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現在、〈ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校〉では、第3期受講生を募集しております。募集締切は2017年2月28日(火)です。
詳細はこちらからご覧ください。みなさまのご応募をお待ちしております。
生き残れ、現代美術とともに。
現代美術はその歴史のなかで、何度かの「ターン(Turn)」を経験してきた。この数年で加速度的に深刻化した「ポリティカル・ターン」は、もはや逃れられない現実となりつつある。
国内に限って言えば、それはおそらく震災以後、着々と進行していた。出口の見えない閉塞感が社会に蔓延するなかで、人々は自ら、過度に神経症的な相互監視社会を作り上げた。そして自らあらゆる「表現」に対する無制限の「検閲」に耽っては、「炎上」という祭りを繰り返す。
90年代に流行した「PCアート」が、政治的正しさ(PC)を以て作品価値を担保しようとしていたのとは違って、「ポリティカル・ターン」以後の現代美術は、どのような内容であろうと、自動的に社会的、政治的メッセージに変換されることになる。そして、問答無用でポリティカル・コレクトネス・チェックを受けることになるのだ。
「ポリティカル・ターン」以後の表現は、まったく無害で、おそろしく退屈なものになることを宿命づけられている。しかし言うまでもなく、そのような表現は、現代美術の名に値しない。
だから現代美術は、現代の、後戻りのできない「ポリティカル・ターン」に抗して、自らのテリトリーを確保しなければならない。この冗談のような、そして悪夢のような現代から生き残るための術こそ、新芸術校という実験の場で探求されるべきものだ。
したがって、新芸術校の第3期は、より現実的で実践的、そしてシビアな競争をともなうカリキュラムにバージョンアップすることになった。
1年間のうち最初の半年は、主に講義とワークショップによって、知識とノウハウのインストールを集中的に行う。そして残りの半年で、実際に作品を制作・発表し、受講生どうしで「生き残り」をかけた競争が行われる。最終的に、成果展に出品できる受講生は、その競争で生き残った数名に絞られる。
もしかしたら、ここまで苛烈な競争原理を持ち込んだ第3期の新芸術校は、もはや「美術教育」ではないのかもしれない。しかし、既存の美術教育が、この現代から生き残る術を教えることができないのなら、私たちは変わらなければならない。
生き残れ、現代美術とともに。
黒瀬陽平
【イベント後記】
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東浩紀 Hiroki Azuma
1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。
黒瀬陽平 Yohei Kurose
1983年生まれ。美術家、美術評論家。ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校主任講師。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。2010年から梅沢和木、藤城嘘らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。主なキュレーション作品に「破滅*ラウンジ」(2010年)、「キャラクラッシュ!」(2014年)、「カオス*ラウンジ新芸術祭2015『市街劇 怒りの日』」(2015年)など。「瀬戸内国際芸術祭2016」にカオス*ラウンジとして参加。著書に『情報社会の情念』(NHK出版)。