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〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の実作講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【梗概課題】
受講生の皆さんには、これから講座を受けてゆく中で、しっかり考え続けてほしいことがあります。
それは、SFとしての力と、小説としての力を、作品の中で両立させるということです。
皆さんはSFの書き方を学んでゆくことになりますが、それをのせる土台は小説です。SFとしてすぐれたアイデアやビジョン、テーマも、小説として面白く書く意識があるかどうかで、生きもすれば死にもします。
ですから、物語を、自分が設定したアイデアやビジョンやテーマを用いて、クライマックスで読み手をつかむことを意識して組み立ててみてください。SFなので、驚きがあるものとします。
クライマックスの定義は、今のところ、「ラストの少し手前」という位置関係にある盛り上げどころだと単純化しておいてください。
(長谷敏司)
【実作課題】
昨年、この第1回の課題は「変な世界を設定せよ」というものにしました。今年はその完全に真逆の課題を設定したいと思います。今回は、ぼくたちが生きるこの日常、それそのものは基本的に変えないまま、「ただひとつだけ現実とは異なる設定が入った小説」を展開してください。
とはいえ、昨年も今年も出題の理由は同じです。ジャンルSFは多様ですが、SFがSFであるために必要な要素がひとつあります。それは「センス・オブ・ワンダー」、すなわち驚きの要素です。昨年は、その「驚き」を世界設定としてつくってほしいと思いました。今年はその逆で、世界設定は基本的に日常の延長のまま、物語のなかで「センス・オブ・ワンダー」を演出してほしいというのが願いです。
といっても、あまりに漠然としているので、お題をもう少し限定しましょう。みなさんはこれから1年間、ゲンロンのあるここ五反田に通うことになります。この五反田周辺は、これはこれで調べてみるといろいろ味わいのある土地で、地形の高低がそのまま貧富の差に結びついており、かつて小林多喜二がプロレタリアート小説の原型にしたなんて話もある。そんな五反田を舞台にして、「ただひとつだけ現実とは異なる設定が入った」SFを書いてみてください。
センス・オブ・ワンダーにあふれた五反田SFを期待します!(東浩紀)
【イベント後記】
当日のtweetのまとめはこちら!
長谷敏司 Satoshi Hase
1974年、大阪生まれ。2001年、第6回スニーカー大賞金賞を受賞した『戦略拠点32098 楽園』(KADOKAWA)でデビューしたのち、ライトノベルからSFに活動の場を広げる。2015年、『My Humanity』(早川書房)で第35回日本SF大賞を受賞。その他の著作に『円環少女』シリーズ(KADOKAWA)、『あなたのための物語』(早川書房)、『BEATLESS』(KADOKAWA)、『メタルギアソリッド スネークイーター』(KADOKAWA)、『ストライクフォール』シリーズ(小学館)など。最新刊『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』(早川書房)が22年10月18日に発売した。
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。
小浜徹也(東京創元社) Tetsuya Kohama
1962年、徳島県生まれ。京都大学SF研究会OB。1986年に東京創元社へ入社し、編集者として一貫してSFを担当。近年の担当書籍は、松崎有理、宮内悠介、酉島伝法、高山羽根子など創元SF短編賞出身者の作品、中村融のテーマSFアンソロジーや、2016年に始めた創元SF文庫の新版・新訳版シリーズ〈SFマスターピース〉など。ウンベルト・エーコと島崎博の来日イベントの司会をつとめたことが生涯の自慢。2000年に柴野拓美賞を受賞。