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【梗概課題】
「自分の人生をSFにしてください」
受講生のみなさん、今回は、自分の人生をSFにしてみてください。
初恋でも、友達のことでも、昨日のご飯でも、なんでもいいです。大きなネタではなく、ささいなことでだいじょうぶです。
ただ思い出をネタにしてくださいという意味ではなく、記憶に結びついた自分のなまの感情をSFにのせてください。主人公をあなた自身にしなくてもかまいません。ストーリーやSFギミックを、頭で考えたものではないドラマやなまの感情に繋げることで、SF的な見せ場を組み立ててほしいのです。梗概に縛りがないように見えるでしょうが、梗概の段階でどうなまの感情とSF要素で物語の核を組み立てるかを考えておくのは、突き詰めるほどやりがいがあるはずです。
なまなましい生と物語の関係は、現実世界ではなくSFであることで、距離をいじったり歪めたり別の角度から見たりと、操作し展開することができます。それは、自分自身と世界をより深く掘り込む、大きな手がかりになるはずです。
ぜひ、みなさんの生を、SFに加工してみせてください。(長谷敏司)
【実作課題】
「何か(誰か)を葬る/弔う/喪に服す物語を書いてください」
「国葬」なるイベントをめぐって世論の賛否が割れていますが、それ以前からパンデミック下での看取りや葬儀のあり方について、さまざまな議論が重ねられてきました。SNSでの追悼マナーやオンライン葬儀、VTuberの「生前葬」配信など、ヴァーチャルな領域でも新しい「弔い」や「喪」の形が模索(?)されています。「葬制」とは、伝統的な死生観と社会的機能、テクノロジーの進歩がダイレクトに向き合う場でもあるのです。
人間(キャラクター)以外の「××葬」はどこまで拡張可能か? 人類が不老不死の夢を実現したら、「葬礼」の概念はどのように変容するか? 無二の親友同士がお互いの葬式に参列することは、本当に不可能なのか? 等々、ラディカルな想像力を駆使して、思考実験としての「禁じられた遊び」をプレイしてください。(法月綸太郎)
長谷敏司 Satoshi Hase
1974年、大阪生まれ。2001年、第6回スニーカー大賞金賞を受賞した『戦略拠点32098 楽園』(KADOKAWA)でデビューしたのち、ライトノベルからSFに活動の場を広げる。2015年、『My Humanity』(早川書房)で第35回日本SF大賞を受賞。その他の著作に『円環少女』シリーズ(KADOKAWA)、『あなたのための物語』(早川書房)、『BEATLESS』(KADOKAWA)、『メタルギアソリッド スネークイーター』(KADOKAWA)、『ストライクフォール』シリーズ(小学館)など。最新刊『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』(早川書房)が22年10月18日に発売した。
塩澤快浩(早川書房) Yoshihiro Shiozawa
編集者。1968年、長野県生まれ。1991年、早川書房に入社。96年、第8代〈SFマガジン〉編集長に就任(09年に退任後、13年に再任)。02年、《ハヤカワSFシリーズ Jコレクション》を創刊。野尻抱介『太陽の簒奪者』、飛浩隆『グラン・ヴァカンス』などを送り出し、日本SFの新たな中核をつくりだす。翌03年には、ハヤカワ文庫JAの新レーベル「次世代型作家のリアル・フィクション」を立ち上げ、冲方丁『マルドゥック・スクランブル』を3カ月連続刊行。07年には円城塔と伊藤計劃のデビュー単行本を手がけた。12年にはハヤカワSFコンテストを創設、選考委員もつとめている。
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。