カフェに
行く
-
一般 入場券2,500円
-
学生 入場券2,000円
-
友の会会員限定最前列席 入場券3,000円
ネットで
見る
-
チャンネル会員無料
-
一般990円
-
チャンネル会員無料
-
一般1,000円
webゲンロンに、イベントのレポート記事を掲載しています。ぜひお読みください。
「モンゴル社会とシャーマニズム」
https://www.genron-alpha.com/article20230202_01/
【イベント概要】
モンゴルにはシャーマンが次々と生まれている—
モンゴル研究者の島村一平さんは新著『憑依と抵抗』で、2012年の時点でシャーマンの数は1.5万人から2万人と述べています。当時の人口が300万人なので、少なくとも150人から200人にひとりはシャーマンという計算になります。
ビジネスの失敗や家族との不和など、つらい出来事を機にシャーマンと関わりをもち、その後自分もシャーマンの道に入っていくひとが後を絶たないそうです。
かつてモンゴルはソ連の影響下にありました。宗教は禁じられ、それどころか自国の歴史を自由に語ることすらできませんでした。シャーマンがふたたび生まれ、増殖していくのは共産圏を率いていたソ連が崩壊した90年代以降です。国の自由化が国民のナショナル・アイデンティティの模索とスピリチュアルなものへの傾倒をもたらしたのです。他方、その裏には急激な経済体制と生活の変化による困難に由来する心理的ストレスがありました。
臨床心理士の東畑開人さんは『野の医者は笑う』で、沖縄における「野の医者」、つまりスピリチャル系のヒーラーたちの活動を調査しています。心を癒し、治癒する仕事に関わっているひとたちには、自らが心に傷を負い、その傷を癒すために人を癒しているひとが多いというのは、モンゴルでも沖縄でも同じように見えます。
そもそも、シャーマンや自然医療などは、どういった治療をする、どういった人々なのでしょうか。彼らは社会のなかでどんな役割を果たしているのでしょうか。モンゴルのシャーマン増加は特別な現象なのでしょうか。
そして、医療人類学から考えたときに、こうした存在はいったいどう説明されるのでしょうか。
現代になっても存在感を発揮し続けるシャーマンの存在を、民俗学・人類学・臨床心理学などの多角的な視点から、徹底的に考察します。ゲンロンの上田洋子が司会を務めます。
島村一平『憑依と抵抗──現代モンゴルにおける宗教とナショナリズム』(晶文社)
島村一平 Ippei Shimamura
国立民族学博物館・学術資源研究開発センター・准教授。文化人類学・モンゴル研究専攻。博士(文学)。
1969年愛媛県生まれ、兵庫県西宮市育ち。1993年早稲田大学法学部を卒業後、ドキュメンタリー番組制作会社に就職。取材で訪れたモンゴルに魅了され制作会社を退社、モンゴルへ留学する。1998年モンゴル国立大学大学院修士課程修了。モンゴルにはのべ6年滞在した。2003年総合研究大学院大学博士後期課程単位取得退学。国立民族学博物館講師(機関研究員)・滋賀県立大学人間文化学部准教授を経て現職。2011年ケンブリッジ大学社会人類学部客員研究員。とくにモンゴルのシャーマニズムをナショナリズムやエスニシティとの関連から研究してきた。その他の関心領域としては、モンゴル仏教のグローカルな実践、ポピュラー音楽、現代におけるチンギスハーンを巡る言説や表象など。2013年度日本学術振興会賞、地域研究コンソーシアム賞、2014年度大同生命地域研究奨励賞をそれぞれ受賞。
東畑開人 Kaito Towhata
1983年東京生まれ。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。京都大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。臨床心理士・公認心理師・博士(教育学)。精神科クリニックでの勤務、十文字学園女子大学で准教授として教鞭をとった後、現在、白金高輪カウンセリングルーム主催。著書に『野の医者は笑う──心の治療とは何か』(誠信書房、2015年)、『日本のありふれた心理療法──ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』(誠信書房、2017年)、『居るのはつらいよ──ケアとセラピーについての覚書』(医学書院、2019年)、『心はどこへ消えた?』(文藝春秋、2021年)、『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社、2022年)、『ふつうの相談』(金剛出版、2023年)など。訳書にジェイムス・デイビス『心理療法家の人類学──こころの専門家はいかにして作られるか』(誠信書房、2018年)、ドナルド・ロバートソン『認知行動療法の哲学──ストア派と哲学的治療の系譜』(金剛出版、2022年)。2019年、『居るのはつらいよ』で第19回大佛次郎論壇賞受賞、紀伊国屋じんぶん大賞2020受賞。2024年9月『雨の日の心理学──こころのケアがはじまったら』(KADOKAWA)を上梓。
上田洋子 Yoko Ueda
撮影=Gottingham
1974年生まれ。ロシア文学者、ロシア語通訳・翻訳者。博士(文学)。ゲンロン代表。早稲田大学非常勤講師。2023年度日本ロシア文学会大賞受賞。著書に『ロシア宇宙主義』(共訳、河出書房新社、2024)、『プッシー・ライオットの革命』(監修、DU BOOKS、2018)、『歌舞伎と革命ロシア』(編著、森話社、2017)、『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』(調査・監修、ゲンロン、2013)、『瞳孔の中 クルジジャノフスキイ作品集』(共訳、松籟社、2012)など。展示企画に「メイエルホリドの演劇と生涯:没後70年・復権55年」展(早稲田大学演劇博物館、2010)など。