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すでに第3期を迎えている本講座。2011年の『一般意志2.0』を出発点にその後の展開を講義するという形式を取りながらも、かなり自由な内容の哲学講座になっている。ぼくが月に1回、哲学について語るという講座だと考えてくれればよい。
この第3期(そしておそらく第4期)では、かりにお題を「福島第一原発観光地化計画の哲学」と題してみた。『存在論的、郵便的』の幽霊論と放射能恐怖への関心は繋がっているし、『動物化するポストモダン』の人間観とダークツーリズムへの関心もまた繋がっている。『一般意志2.0』はクラウドシンクタンクの構想を用意しているし、『クリュセの魚』のワームホールゲートは、もしかしたら原子力の隠喩かもしれない(と作者自身が言うのはルール違反だけど)。なぜぼくがいま、福島に、そしてチェルノブイリにコミットするのか、その背景を語る機会はなかなかないので、これを機会に議論してみたい。
「福島第一原発観光地化計画」は、単なる福島復興プロジェクトではない、福島の問題を文化の問題として、そして哲学の問題として考えるプロジェクトである。その意味をこの講義で示したいと思う。
東浩紀 Hiroki Azuma
1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。
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