2002年より『美術手帖』編集部に携わり、2008年から現職。美術出版社取締役。2017年、ウェブ版「美術手帖」をオープン。公募展の審査員やトークイベントの出演など、幅広い分野での現代のアートシーンに関わる。
福原志保 Shiho Fukuhara
2001年、セントラル・セント・マーチンズのファインアート学士過程を、2003年ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのインタラクション・デザイン修士課程を修了。
同年に、ゲオアク・トレメルとともに英国科学技術芸術基金のパイオニア・アワードを受賞し、バイオプレゼンス社をロンドンで設立。
その後、2007年より活動拠点を日本に移し、アーティスティック・リサーチ・フレームワークBCLを結成。
また2014年より、テクノロジーと工芸、身体性と審美性と物質性の関係が、我々の意識にクリティカルに介することに注目し、日常に知能を与えるための新技術とプラットフォームの開発に従事している。
柳美里 Miri Yu
1968年6月22日、茨城県土浦市生まれ。
横浜共立学園高等学校を1年で中退後、東由多加率いるミュージカル劇団「東京キッドブラザース」に俳優として入団。二本の舞台に立ち、キッドを退団。87年に演劇ユニット「青春五月党」を旗揚げし、主宰・劇作・演出を行う。
1993年、『魚の祭』で第37回岸田國士戯曲賞を最年少記録で受賞。1996年、『フルハウス』で第24回泉鏡花文学賞、第18回野間文芸新人賞を受賞。97年『家族シネマ』で芥川賞を受賞。ミリオンセラーとなった『命』4部作ほか著書多数。2012年3月〜2018年3月臨時災害放送局「南相馬ひばりエフエム」で毎週金曜放送の「ふたりとひとり」のパーソナリティを務め、地元住民約600人の話を収録する。2017年、福島県立小高産業技術高等学校の校歌の作詞を行う。2018年4月、南相馬市小高区に本屋「フルハウス」を開店。2018年9月、四半世紀の沈黙を破り、「青春五月党」の復活公演を行い、劇作家・演出家としての活動を再始動する。2019年春には、小高の自宅敷地内にある倉庫を改築して多目的ホール「LaMaMa ODAKA」をオープンし、2020年夏には、「青年団」の平田オリザ氏と「浜通り演劇祭」を共催する企画を進めている。
和多利浩一 Koichi Watari
ワタリウム美術館キュレイター、オーナーの1人。1960年生まれ。早稲田大学卒業。大学一年生の時、姉・恵津子と共にミュージアムショップ「オン・サンデーズ」を創立。83年美術関係書籍・ビデオの出版社「イッシプレス」の代表取締役。90年「ワタリウム美術館」の取締役として参加。現代美術を中心に、建築、写真、彫刻と幅広い展示活動を行う。同時に教育プログラムを積極的に開催。また、92年国際展ドクメンタ9で初の日本人スタッフとして働く。95年第1回ヨハネスブルグ・ビエンナーレの日本代表コミッショナー。
岡本太郎現代芸術大賞の審査委員を1997年から現在まで継続。2013年村上隆主催の第18回GEISAI審査員。共著書に、『夢みる美術館計画』(日東書院)。
堀浩哉 Kosai Hori
1947年富山県生まれ。美術家。多摩美術大学名誉教授。1969年に「美共闘」(美術家共闘会議)を結成、議長を務める。2010年、東京・秋葉原のアーツ千代田3331内に多摩美術大学運営のオルタナティブ・スペース「アキバタマビ21」を開設し、プロデューサーを務める(2012年まで)。第41回ヴェネツィア・ビエンナーレ、「ユーロパリア・ジャパン’89」(ゲント現代美術館)、「今日の日本」(ルイジアナ近代美術館、デンマーク他巡回)、釜山国際アートフェスティバル、「センチュリー・シティー」(テート・モダン)、越後妻有アートトリエンナーレなど、国内外の展覧会に多数参加。近年の展覧会に「堀浩哉展─起源」(多摩美術大学美術館)、「ミニマル/ポストミニマル」(宇都宮美術館)、釜山ビエンナーレ、「1968年激動の時代の芸術」(千葉市美術館)、「ニューウエイブ現代美術の80年代」(国立国際美術館)、「堀浩哉+堀えりぜ 記憶するためにーわたしはだれ?」(丸木美術館)など。
東浩紀 Hiroki Azuma
1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。