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〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の実作講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【梗概課題】
いまどき、そこそこうまい文章は誰でも書けます。
どこかの料理教室で「けんちん汁」を作ってきなさいという課題が出たとします。それはなにかを知らない人でも、検索すればそれらしいものが作れるでしょう。
でもまあ、そういうことではないわけです。
小説を書くということは、知らない人に、創作料理を食べさせるようなところがあります。有料で。
まずは、自分自身が驚くべきです。自分でもありきたりと思うものを、他人が面白いと思うことはまずありません。
キャラクターが勝手に動きだす、というのも驚きの一種です。自分にこんなことが書けたのか、と驚くこともあるでしょう。書き終えたとき、なにかがわかったという気持ちになることもあるでしょう。
書いてはじめてわかることがあるはずです。そうでなければ、たとえば『SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録』を読むだけでも、書くということが理解できるはずです。
★アピールには、梗概を書くことで自分が何に驚いたか、あるいは実作後、何に驚く予定かを付記して下さい。
(円城塔)
【実作課題】
スター・ウォーズは好きですか?
星の散るくらいスクリーンにテーマソングが響き、黄色いテロップが流ていくだけでどんなスター・ウォーズ映画でもドキドキします。内戦、ドロイド、巨大宇宙ステーションに「姫」──でも小説ではそうはいきません。漫画やアニメ、そしてこれから作られるスター・ウォーズ以外の映画で、こんな風に世界を説明するオープニングは許されません。
読み始めた読者がふと息をついたとき、読み進めることを決められるような冒頭を見せてください。
受講生の皆さんが書こうとしているのはSFです。どれだけ現代と違うのか、どんな世界にどんな人や人でないものが生きているのか、読者は誰に共感して読み進めることになるのか、それを冒頭の5枚で提示できるような作品をぜひ読ませてください。
期待しています!
(藤井太洋)
【イベント後記】
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円城塔 Enjoe Toh
写真提供=新潮社
1972年、札幌生まれ。研究者を経て作家。SF、純文学問わず広く活動中。主な著書に、『Self-Reference ENGINE』(文藝春秋、2014年 Philip K. Dick Award 特別賞)、『烏有此譚』(講談社、第32回野間文芸新人賞)、『道化師の蝶』(文藝春秋、第146回芥川龍之介賞)。訳書に、チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)。近作に『シャッフル航法』(河出書房新社)、『エピローグ』(早川書房)、『雨月物語』(河出書房新社、池澤夏樹個人編集日本文学全集所収)、『プロローグ』(文藝春秋)。
伊藤靖(河出書房新社) Yasushi Ito
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。