ゲンロン 大森望 SF創作講座#2知性

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〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の実作講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。

【実作課題】

「これがSFだ!」という短編を書きなさい

講座の初回は、僕のほうからテーマを設定することになってるんですが、SFに対する考え方や知識にもずいぶん幅があるようなので、第1回のテーマは以下のようにしたいと思います。

「これがSFだ! と、あなたが思う短編を書いてください」

SFは、一般的にはサイエンス・フィクションの略称とされていますが、かならずしも科学性が必須というわけではありません。じゃあ、いったいどこまでがSFなのか?

なにも物差しがないと途方に暮れる人もいるでしょうから、課題図書というか参考図書として、ケン・リュウの短編集『紙の動物園』(早川書房)を挙げておきます。昨年、もっとも話題になった翻訳SFであり、Twitter文学賞海外部門を受賞するなど、SF外からも注目されている1冊。又吉直樹が「アッコにおまかせ」で絶賛したことでも有名。現代SFを代表する短編集だと言ってもいいでしょう。

もっとも、表題作は、ジャンル的にはファンタジーなんですが、そういう作品が大きなSF賞をいくつも受賞していることに、SFの幅広さがあらわれています。いまSFを書くなら、このぐらいは読んでおかないと……という本ですが、「オレはそんなの読まなくても書ける」という人は無視してもかまいません。

第一段階は、梗概(あらすじ)提出なので、アイデア勝負に見えるかもしれませんが、読みたい気持ちにさせることが重要です。世間的にぜんぜんSFじゃなさそうなネタでも、”これがSFだ!”と言い張れるポイントがあればなんでもOK。ケン・リュウを倒すつもりで、ふるってチャレンジしてください。(大森望)

【梗概課題】

「変な世界」を設定せよ

ジャンルSFは多様です。宇宙に行ったり未来に行ったりロボットを出したりするのもよいですが、どこにも行かずロボットも異星人も未来人も出てこなくても、SFは成立します。ただ、SFがSFであるために必要な要素が、ひとつだけあります。それは「センス・オブ・ワンダー」、すなわち驚きの要素です。
そこで次回は、みなさんに、その「驚き」を世界設定というかたちでつくってほしいと思います。
次回の梗概では、現実とは異なる「変な世界」を設定し、その世界を舞台に物語を考えてみてください。一部の登場人物が特殊な能力をもっているというような設定ではなく、作中の世界全体が、現実世界とは異なる条件の世界になっており、その条件を前提にすべての登場人物のドラマが展開するような作品を求めます。ただし、その「変な世界」に生きる登場人物に現実世界の人間が接触するという物語の場合には、現実と地続きの世界設定に生きる登場人物を出してもかまいません。
参考文献に挙げたロバート・L・フォワードの『竜の卵』では、物語の(半分の)舞台は中性子星で、その設定のおかげで奇想天外なドラマが展開されます。とはいえ、設定は必ずしも「科学的」に作られている必要はありません。つまり、ハードSFである必要はありません。「変な世界」の条件がそれ自体としてきちんと整合性がとられていれば、物理的に不可能な世界設定でもかまいません。むしろ、「もし世界が・・・だったら」という奇想のジャンプ力に期待します。
センス・オブ・ワンダーに富んだ作品を期待します!

東浩紀から参考文献
ロバート・L・フォワード『竜の卵

大森望から参考文献
アイザック・アシモフ「夜来たる
池田香代子再話、C.ダグラス・ラミス対訳『世界がもし100人の村だったら

 

【イベント後記】


 

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長谷敏司 Satoshi Hase

1974年、大阪生まれ。2001年、第6回スニーカー大賞金賞を受賞した『戦略拠点32098 楽園』(KADOKAWA)でデビューしたのち、ライトノベルからSFに活動の場を広げる。2015年、『My Humanity』(早川書房)で第35回日本SF大賞を受賞。その他の著作に『円環少女』シリーズ(KADOKAWA)、『あなたのための物語』(早川書房)、『BEATLESS』(KADOKAWA)、『メタルギアソリッド スネークイーター』(KADOKAWA)、『ストライクフォール』シリーズ(小学館)など。最新刊『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』(早川書房)が22年10月18日に発売した。

塩澤快浩(早川書房) Yoshihiro Shiozawa

編集者。1968年、長野県生まれ。1991年、早川書房に入社。96年、第8代〈SFマガジン〉編集長に就任(09年に退任後、13年に再任)。02年、《ハヤカワSFシリーズ Jコレクション》を創刊。野尻抱介『太陽の簒奪者』、飛浩隆『グラン・ヴァカンス』などを送り出し、日本SFの新たな中核をつくりだす。翌03年には、ハヤカワ文庫JAの新レーベル「次世代型作家のリアル・フィクション」を立ち上げ、冲方丁『マルドゥック・スクランブル』を3カ月連続刊行。07年には円城塔と伊藤計劃のデビュー単行本を手がけた。12年にはハヤカワSFコンテストを創設、選考委員もつとめている。

大森望 Nozomi Ohmori

1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。

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放送開始
2016/05/18 22:00
タイムシフト視聴終了
2016/05/18 23:59