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【イベント概要】
宗教学者・美術家の君島彩子氏の新著『観音像とは何か――平和モニュメントの近・現代』(青弓社)が10月27日に発売になった。
本書は、近代以降の観音像の歴史について扱っている。西洋から「美術」の概念が導入され、近代彫刻としての価値を有した観音像は、寺院や墓地といった場所以外の公共空間にも建立されていった。戦争の時代に入ると、国威発揚を意識した「護国」や、当時日本が構想した大東亜共栄圏を象徴する「興亜」の思想とも結びついていく。戦後には、「平和」を願い象徴するモニュメントとして姿を変え、ランドマークとなる巨大な観音像なども建立されていった。
さらに本書では、観音像による平和祈念活動の広がりや、硫黄島やレイテ島に建立された(キリスト教的なイメージを帯びた)マリア観音像などについても考察を重ねていく。丹念な調査によって「観音像」に迫ることで、人々の信仰のあり方や背景となる時代状況を浮かび上がらせる意欲的な内容となっている。
この度ゲンロンカフェでは、本書の刊行記念として、君島氏、近現代史研究者の辻田真佐憲氏、江戸東京博物館学芸員の春木晶子氏をお迎えしてのトークイベントを開催する。辻田氏は、戦時下のプロパガンダなど、政治や戦争と文化芸術の関わりに詳しい。また日本美術史を専門とする春木氏は、信仰と美術の関係についても研究を重ねている。君島氏に本書のご紹介をいただきながら、辻田氏と春木氏それぞれの関心領域を交えて、近現代の「観音像」の意義と魅力について、たっぷりと語り合っていただく予定だ。
ゲンロンカフェならではの刺激的な議論を乞うご期待!
※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。
君島彩子『観音像とは何か――平和モニュメントの近・現代』(青弓社)
君島彩子 Ayako Kimishima
1980年、東京都生まれ。総合研究大学院大学文化科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員。物質宗教論、宗教美術史を専門とする。
学位論文「平和祈念信仰における観音像の研究」が第15回国際宗教研究所賞・奨励賞受賞。論文に「大阪万博の平和観音――共生運動の超宗派的展開」(『近代仏教』22号)、「平和モニュメントと観音像――長崎市平和公園内の彫像における信仰と形象」(『宗教と社会』第24号)、「現代のマリア観音と戦争死者慰霊」(中外日報社、第15回涙骨賞)、共著に『万博学――万国博覧会という、世界を把握する方法』(思文閣出版)など。
辻田真佐憲 Masanori Tsujita
1984年、大阪府生まれ。評論家・近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院文学研究科中退。政治と文化芸術の関係を主なテーマに、著述、調査、評論、レビュー、インタビューなどを幅広く手がけている。単著に『「戦前」の正体』(講談社現代新書)、『防衛省の研究』(朝日新書)、『超空気支配社会』『古関裕而の昭和史』『文部省の研究』(文春新書)、『天皇のお言葉』『大本営発表』(幻冬舎新書)、『空気の検閲』(光文社新書)、共著に『教養としての歴史問題』(東洋経済新報社)、『新プロパガンダ論』(ゲンロン)などがある。監修に『満洲帝国ビジュアル大全』(洋泉社)、『文藝春秋が見た戦争と日本人』(文藝春秋)など多数。軍事史学会正会員、日本文藝家協会会員。
春木晶子 Shoko Haruki
1986年生まれ。江戸東京博物館学芸員。専門は日本美術史。 2010年から17年まで北海道博物館で勤務ののち、2017年より現職。 担当展覧会に「夷酋列像―蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界―」展(北海道博物館、国立歴史民俗博物館、国立民族学博物館、2015-2016)。共著に『北海道史事典』「アイヌを描いた絵」(2016)。主な論文に「《夷酋列像》と日月屏風」『美術史』186号(2019)、「曾我蕭白筆《群仙図屏風》の上巳・七夕」『美術史』187号(2020)、「北のセーフイメージ」『ゲンロンβ』49号・50号・52号、「あなたに北海道を愛しているとは言わせない」『ゲンロンβ』54号・55号。株式会社ゲンロン批評再生塾第四期最優秀賞。