北海道を衝け──番外地はいつミルクランドになったのか

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ゲンロンαにイベントのレポート記事を掲載しています。ぜひお読みください。
記事URL= https://genron-alpha.com/article20210423_01/

 

【イベント概要】

ゲンロンカフェ、初の「北海道」イベント開催!?

物語評論家・マンガ原作者のさやわかさん、マンガ家の武富健治さん、江戸東京博物館学芸員の春木晶子さんによるトークイベントを配信します。

さやわかさんと春木さんは北海道出身。ありとあらゆるカルチャーに精通するさやわかさんは、北海道で生まれ育ったことが、自身の文化との付き合いかたを方向づけた要因のひとつと言います。以前は北海道博物館で勤務していた春木さんは、専門である日本美術史の関連を中心に北海道の文化に精通し、電子批評誌「ゲンロンβ」にも北海道にまつわる論考「北のセーフイメージ」「あなたに北海道を愛しているとは言わせない」を寄稿しています。

武富さんは、幼少の一時期を北海道で過ごし、それが自身のおおきな体験になったそうです。ドラマ『北の国から』をはじめ、北海道を舞台とした、北海道に関連するさまざまな作品に対しても、並々ならぬ思い入れがあるとか。

なぜ「北海道」が重要なのか? 多種多様な文化表象のなかで「北海道」はどのように描かれてきたのか? 日本にとって「北海道」とはなんなのか?

かつてなくアツく、ディープに北海道を語り尽くします。絶対に見るっしょ!

 

【ご登壇の春木さんから】

『東京大学物語』の水野遥、『ハチミツとクローバー』の原田理花、元乃木坂46の橋本奈々美。
ともに北海道出身の彼女たちはいずれも、白い肌にすらりとした肢体をもち、時折垣間見せる芯の強さも相俟って、見る者を惹きつけてやまない。
彼女たちをそのように見るときすでにわたしたちは、「北海道」を消費している。

今日の地図に見えるお馴染みの北海道の輪郭が世に示されたのは、今からちょうど200年前のことだ。
その頃から今日まで、彼の地はずっと「異」なる、「外」なる地であり続けている。
エキゾティシズムを伴うまなざしによって、時に「番外地」となり、時に「日本の北欧」となり、時に「果てしない大空と広い大地」の「北の国」となりながら、彼の地は今日まで長らえてきた。
絵や映画や漫画が、観光パンフレットや北海道物産の数々が、そこに登場する人やキャラクターが、「北海道」をつくってきた。

本イベントの目的は第一に、そうした北海道イメージの来し方を浮かび上がらせることだ。
しかし、それだけではない。
人口に膾炙していない、彩られていない北海道イメージをあぶり出すことをも、登壇者は目論む。

例えば、武富健治による実話をもとにした短編作品「実在したレイプ村」は、彼の地に向けられた「性」にまつわる負のイメージを暴き出すとともに、言葉ではあらわしにくい彼の地のあり様を伝えている。
そういえば倉本聰の設定では、「北の国から」の五郎には、付き合った女性がすぐ妊娠するから「一発屋の五郎」なるあだ名があったという。
北海道が「性」と結びつくとすればそれは、「すすきの」が喚起する性の奔放さのみならず、北の大地の「豊穣」なイメージとも響き合うのでないか。

見落としたくないのは、北海道を前面に押し出していないコンテンツだ。
側面(プロフィール)において北海道を映すものにこそ、意識されざる、だからこそ強固な、北海道イメージが潜んでいるはずだ。冒頭に挙げた三人はその一端だ。

多重のイメージをない混ぜにしながら人々は彼の地をまなざし、そのまなざしは彼の地の人々に内面化されていった。
「観光」や「自然」をはじめとするナチュラルでピースフルなイメージの衣を見出し、剥がし、剥き身の大地に触れたい。
足下に埋まっているものを掘り起こしたい。

そのために、北海道の「大地」を衝く。
北海道に憑かれた三人が、やむことのない愛憎をぶちまける。
疲れ果てるまで、おつきあいください。(春木晶子)

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

さやわか Sayawaka

1974年生まれ。ライター、物語評論家、マンガ原作者。〈ゲンロン ひらめき☆マンガ教室〉主任講師。著書に『僕たちのゲーム史』、『文学の読み方』(いずれも星海社新書)、『キャラの思考法』、『世界を物語として生きるために』(いずれも青土社)、『名探偵コナンと平成』(コア新書)、『ゲーム雑誌ガイドブック』(三才ブックス)など。編著に『マンガ家になる!』(ゲンロン、西島大介との共編)、マンガ原作に『キューティーミューティー』、『永守くんが一途すぎて困る。』(いずれもLINEコミックス、作画・ふみふみこ)がある。「コミックブリッジ」で『ヘルマンさんかく語りき』(作画:倉田三ノ路)を連載中。

春木晶子 Shoko Haruki

1986年生まれ。江戸東京博物館学芸員。専門は日本美術史。 2010年から17年まで北海道博物館で勤務ののち、2017年より現職。 担当展覧会に「夷酋列像―蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界―」展(北海道博物館、国立歴史民俗博物館、国立民族学博物館、2015-2016)。共著に『北海道史事典』「アイヌを描いた絵」(2016)。主な論文に「《夷酋列像》と日月屏風」『美術史』186号(2019)、「曾我蕭白筆《群仙図屏風》の上巳・七夕」『美術史』187号(2020)、「北のセーフイメージ」『ゲンロンβ49号50号52号、「あなたに北海道を愛しているとは言わせない」『ゲンロンβ54号55号。株式会社ゲンロン批評再生塾第四期最優秀賞。

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放送開始
2021/03/29 19:00
公開終了
2021/09/27 12:00
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放送開始
2021/09/21 18:00
タイムシフト視聴終了
2021/09/28 23:59
放送開始
2021/03/29 19:00
タイムシフト視聴終了
2021/04/06 23:59