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〈ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾〉の講義を生中継します。
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【課題】
南北問題を論じなさい。
ただしここでいう「南北問題」とは社会の授業で習った、1960年代に端を発した社会問題(のみ)を意味しません。
国境の南にはなにがあるのでしょう。ブルースはなぜディープサウスで派生し、北に遡上したのでしょうか。その見取り図をジャズ史に敷衍できるでしょうか。シカゴのサウスサイドと川崎の南はヒップホップにおいて同義でしょうか、であれば東京の北区はそれにたいする北なのでしょうか。リオのサンバが南ならバイーアの音楽は北でしょうか。南洋の水爆実験で誕生したゴジラにアイヌに共感した伊福部昭がつけた音楽は映画のなかでどのような相乗効果をうんだでしょうか。魔術的リアリズムは南のものでSFは北的想像力でしょうか。南がリアルなら北はフィクショナルな場所でしょうか。
つまるところ中心が北で南は周縁でしょうか。であれば北と南は単純に地理的な位置づけとはいえなくなります。北に南があり、南が北に向かうこともおおいにありそうです。そんなことはすでに中上健次がいっているという方はその先を考えてみてください。そもそもそういったことを論じることはこのような社会、世界状況下でナンセンスでしょうか。
というふうなことを考えつつ、すくなくともふたつ以上の音楽にかかわる対象(いわゆるアルバムにかぎらず、楽曲ないし音響作品/現象、作家そのものであってもかまいません)を文中に例示し内容と背景を論じながら結果的に音楽から逸れていってもぜんぜん前世から大丈夫です。
【イベント後記】
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松村正人 Masato Matsumura
1972年、奄美生まれ。1999年より雑誌『STUDIO VOICE』編集部で音楽を担当。
2007年に『Tokion』編集長を、2009年4月号から休刊した09年9月号まで『STUDIO VOICE』編集長をつとめた。
現在 ele-king をはじめ、各所で精力的に執筆と編集を続ける。
佐々木敦 Atsushi Sasaki
撮影=新津保建秀
1964年生まれ。思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。芸術文化のさまざまな分野で活動。著書に『成熟の喪失』(朝日新書)、『「教授」と呼ばれた男』(筑摩書房)、『増補新版 ニッポンの思想』(ちくま文庫)、『増補・決定版 ニッポンの音楽』(扶桑社文庫)、『ニッポンの文学』(講談社現代新書)、『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『批評王』(工作舎)、『新しい小説のために』『それを小説と呼ぶ』(いずれも講談社)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、小説『半睡』(書肆侃侃房)など多数。