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[実作講評]一般無料
「二人殺したら死ぬ世界で連続殺人は可能か」は特殊設定ミステリの話題作(『楽園は探偵の不在なり』)。これを「二人を殺したら死ぬ世界だとしたら、ああなってこうなって世界が滅ぶ」にするとSFになりそうですよね。「もしファンタジー世界にじゃがいもがあったら」を突きつめてもよさそう。一つの設定、一つの仮定、一つの嘘からはじまり、ドミノ倒し的に影響が膨れ上がる話を考えてみてほしいのです。
本筋は、そして今回課題としたいのは「ドミノ倒しのロジック」なのですが、「最小限の嘘」がおもしろいとたぶん採用率が上がります。それはつまり「帯が強くなる」ってことなんです。
(宮内悠介)
宮内悠介 Yusuke Miyauchi
1979年、東京生まれ。幼少期より1992年までニューヨーク在住。早稲田大学第一文学部英文科卒。2010年、囲碁を題材とした短篇「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞。2012年、連作短篇集『盤上の夜』(東京創元社)を刊行し単行本デビューした。同書は第147回直木賞候補となり、第33回日本SF大賞を受賞。さらに第2作品集である『ヨハネスブルグの天使たち』(早川書房)も、第149回直木賞候補となり、第34回日本SF大賞特別賞を受賞。2015年、初の長篇『エクソダス症候群』(東京創元社)を発表。
伊藤靖(河出書房新社) Yasushi Ito
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。