ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 第3期#2ひらめきとは──ひらめき2

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【ネーム課題】

自己紹介を漫画にしてください

昨年もそうだったのですが、第一回目の課題は、「自己紹介」を漫画にすること、にします。

この課題の目的は3つあります。以下、①②③として説明します。

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①まずひとつには、講師が皆さんのことをよく知り、また受講生の皆さん自身が、お互いをよく知るためです。これは今後一年間のために大事なことですよね。

②ふたつめ。「読み物として描く」ことを実践するためです。

やり方としては、自分の体験・経験を完全な第三者のものとして描いてもいいですし、または、エッセイ漫画のように、自分のこととして描いてもいいです。

前者で描けるなら、それに越したことはありません。

しかし後者で描きたいなら、注意すべきです。たとえば「私の名前はさやわかです。男です。おっさんです。北海道で生まれました。関西に10年くらい住んでから東京に引っ越してきました。家族構成は○○で… 趣味は××で…それでは一年間、よろしくお願いします!」みたいな、マジで単なる自己紹介文を、ただコマに入れて、それに絵を付けたものを描いても、「漫画」として全然読めない。だいいち、読んで面白くないですよね。これはダメです。

というわけで皆さんは、最低限、語り手(主人公)となるキャラクターが登場し、作者自身の経験や経歴に基づいた何らかの読み物として、かつ皆さんのことを全く知らない人が、単なる1つの漫画作品として読めるものを描かねばなりません。

そうすると当然ですけど、「ゲンロンが~」とか「ひらめきが~」みたいな、内輪でしか通用しないような話をただ描いただけのものも、NGだということになりますよね。

これに、挑戦してみてください。

「挑戦してみてください」と言ったって、急に物語を描くなんて無理だよ、という方もいると思います。実は去年も第一回では同じ課題をやっていて、そこでは『ちびまる子ちゃん』や『東京都北区赤羽』という作品名を出しています。そういう「作者自身のことを描いた」とおぼしき漫画が何をやっているのか、じっくり読み直してみて、自分でも同じことをやってみてはどうでしょうか。漫画は、先行する作品を単に読むのではなく、それがどのような意図をもって描かれているのかを読み取り、マネする能力が必須です。物語の描き方が分からない人は、やってみてください。

以上が、第一回で自己紹介漫画をやる理由です。

③それに加えて、今回、皆さんに実感していただきたいのは「最大16ページでネームをまとめる」ということです。16ページというのは意外と短いです。だから自己紹介として描けるエピソードの数は、せいぜい1つとか2つ、だと思います。前述したような羅列的な自己紹介文だと漫画にならないというのは、そういうことです。加えて、画力がそんなに高くない人がめっちゃ気合いの入った絵のネームを描いてしまうと、たぶん完成させられません。だったら、最大16ページをマックスで使わずに、たとえば8ページだって構いません。大事なのは、「これをペン入れしたときに、自分は締め切りまでに完成させられる」というネームを描くことです。

「ネームってのがどんなものかわからない」というひとは、コマ割りと、構図と、誰がどんなポーズや表情をして、何を言っているか分かる程度の絵を描いてみましょう。ただし、全ページ棒人間とかにしちゃうと、皆さんがどんな絵を描くのか、全く伝わりません。ネームというのは、これから作る作品の設計図として、仕事の相手(編集者)などにも見てもらうものです。読む相手が「自分の絵柄を知らない人」だということも考慮して、ちゃんと完成形の絵柄がわかるページや構図を、1ページくらいは入れることをオススメします。あっ、1ページだけマジの下描きやペン入れをしなさいってことじゃないですよ。要は「読んだ人が分かるようにする」ということです。

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だいたい、説明としては一通りできましたでしょうか。それでも、どう描いたらいいか分からない!ていうか課題文の言っていることが分からない!そもそも文章が長くて要点がわからない!というひとは、もうすぐ受講生MLとかも用意されますし、またそれに限らずあらゆる手段で、わからないところを質問してもOKですよ。わからないなあと思いながら描いて提出しちゃうくらいなら、聞いてしまいましょう。

それでは、よろしくお願いします。

(さやわか)

 

【イベント後記】

 

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ゲンロン ひらめき☆マンガ教室

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米代恭 Kyou Yoneshiro

1991年生まれ、東京都出身。美大在学中に描いた漫画がアフタヌーン四季賞で佳作受賞。大学を中退し、2012年に受賞作『いつかのあの子』で短編デビュー。同年、『おとこのことおんなのこ』で長編デビュー。2015年から2018年まで、SFと不倫をテーマにした『あげくの果てのカノン』を「月刊!スピリッツ」で連載。2020年から2023年まで、『往生際の意味を知れ!』を「週刊スピリッツ」で連載。

金城小百合 Sayuri Kinjo

1983年生まれ。秋田書店に入社後、小学館に転職。入社3年目に立ち上げた『花のズボラ飯』が「このマンガがすごい!」オンナ編1位、マンガ大賞4位受賞、TVドラマ化など話題に。その後、漫画誌「もっと!」を創刊、責任編集長を務める。その他、藤田貴大主宰の「マームとジプシー」によって舞台化された『cocoon』、TVドラマ化作品『プリンセスメゾン』 、『あげくの果てのカノン』『往生際の意味を知れ!』『サターンリターン』『恋と国会』などを担当。現在、スピリッツ編集部に所属しながら、ファッション・カルチャー誌「Maybe!」の創刊、編集にも関わっている。【画:水沢悦子】

さやわか Sayawaka

1974年生まれ。ライター、物語評論家、マンガ原作者。〈ゲンロン ひらめき☆マンガ教室〉主任講師。著書に『僕たちのゲーム史』、『文学の読み方』(いずれも星海社新書)、『キャラの思考法』、『世界を物語として生きるために』(いずれも青土社)、『名探偵コナンと平成』(コア新書)、『ゲーム雑誌ガイドブック』(三才ブックス)など。編著に『マンガ家になる!』(ゲンロン、西島大介との共編)、マンガ原作に『キューティーミューティー』、『永守くんが一途すぎて困る。』(いずれもLINEコミックス、作画・ふみふみこ)がある。「コミックブリッジ」で『ヘルマンさんかく語りき』(作画:倉田三ノ路)を連載中。

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放送開始
2019/06/09 15:00
タイムシフト視聴終了
2019/06/16 18:00