ネットで
見る

-
[実作講評]一般無料
〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【実作課題】
頭で考えたことをそのまま書くことはまずできません。
手に書かされる、ということもよく起こります。
文章は単線的なものですし、書いていくうちに考えが変わっていくこともよく起こります。
今回は、あらかじめ「自分が従うルール」を決めて書いてみて下さい。ルールを決めることによって、書けるようになること、書けなくなることがあると実感できれば、創作の幅は広がるでしょう。
ルールは、どんなものでも構いません。「ひらがなだけで書く」「カタカナを使わない」「読点を使用しない」「約物を利用しない」「改行しない」といった、文字に関するものでも構いませんし、「書簡体で書く」「手記のように書く」「話しかけるように書く」「擬古文で書く」「方言で書く」「自作言語で書く」といった文体に関するものでも構いませんし「人称代名詞を用いない」「現在形だけで書く」「五七調で書く」「従属節を利用しない」といったものでも構いません。「一行の文字数がフィボナッチ数列のように増えていく」とか「文頭の文字を拾っていくと、別の文章になる」であるとか「10文字×10文字の格子をいくつも埋める」、「使える文字の種類が一つずつ減っていく」でも、「風景描写しかせずに人物はでてこない」等、とにかくなんでも構わないので、自分が従わなければならない拘束を決めてから書いてみて下さい。文章に対してだけではなく、「48時間眠らずにいたあとに書く」「逆立ちして書く」「水中で書く」「一度も原稿を見ないで書く」「後ろ手に縛られたまま書く」など、書き手自身に課せられる拘束も可とします。
拘束と内容の間に、結びつきがあった方が考えやすいはずですが、当然想像される結びつきをあえて断ち切るという手もあります。
梗概には、自分の決めたルールも併記して下さい。
(円城塔)
■
【梗概課題】
あなたが最初に読んだSF(小説限定)は何ですか? それは何歳の時で、その作品は今のあなたにどんな影響を与えましたか?
今回の課題は、まだSFを読んだことのない読者のために、「初めてのSF」を書くことです。「初めてのSF」といっても、小中学生向けのジュヴナイルや取っつきやすいショートショートに限りません。ジャンル小説特有のお約束が通用しない白紙の読者を念頭に置いて、もっとこんな小説を読みたいと思わせるような、入門的で吸引力のある新作SFを書いてほしいのです。
白紙の読者というのは、ピンポイントでもかまいません。「ビジネス書と時代小説しか読まない親戚のおじさん」「SFなんて漫画や映画で十分で、わざわざ活字の小説を読む意味はないとうそぶく友人」「将来、あなたの子どもや孫が『科学』や『物語』に興味を持った時、黙って手渡す本(デジタルブック)」等々、広い意味でのファースト・コンタクトでありさえすれば、どんな対象を想定してもOK です。
作品のテーマにあなた自身のSF初体験を投影する必要はありませんが、ビギナーだった頃の目が覚めるような気持ちは忘れないでください。まだ見ぬ新しい読者をひとりでも多くSFの虜にして離さない、フレッシュで力強い物語を期待しています。
(法月綸太郎)
【イベント後記】
当日のtweetのまとめはこちら!

法月綸太郎 Rintaro Norizuki
都丸尚史(講談社) Naofumi Tomaru

大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。