ゲンロン 大森望 SF創作講座 第8期#5授業 5

「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の授業です。担当講師は円城塔先生と伊藤靖先生、大森望先生です。

【スケジュール】

1限 19:00-20:00:講義

2限 20:10-22:10:梗概講評会

3限 22:20-23:20:実作講評会

【第5課題】

「シーンを切りかえる。」

1200字というのは、けっこう書けてしまう枚数です。
ワンシーンでキャラクターの入れかえなしでも押し切れたりします。
ただ、ワンシーン、キャラクター固定で押し通そうとすると、
多くの場合、がんばっても5000字程度で息切れすることになるようです(長編を書けない人の原因の多くはこれです)。

ある程度の長さのものを書く場合、どうしてもシーンなりカットなりの切りかえが必要となります。

小説を書くという場合、どうしてもシーンの中身に集中しがちになりますが、シーンの切りかえもまた重要な要素です。たとえば基本的には、「そして次の日」みたいな雑なつなぎ方はあまり効果を生みませんし、同じ部屋での朝、昼、夜を順に描写していくことで読み手の気を引き続けようとするのは難しい挑戦になります。

シーンの切りかえを意識して話の展開を設定してみてください。
文章の力で強引に切りかえていくのも手ですが、
最初から切りかえやすい舞台を用意してしまうのも一つの手です。

(円城塔)

提出作品一覧はこちら

ゲンロン 大森望 SF創作講座
SF創作講座2024課題 – 超・SF作家育成サイト

円城塔 Enjoe Toh

写真提供=新潮社
1972年、札幌生まれ。研究者を経て作家。SF、純文学問わず広く活動中。主な著書に、『Self-Reference ENGINE』(文藝春秋、2014年 Philip K. Dick Award 特別賞)、『烏有此譚』(講談社、第32回野間文芸新人賞)、『道化師の蝶』(文藝春秋、第146回芥川龍之介賞)。訳書に、チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)。近作に『シャッフル航法』(河出書房新社)、『エピローグ』(早川書房)、『雨月物語』(河出書房新社、池澤夏樹個人編集日本文学全集所収)、『プロローグ』(文藝春秋)。

伊藤靖(河出書房新社) Yasushi Ito

イラスト=西島大介
1971年、富山県生まれ。1996年、河出書房新社入社。編集部所属。担当書に、中村融・山岸真編『20世紀SF』全6巻、《奇想コレクション》シリーズ、大森望責任編集《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》シリーズ、伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』、東浩紀『クリュセの魚』、谷甲州『星を創る者たち』、宮内悠介『スペース金融道』、米沢嘉博『藤子不二雄論』、平川祐弘『ダンテ『神曲』講義』、大森望『現代SF観光局』ほか。

大森望 Nozomi Ohmori

1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。