美術は共同体をいかに描くのか

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本イベントは、ゲンロンカフェでの会場観覧、またはシラス・ニコニコ生放送のゲンロン完全中継チャンネルからインターネット配信でご覧いただけます。
放送開始から4時間30分を超えてイベントが続いた場合、ニコ生では配信を終了しますが、シラスでは有料で延長配信をおこないます。
シラスのシステム上、延長部分のみの購入はできません。延長部分のご視聴をされたい方は、あらかじめシラスで番組本編をご購入ください。

 

【イベント概要】

アーティストの李晶玉さん、田中功起さんによる対談イベントを開催いたします。おふたりをつなぐキーワードは「共同体」です。

李晶玉さんは、在日朝鮮人3世という立場から、「共同体」や「民族」といった主題を複層的な視点で扱い注目を集めている美術家です。広島の原爆をテーマにした個展「SIMULATED WINDOW」(原爆の図 丸木美術館、2022年)で発表された作品『DOME』は、『ゲンロン13』の表紙を飾っています。また、李さんは、朝鮮大学校と武蔵野美術大学に出自を持つメンバーから成るグループ「突然、目の前がひらけて」の一員として、2021年におおきな話題を呼んだ展示「平成美術 うたかたと瓦礫」(京都市京セラ美術館)にも参加されています。

「ゲンロンβ」での連載をはじめ、ゲンロンではお馴染みの美術家・田中功起さんもまた、「共同体」や「集団の力学」を重要な主題として扱ってきました。映像作品「可傷的な歴史(ロードムービー)」(2018年)や個展「田中功起 共にいることの可能性、その試み」(水戸芸術館、2016年)といったプロジェクトでも、「美術を通じていかに共同体を描くことができるのか」という問いが模索されています。

また、田中さんが『ゲンロンβ60』に寄せたエッセイ「日付のあるノート、もしくは日記のようなもの(6)」(https://www.genron-alpha.com/gb060_02/)に含まれる「平成美術」展への論評は、おおきな反響を呼びました。その中では、「突然目の前がひらけて」が展示のなかで担った役割の大きさ、重さにも触れられています。個人ではなく複数のアーティストによる「集合的活動」に焦点を当て、賛否両論を呼んだ同展。当事者として参加した李さんは、同展について、そして田中さんの展評について、どのように感じ、受け止めたのでしょうか。

当日は、お二方それぞれの活動や作品に関しても、ビジュアルも用いてわかりやすくご紹介いただく予定。
美術がお好きな方はもちろん、あまり詳しくないという方も、お気軽にご覧ください!

【登壇者の李晶玉さんより】

私の一番大きな関心は、個人がどこまで自由でありうるのかというところだと思います。それは共同体との関わりが特殊な出自だからこそ考えるようになりました。私は普段「在日朝鮮人」美術家を名乗っていますが、自身の属する共同体との摩擦を感じながらも、本当に「個人」など存在するのかと感じることもあります。私の生きてきた「在日朝鮮人社会」は、日本という共同体の中では明確に異質でアンタッチャブルな存在だと思いますが、在日3世である私にとって、それは決して悲劇的なだけでなく、魅力的で面白いモチーフとして描くことができると感じています。「共同体」というものに目を向けはじめた2015年頃、田中さんの個展『共にいることの可能性、その試み』を観て以降、作品やテキストなどで活動を拝見してきました。今回お話しする中で、作品の話や、共同体と個人の関係、協働プロジェクトについてなど、田中さんと新たな視点で対話ができることをとても楽しみにしています。

【登壇者の田中功起さんより】

あらためて思うのは、ぼくはおそらく「失敗」を描いてきたのかもしれないと思う。共にいることの難しさ、他者理解の不可能性、アートの限界。日本の現代美術は(ぼくにとっては学生の頃から)、不毛な砂漠でしかなった。グローバルなコンテンポラリーアートも枯れた泉でしかなかった。そして日本はとても生きにくい。それでも人間を諦めないことはできるだろうか。それでも人間の作るものを信じることはできるだろうか。それでも「失敗」には何か、意味があるだろうか。
李さんとのはじめての対話では「共同体」や作品制作、「人間」をめぐって、その「失敗」も含めて話してみたいと思っています。


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ゲンロン13』(ゲンロン)

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

李晶玉 Ri JongOk

1991年、東京生まれ。朝鮮大学校教育学部美術科卒業。主な展示に「在日・現在・美術」(2014)、武蔵美×朝鮮大「突然、目の前がひらけて」(2015)、 個展「神話#1」(2018)、「VOCA展2020」(2020)、「平成美術:うたかたと瓦礫デブリ 1989–2019」(2021)、個展「記号の国」(2021)、個展「SIMULATED WINDOW」(2022)など。

田中功起 Koki Tanaka

1975年生まれ。アーティスト。主に参加した展覧会にシンガポ ール・ビエンナーレ(2019)、あいちトリエンナーレ(2019)、ミュンスター彫刻プロジェクト(2017)、ヴェネチア・ビエンナーレ(2017)、リヴァプール・ビエンナーレ(2016)など。2015年ドイツ銀行によるアーティスト・オブ・ザ・イヤー、2013年ヴェネチア・ビエンナーレでは参加した日本館が特別表彰を受ける。主な著作、作品集に『Vulnerable Histories (An Archive)』(JRP | Ringier)、『Precarious Practice』(Hatje Cantz、2015年)、『必然的にばらばらなものが生まれてくる』(武蔵野美術大学出版局)、『共にいることの可能性、その試み、その記録-田中功起による、水戸芸術館での、ケーススタディとして』(グラムブックス)など。

写真:題府基之

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放送開始
2023/03/30 19:00
公開終了
2023/09/30 23:59
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放送開始
2023/03/30 19:00
タイムシフト視聴終了
2023/04/06 23:59