ゲンロン 大森望 SF創作講座#9宇宙

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〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の実作講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。

【実作課題】

読者を「おもてなし」してください!

小説を読むときに、「この作家の成長を見届けたい!」「可能性に賭けたい」などと考える人はほとんどいません。たいていの人は、たんに楽しむために本を手に取り、読んでいるはずです。
そんな読者に届けるために、今回の課題で意識してほしいのが「おもてなし」です。これから構築するお話を自分の家だと思って、その中に読者を招待し、おもてなしする方法を考えてみてください。

今回書くのは短篇ですから、豪邸を建てようと思う必要はありません。一点豪華主義でいいんです。
お客さま(=読者)に、「あのお酒はおいしかった」とか、「ソファの座りごこちだけはよかった」と思ってもらえるように、どこか一点でよいので、読者の心を掴めるような梗概を作ってください。

(参考文献)
星新一さんの作品すべて。
とくに初期のショートショートには「おもてなし」の秘訣が詰まっています。

【梗概課題】

決して相容れないものを並立させよ

SFの作品内では、作者が自分にとって都合のよいように世界を支配する原理を設定して話を進めることができます。
しかし現実世界は必ずしも、ひとつの原理で理解しきれるものではありません。
たとえば宗教と科学技術が対立するという見方もあります。科学が唯一の原理かと言い切るのも極端でしょう。同じ科学者でも、宇宙論の専門家と天文学者では相性が悪かったりします。
今回はそういう「相容れなさ」を、相容れないままに描く作品を作ってください。根本的に対立するような原理が対立を残したまま終わる話です。
対立しているのは科学法則でもいいですし、物語構造でも、登場人物同士でもかまいません。ガソリンで動く車と魔法で動く車があり、それが対立している、というようなシュールな設定でもいいでしょう。

一本の軸としては把握しきれない現実を参考に、破綻や対立軸を設定し、そこからリアリティを生み出す訓練として取り組んでみてください。(円城塔)

参考文献:
チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』(ハヤカワ文庫SF)

 

【イベント後記】


 

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小川一水 Issui Ogawa

1975年、岐阜生まれ。1993年、「リトルスター」が集英社ジャンプノベル小説・ノンフィクション大賞佳作に入賞。1996年、同賞の大賞受賞作『まずは一報ポプラパレスより』(集英社)で単行本デビュー(河出智紀名義)。『第六大陸』(早川書房、第35回星雲賞日本長編部門受賞)、『老ヴォールの惑星』(同)、『天冥の標』(同)、『コロロギ岳から木星トロヤへ』(同、第45回星雲賞日本長編部門)など著作多数。

小浜徹也(東京創元社) Tetsuya Kohama

1962年、徳島県生まれ。京都大学SF研究会OB。1986年に東京創元社へ入社し、編集者として一貫してSFを担当。近年の担当書籍は、松崎有理、宮内悠介、酉島伝法、高山羽根子など創元SF短編賞出身者の作品、中村融のテーマSFアンソロジーや、2016年に始めた創元SF文庫の新版・新訳版シリーズ〈SFマスターピース〉など。ウンベルト・エーコと島崎博の来日イベントの司会をつとめたことが生涯の自慢。2000年に柴野拓美賞を受賞。

大森望 Nozomi Ohmori

1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。

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放送開始
2016/12/15 22:00
タイムシフト視聴終了
2016/12/15 23:59