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[実作講評]一般無料
〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉の講評会の模様を無料生中継します。放送開始は22:00を予定しています。
タイムシフトは公開しませんので、あらかじめご了承ください。
【実作課題】
シーンの繋ぎは、難しくもやりがいのある問題をたくさん抱えています。
場面転換、あるいは「一方その頃」的な話の切り替え、語り手の変更による物語の見え方の大転換、新しいキャラクターや場面の登場による世界の拡張。あるいは、事件の発生によるショックシーン。
プロですら、雑につないでしまったり、ベストな繋ぎがわからず妥協して進めることがよくあります。
けれど、このシーンの繋ぎにうまくドラマや驚きを載せることができると、作品の見え方のレベルが一回り二回り変わってきます。
シーン頭は、読者さんがシーンを理解したいというモティベーションを持って読んでくれる、ナチュラルに目と興味がリセットされるタイミングだからです。
皆さんは、シーンの切れ目を意識して、SFを作ってみてください。
(長谷敏司)
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【梗概課題】
いざ書くとなってみると、それまで簡単にみえていたことができなかったり、複雑そうにみえていたものが意外に簡単に書けてしまったりするのが小説の不思議さというものです。
素直なつくりに見えるのに実際にやってみると難しいお話のひとつに、長距離を移動し続ける形のものがあります。
なんといっても、移動は単調になりがちです。地名を並べていくだけでは書き手も読み手も飽きてきます。偶然の出会いばかりが続くとうんざりしますし、使える場面展開の手法は限られています。
出来事を最初から順に全て書き上げていっても退屈なものができるだけです。連続する事象から何を切り取り、どこを強調することで、単調さを回避しながらも長い移動を感じさせるお話をつくることができるのか、挑戦してみて下さい。
そのあとで、何か既存の、長距離を移動し続ける小説を実際に読んでみて下さい。そこに注がれている技術が以前とは違った風に見えてくるはずです。
(円城塔)
円城塔 Enjoe Toh
写真提供=新潮社
1972年、札幌生まれ。研究者を経て作家。SF、純文学問わず広く活動中。主な著書に、『Self-Reference ENGINE』(文藝春秋、2014年 Philip K. Dick Award 特別賞)、『烏有此譚』(講談社、第32回野間文芸新人賞)、『道化師の蝶』(文藝春秋、第146回芥川龍之介賞)。訳書に、チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)。近作に『シャッフル航法』(河出書房新社)、『エピローグ』(早川書房)、『雨月物語』(河出書房新社、池澤夏樹個人編集日本文学全集所収)、『プロローグ』(文藝春秋)。
伊藤靖(河出書房新社) Yasushi Ito
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。