イスラム国から考える──なぜそれは見世物になるのか

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【イベント概要】

正直、ISにもチュニジアの事件にも全く興味がありません。

期せずして湯川遙菜さんの救出に関わり、日本公安の妨害によって失敗し、容疑者にまでされてしまったために、当事者としてちゃんと始末を付けなければならなくなりました。

なぜ、興味がないかというと、つまらないからです。

シリアの問題でいうと、重要なのはあくまで、アサド政権の暴政とそれに立ち向かう民衆の暴力なのです。それが完全に話題の外になってしまう中東と欧米、日本の政治や言説がつまらなくて、くだらなくて、できる限り関わりたくない。

「イスラム国の本を書かないか」というオファーは、実は複数の出版社からいただきましたが、旬報社の一件を除いてすべてお断りさせていただきました。

ぼくはアラビア語すら理解せず、英語以外にはロシア語を取材言語として仕事している人間です。

「テロ」に関して、ぼくが1990年代前半から継続取材してきたのは、チェチェンやアフガニスタンで、ある日突然「テロリスト」と呼ばれるようになった人たちのことでした。

ソ連に軍事侵攻されて、それに抵抗して武装蜂起した人たちは、その人たち自身はなにも変わっていないのに、あるときを境にメディアから「テロ組織」と呼ばれ、危険思想を持っているとみなされるようになりました。

そもそも、独裁者の専制に対して民衆が武力で蜂起する行為は、ビンラディンでもサイード・クトゥブでもなく、ルソーの思想に遡る筈なんですけど、世界はそんな思想家のことは忘れてしまったかのようです。そして、ビンラディンやザワヒリやクトゥブが主張する聖戦思想はルソーとは違って、最終的には今、ISがやっているような「見世物」になってゆくのではないでしょうか?(常岡浩介)

 

【イベント後記】

常岡浩介 Shamil Kosuke Tsuneoka

1969年生まれ、45歳。早大卒。NBC長崎放送・報道記者を経て98年からフリー。アフガニスタン、チェチェン、イラク、シリアなど、戦争取材を続けるほか、長崎県警の内部犯罪なども追及。ロシア、アフガニスタン、パキスタンなどで現地諜報機関や政府系組織に拉致、誘拐された経験も。
「ロシア 語られない戦争——チェチェンゲリラ従軍記」(アスキー新書 2008年)で平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞。自身の誘拐事件を扱った漫画作品「常岡さん、人質になる。」(エンターブレイン 2011年)も。

東浩紀 Hiroki Azuma

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

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放送開始
2015/06/24 00:00
放送終了
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2017/06/01 00:00
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2016/07/22 18:00
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2016/07/29 18:00
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2016/05/17 18:00
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放送開始
2015/04/10 19:00
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2015/04/17 18:00