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【イベント概要】
東京工業大学准教授で映画研究者・批評家の北村匡平さん、批評家の西村紗知さん、伏見瞬さんによるトークイベントを開催します。
北村さんは今年10月に新著『椎名林檎論──乱調の音楽』(文藝春秋)を上梓しました。90年代後半にデビューし、バンド「東京事変」の活動も並行しながら、国民的アーティストになった「椎名林檎」について、多角的に分析した音楽評論集です。単なる印象批評ではなく専門性に偏った音階分析でもない「実践的な演奏批評」として、「文學界」連載時から大きな話題を呼んでいます。
西村さんは昨年、評論「椎名林檎における母性の問題」で第4回すばるクリティーク賞を受賞。また伏見さんは昨年末に初の単著『スピッツ論』を発表し、「J-POP」を代表するバンド「スピッツ」を分析することでポップ・ミュージックのあり方に迫りました。
椎名林檎/東京事変の音楽とその存在の魅力はどこにあるのか? 椎名林檎/東京事変、さらに90年代以降のJ-POPはどのような変遷をたどってきたのか? 音楽を分析し、批評するとはどういうことか? 濃密な議論にご期待ください!
※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。
【北村匡平さんからのメッセージ】
「J-POP」が誕生しておよそ30年の時が過ぎた。椎名林檎はこの期間、個人のアーティスト活動にとどまらず、東京事変を結成し、さまざまな音楽家とコラボレーションすることによって、現在のミュージシャンたちに多大な影響を及ぼしている。このトークイベントでは主に「椎名林檎/東京事変とその時代」というテーマで90年代以降のJ-POPを3人の視点から語ることになるだろう。と同時に、伏見瞬氏のスピッツ論や西村紗知氏の椎名林檎論の批評のアプローチと共鳴する点、異なる視座を照らし合わせることで、これからの音楽批評の可能性を探ることにもなるに違いない。(北村匡平)
【西村紗知さんからのメッセージ】
北村さんが『文學界』で連載を始められたとき、「この連載が始まるよりも前にすばるクリティーク賞に出しといてよかったな」と思ったのを覚えております。今回は伏見さんにも来ていただいていますが、本イベントは「J-POP」という批評対象について、そのアプローチごと問い直す機会になるのではないかなと思います。おそらく三人とも「椎名林檎」という現象に関しては考えていることがバラバラだと思いますので、イベント当日が今から楽しみです。(西村紗知)
【伏見瞬さんからのメッセージ】
椎名林檎について、気になっていたことがある。
日本人の無意識に対して、強く自覚的に振舞ってきた作家。椎名林檎をそう形容することにおそらく間違いはないが、楽曲にしろ視覚的イメージにしろあるいは仕事の選び方にしろ、その表現行為を単純に捉えることはできない。とりわけ「日本」の表象を持ち出すときにおいて、歌詞における旧仮名遣いの挿入、MVやジャケット写真における和装、楽曲『NIPPON』における愛国的扇動など枚挙にいとまがない日本的表象を具現化するときにおいて、椎名林檎は複雑なプロセスを辿っているように思う。
今回、椎名林檎論の書き手である北村氏、西村氏との鼎談では、様々な話題が飛び出すだろう。デビュー時における彼女の立ち位置、ゼロ年代から現在までの変遷、楽曲のクセや傾向、声の特徴にファッションの在り方、影響元と影響の与え方などなど。あらゆる点における議論を重ねつつも最終的には、椎名林檎が現代の日本的無意識とどのように向き合い、どのように戯れ、どのように触れ合ってきたかをお二人に訊ねてみたい。そこに、椎名林檎と名付けられた作家を人々が特別に愛し憎む理由があると思うから。
楽しくも嘘のない切実な時間になりますので、期待していただければ幸いです。是非ご視聴ください。(伏見瞬)
北村匡平『椎名林檎論──乱調の音楽』(文藝春秋)
北村匡平 Kyohhei Kitamura
1982年山口県生まれ。映画研究者/批評家。東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター准教授。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了、同大学博士課程単位取得満期退学。専門は映像文化論、メディア論、表象文化論。単著に『椎名林檎論——乱調の音楽』(文藝春秋、2022年)、『アクター・ジェンダー・イメージズ——転覆の身振り』(青土社、2021年)、『24フレームの映画学——映像表現を解体する』(晃洋書房、2021年)、『美と破壊の女優 京マチ子』(筑摩書房、2019年)、『スター女優の文化社会学——戦後日本が欲望した聖女と魔女』(作品社、2017年)、共編著に『リメイク映画の創造力』(水声社、2017年)、『川島雄三は二度生まれる』(水声社、2018年)、翻訳書にポール・アンドラ『黒澤明の羅生門——フィルムに籠めた告白と鎮魂』(新潮社、2019年)などがある。
西村紗知 Sachi Nishimura
1990年生まれ。東京学芸大学教育学部芸術スポーツ文化課程音楽専攻(ピアノ)卒業。東京藝術大学大学院美術研究科芸術学専攻(美学)修了。論考に「椎名林檎における母性の問題」(「すばる」2021年2月号、2021すばるクリティーク賞受賞作)、「グレン・グールドに一番近い場所」(「すばる」2021年9月号)、「お笑いの批評的方法論あるいはニッポンの社長について」(「文學界」2022年1月号)など。
伏見瞬 Shun Fushimi
東京生まれ。批評家/ライター。音楽をはじめ、表現文化全般に関する執筆を行いながら、旅行誌を擬態する批評誌『LOCUST』の編集長を2018年より務める。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾」第3期 東浩紀審査員特別賞。2021年12月に初の単著『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』を刊行。