思索の源泉としての私鉄 #2──原武史、「収容所と団地の問題」と東急・西武、そしてJR中央線を語る

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私鉄対談の第二弾として主に考えているのは、JR中央線と東急、西武である。前回触れられなかった中央線は、その線形からもわかるように、明治時代に武蔵野の原野を一直線に敷設された。
その沿線には学園都市や陸軍の飛行場や軍需工場が生まれ、戦後は米軍基地とのつながりが強まった。東急の創業は田園都市という英国由来の思想と関わり、戦後は丘陵地を開発して田園都市線を開通させ、多摩田園都市をつくった。一方、西武の沿線には鉄道の開通前からハンセン病の療養所が、開通後には結核の療養所が次々に生まれ、戦後はその近くに団地が建設された。こうした各沿線の違いから何が見えてくるのか。東浩紀が見た大連やハルビンの郊外とも対比させながら、じっくりと話し合ってみたい。

(原武史)

 

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原武史 Takeshi Hara

1962年、東京都生まれ。日本経済新聞社会部記者として、昭和末期に宮内庁詰めとなる。1992年、東京大学大学院博士課程中退。現在、明治学院大学名誉教授。著書に、『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)、『大正天皇』(毎日出版文化賞)、『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)、『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)、『皇后考』、『〈女帝〉の日本史』など。最新刊は『戦後政治と温泉』(中央公論新社)。

東浩紀 Hiroki Azuma

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

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