LGBTナイト──変貌する〈カミングアウト〉

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[Event Outline]

Though LGBT rights in the United States varies greatly by state, the rapid shift in public opinion favoring the expansion of these rights to the national level is an undeniable reality that has translated into policy change.
Examples of such change include the repeal of “Don’t Ask, Don’t Tell” in 2010, the passing in the Senate of the first LGBT anti-discrimination laws in 2013, and the reality that currently 31 states allow same-sex marriage. Along with these changes has been a steady stream of high-profile individuals – politicians, actors, intellectuals, and athletes – coming out of the closet, as well as the highly publicized “It Gets Better Campaign.”
Another change is in the understanding of what it means “to come out”: that is, “coming out” is normalizing, changing from something one must do to something one can or can’t do, with the implication being that at some point “coming out” – and thus being “out” – will become obsolete.
What effects have these changes had on the gay community in Japan? Internationally acclaimed manga artist Tagame Gengoroh can help answer that question: with the start of his new serialization in Monthly Action, “My Younger Brother’s Husband” (Otōto no otto), Tagame for the first time addresses a straight audience.
Problematizing the issue of same-sex marriage, Tagame confronts head-on the domestic reality of being gay in Japan in an ever-growing gay-friendly international community. With “My Younger Brother’s Husband,” Tagame, who has done much to preserve the history of gay art in Japan (see his two-volume Gay Erotic Art in Japan), seems to be distancing himself from the “membership” (kaiin) culture associated with earlier generations of gays. But in a country where so few people in the public sphere are “out,” how can Japan’s gay community begin to cope with international standards and expectations for openness (which is so often determined by what happens in the public sphere) when domestic circumstances are not favorable to it and, for many in the gay community, coming out is viewed as more troublesome than it is worth?
Join us for a bilingual discussion with Tagame Gengoroh about manga, outness, and where Japan’s gay community is headed! (Christopher Lowy)

【イベント概要】

アメリカにおけるLGBT(同性愛、両性愛、トランスセクシュアル)の権利は、州ごとに大きく異なっています。しかし、LGBTの権利を拡張するべきだという意見は、今では一般化しています。ここ数年の間に、LGBTに関する世論の急激な変化があったと言えるでしょう。

世論が次第に「ゲイ・フレンドリー化」するなか、政策の変更も行われていきました。その例として、2010年のアメリカ軍の「聞くな言うな」政策の廃止、2013年に上院で可決されたLGBTを中心とする雇用差別禁止法、最高裁判所が今年下した結婚防衛法第3条を違憲とする判決、そして全米に広がりつつある同性婚法制定の動向などを挙げることができます。こうした変化に伴い、カミングアウトする政治家、俳優、スポーツ選手などの著名人が多く現れ、また、オバマ大統領も参加した「イット・ゲッツ・ベター企画」(「より良い未来はある企画」)が注目を集めたりしています。

この変化はアメリカにおける「カミングアウト」のあり方をも変貌させようとしています。「カミングアウト」が、「しなければならない」ことから、「してもしなくてもいい」ことへと変化しているのです。「カミングアウトする」こと、そして「カミングアウト」状態は、ゆくゆくは無効化されていくのかもしれません。

アメリカでのこうした変化は、日本のLGBTコミュニティにどのような影響を与えているのでしょうか。それを理解するためのひとつの手がかりとなるのが、4カ国語に翻訳され、国際的にも高い評価を受けている人気ゲイ・アーティスト、田亀源五郎氏の存在です。2014年9月から一般誌『月刊アクション』(11月号)で始まった新連載『弟の夫』で、田亀氏ははじめて同性愛者でない人=ノンケ向けのマンガを描いています。

「同性婚」の問題を社会に提起しつつ、田亀氏は、国際コミュニティでゲイ・フレンドリー化が広まっていくなか、日本においてゲイであることのリアリティを正面から突きつけています。『日本のゲイ・エロティック・アート』(ポット出版 )上下2巻本の出版など、日本のゲイ・アートの歴史を守るために力を尽くしてきた田亀氏ですが、今度の新作『弟の夫』では、少し前の日本に特徴的な「会員制的=閉鎖的」なゲイ・コミュニティと距離を取ろうとしているようにも見えます。
もっとも、日本では公にカミングアウトをしている人がきわめて少ないことも事実です。この国でゲイ・コミュニティはどうすれば国際スタンダードに近づき、「オープン」な「カミングアウト」を目指すことができるのでしょうか。カミングアウトをするかしないかという問題は社会の動きに左右されがちですが、社会的条件がオープンなカミングアウトに好意的でない場合、ゲイ・コミュニティ内の多くの人が、カミングアウトすることはトラブルのもとでしかないと捉えてしまうのではないでしょうか。
今回のイベントでは、田亀源五郎氏をゲストに、マンガについて、カミングアウトについて、そして日本のゲイ・コミュニティはどこへ向かおうとしているのかについて、日英二カ国語の議論を行います。みなさんも熱い議論に参加してください!(クリス・ローウィー)

 

【イベント後記】

田亀源五郎 Gengoroh Tagame

マンガ家、ゲイ・エロティック・アーティスト。
1964年生まれ。多摩美術大学卒業後、アート・ディレクターをしつつ、1986年からゲイ雑誌「さぶ」にマンガ・イラストレーション・小説等を発表。1994年から専業作家となり、ゲイ雑誌「G-men」の企画・創刊にも協力。同誌のほか、「バディ」「薔薇族」等のゲイ雑誌や、ボーイズラブ誌、レディースコミック誌などにも作品を発表。2014年9月から「月刊アクション」にて一般向けマンガ『弟の夫』連載開始。同作にて第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。代表作に『嬲り者』『銀の華』『PRIDE』『君よ知るや南の獄』『外道の家』『ウィルトゥース』『エンドレス・ゲーム』など。英語、フランス語、スペイン語、イタリア語への翻訳出版あり。
編著書に『日本のゲイ・エロティック・アート』(vol.1vol.2)。また、パリ、ニューヨーク、ベルリンなど日本国外をメインに多数の個展やグループ展に参加している。

クリス・ローウィー Christopher Lowy

PhD student in the Department of Asian Languages and Literature at the University of Washington, specializing in contemporary Japanese literature and criticism. His publications include “Japanese 2.0: On Communication in a Hyperflat Japanese Language” (Genron Etc. #5), “The Architecture of Written Japanese: The Architextuality of Written Language” (Symphoniker Vol.1), as well as numerous translations.

1986年生まれ。アメリカのフロリダ州マイアミ市出身。現在、ワシントン大学大学院東アジア言語文学部博士課程コースに在学中。専攻は日本の現代文学と思想。主な論文に「日本[語]2,0:超平面化した日本語でのコミュニケーションについて」『ゲンロンエトセトラ #4』、「日本語のアーキテクチャ:書き言葉の構築テクスト性をめぐって」『シンフォニカ Vol.1』など。「草木の生起する国——京都」『日本2.0 思想地図β vol.3』を始め、翻訳も多数。

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放送開始
2015/07/23 00:00
放送終了
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放送開始
2021/06/17 13:00
タイムシフト視聴終了
2021/06/24 23:59
放送開始
2019/11/29 13:00
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2019/12/06 18:00
放送開始
2018/08/17 13:00
タイムシフト視聴終了
2018/08/24 18:00
放送開始
2015/10/01 00:00
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放送開始
2015/05/01 00:00
タイムシフト視聴終了
2015/06/30 23:59
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放送開始
2014/12/12 19:00
タイムシフト視聴終了
2014/12/19 18:00