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本イベントは、シラス・ニコニコ生放送のゲンロン完全中継チャンネルからインターネット配信でご覧いただけます。
放送開始から4時間30分を超えてイベントが続いた場合、ニコ生では配信を終了しますが、シラスでは有料で延長配信をおこないます。
シラスのシステム上、延長部分のみの購入はできません。延長部分のご視聴をされたい方は、あらかじめシラスで番組本編をご購入ください。
【イベント概要】
ゲンロン・カフェ開業10周年を記念して誕生した、若手研究者を応援する新シリーズ「学問のミライ」第2弾!
今回のゲストは、環境美学・日常美学がご専門の青田麻未さん。とはいえ、「環境美学・日常美学」と言われてもいまひとつピンと来ないひとも多いかもしれません。
哲学の一分野である「美学」では、おもに近代的な芸術の体験を中心に「人間がなにかを美しいと感じるとはどういうことか」が考えられてきました。しかし、それに対してある時期から「芸術だけでなく、自然環境の美しさについて考えるのも重要なのでは?」「そもそも自然にかぎらず、日常生活のなかで感じる美も大切なのでは?」という議論が盛んになり、そのなかで発展してきたのが環境美学や日常美学です。
青田さんは、『環境を批評する──英米系環境美学の展開』(春風社、2020年)でそんな環境美学の理論的な展開を「批評」や「観光/居住」といった観点から捉えなおし、それ以外にもさまざまな場所で、いけばな、地域アート、動物、アイドル、フィンランドなどを取り上げた文章を書かれています。
日常生活のなかにある「ふつう」のものを美しいと感じるとはどういうことか。それらに優劣をつける「批評」は果たして可能なのか――。青田さんには、ご自身の研究の魅力について語っていただくなかで、そんな疑問にもお答えいただければと思っています。
また、じつは青田さんは聞き手の住本にとって研究室の長年の先輩でもあります。イベントでは、青田さんをそれなりに近くから見てきた住本だからこそ引き出せる研究の苦労話なども聞けるかも……? ぜひお楽しみに!
【登壇者の青田麻未さんより】
私の研究は、身の回りのことを考えることからいつも始まります。学部生のころ、卒業論文のテーマを決めなければいけないと言われた私は困りました。そもそも「美学芸術学」という研究室に進学したのは、美や芸術にかかわることならなんでもできそうだからという理由だったからです。でも、なにかひとつを選ばなければと私が最初につかみとったのは、自然の美しさについて英米系環境美学のアプローチで考える、というもの。こうしてことばにすると堅苦しくも見えるけれど、選んだ理由はただ昔から海がすきだったからです。
そこから今までずっと環境美学、そこから派生した日常美学という学問を専門にしていますが、いつも出発点は私が生活のなかで気になったことにあります。論理では割り切れない、ことばにしもしにくい、でも私だけではなく他の人とも共有できているような気がする感性主導の経験のありかたを明確に論じることを目指して、毎日自分自身を対象とするフィールドワークをしている気分で暮らしています。たとえば、いま力を入れているのは、生活者の視点から都市の美的経験を捉えることや、家のなかやまわりでの美的経験の特徴を考えることですが、ある意味自分の日常生活のすべてが研究を推進する原動力になっていると言えます。
在外研究で訪れたフィンランドでの経験や、数年間習っている小原流のいけばな、ほかにもこれまで私が「気になる!」と思ったいろいろなものの事例を交えながら、美学的に日常を捉えることの面白さについてお話しできればと思います。
青田麻未『環境を批評する──英米系環境美学の展開』(春風社)
【「ゲンロン・セミナー」、「学問のミライ」とは】
2023年2月から、大学院生たちが中心となって企画・運営する、新たな連続イベント「ゲンロン・セミナー」と「学問のミライ」がスタート!
どちらも、ゲンロンに勤務する大学院生のスタッフらが「聞き手」となり、ゲストの研究者から「学問の面白さ」を引き出すという、これまでにない「対話」形式の学術イベントです。
開業10周年を迎えるゲンロンカフェによる、学問の未来を切り開くための新しい挑戦を、ぜひ応援いただけますと幸いです。
詳細はこちら
※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。
青田麻未 Mami Aota
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PDを経て、現在は群馬県立女子大学文学部専任講師。専門は環境美学・日常美学。著書に『環境を批評する 英米系環境美学の展開』(春風社、2020年)。主な論文に「動物の美的価値――擬人化と人間中心主義の関係から」(『美学芸術学研究』37、2019年)、「乱反射するいけばなの自然――小原流琳派調いけばなを事例として」(『フィルカル』5(1)、2020年)、「地域アートの芸術的価値――環境美学の視点から」(『美学』72(1)、2021年)など。
住本賢一 Kenichi Sumimoto
1992年生まれ。ゲンロン編集部所属。