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【イベント概要】
テン年代が始まって、すでに5年が経過した。この間、日本で「新しい」文化の潮流は芽生えたのだろうか。
批評家・佐々木敦は、この9月に刊行された新刊『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶応大学出版会)で、新たな物語の枠組み「パラフィクション」を提示した。
佐々木によれば、ゼロ年代はメタフィクションの時代であったという。アニメや美少女ゲーム、ライトノベルといったジャンルを中心に、フィクションであることそれ自体を逆手に取った形態が頻繁に利用されるようになり、強い支持を受けた(一例を挙げれば『涼宮ハルヒの憂鬱』や『EVER17』、『All You Need Is Kill』など)。
その過程を経て、ゼロ年代後半から、メタフィクションの限界を乗り越えようとする動きが現れ始めた。それが「パラフィクション」である。
「パラフィクション」は、読者に対し「読む」という能動的な行為を要求し、それに応じて読まれるたびに新たに生成されるような作品群のことを指す。佐々木は例として伊藤計劃+円城塔の『屍者の帝国』や、神林長平の『ぼくらは都市を愛していた』などを取り上げ、その可能性と射程について言及している。
一見メタフィクションとの差が見えづらい「パラフィクション」だが、佐々木によれば、ゼロ年代のメタフィクションの隆盛、そして「パラフィクション」の発生には歴史的な意味があるという。その意味とはどのようなものか。今後どのような展開がありうるのか。それは国際的な競争力のあるコンテンツになりうるのか。
佐々木も頻繁に参照する、東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』が出版されたのは2007年のこと。
東はその後の「物語」、それを取り囲む諸状況、そして「パラフィクション」の可能性をどのように評価するのか。 東浩紀を「ゼロ年代一人勝ち」と評した佐々木敦と、評価された張本人が、テン年代カルチャーを主題に徹底討論する。
この国の文化は、果たしてどこへ向かうのか。2014年10月2日、停まっていた時計が動き出す。
(当日、会場で『あなたは今、この文章を読んでいる。』の販売がございます。)
【イベント後記】
佐々木敦 Atsushi Sasaki
撮影=新津保建秀
1964年生まれ。思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。芸術文化のさまざまな分野で活動。著書に『成熟の喪失』(朝日新書)、『「教授」と呼ばれた男』(筑摩書房)、『増補新版 ニッポンの思想』(ちくま文庫)、『増補・決定版 ニッポンの音楽』(扶桑社文庫)、『ニッポンの文学』(講談社現代新書)、『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『批評王』(工作舎)、『新しい小説のために』『それを小説と呼ぶ』(いずれも講談社)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、小説『半睡』(書肆侃侃房)など多数。
東浩紀 Hiroki Azuma
1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。
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- 放送開始
- 2020/04/03 13:00
- タイムシフト視聴終了
- 2020/04/10 23:59
- 放送開始
- 2017/02/23 22:00
- タイムシフト視聴終了
- 2017/03/02 18:00
- 放送開始
- 2016/04/23 18:00
- タイムシフト視聴終了
- 2016/04/30 18:00
- 放送開始
- 2015/06/25 23:00
- タイムシフト視聴終了
- 2015/07/02 18:00